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異世界に来た

 目を開けると眩しさで思わず目を閉じそうになる。

 それよりも誰かが大声で泣いていることに気が付いた。

(全く煩い子供だな。一体何処の誰が?)

 すると、突然若い茶髪の女性にマジマジと見つめられていた。

 美女に見つめられてしまうと二十二歳の僕は緊張してしまう。

 別に当たり前の反応で鼻の下伸ばしている訳ではない。

 その若い女性に支えてもらって身体全体で抱き上げられた。

 まるで赤ん坊のように。

 あまりにも力持ちな女性に驚いてしまったので、声をあげようとすると「オギャー!」と大声で泣いた。

 まるで赤ん坊のように。

(あれ?もしかして僕が泣いているのか?)

 僕が泣いていると美女の近くにいる黒髪の若い男性も僕の方を見ている。

 男性に見つめられるのはあまり嬉しくない。

 それでも僕は泣き続けた。

 それを見つめる二人は何やら話していた。

 言葉はよく分からない。

 その時の女神様との話を思い出していた。

「転生したい?」

 その言葉通り僕は、赤ん坊の転生に成功していた。

 地球とは別の世界で後悔のないよう自分の意思を持って人生を謳歌する。


 ーーーーー


 一カ月ぐらい経った。

 赤ん坊の生活は何かと大変だった。

 特に大変だったのはトイレの我慢も制御できずにただおむつにすること。赤ん坊だが二十二歳ぐらいの精神年齢だから羞恥心があったこと。あと母親の母乳を飲む事も違和感があった。ただ不思議な事で赤ん坊な事と母親と似た遺伝子でわかっているんだろう。マジで性欲という概念が全くない。

(いやそれよりも歩きたい!)

 暇だ!

 こんなにも何もする事がない日々は気が狂いそうになる。

 昔、友達が病気で入院している時、「暇が一番の天敵」と話していた事を思い出した。

 それと似たようなことを経験している。

 いやもしかしたらもっと酷いかもしれない。

 せめてテレビでも有れば暇つぶしになったかもしれない。


 ーーーーー


 暇な時期を耐えて半年ぐらい経過した。

 この世界の両親の言葉を理解出来るようになった。

 赤ん坊の頃は言語習得が早いと聞いた事がある。

 歩いて話す事が出来るようになったら早いうちに様々な言語を習得していこう。

 前世では英語を習得するのに苦戦したからな。

 それとハイハイで動く事が可能になった。

 今まで動く事が出来なかった分、家の中で動ける範囲だが物色して回った。

 家の中を見て地球とは違う点を見つけた。

 簡単に言えば少なくともこの家に電気が存在していないということだった。

 今の所、この世界の文明が地球よりも劣っていることが判明した。けど、女神様の言葉どおりだったら「地球はつまらない場所」とイキっていたけど文明の進化だったら間違いなく地球の方が上だけどな。

 夜になると蝋燭に火を灯しているし。

 それと外に出てみるととても田舎で周りには家が数軒だけ存在するだけで他は平原が広がっているし川辺が近くに流れていた。

 ようやく外に出れたと思ったら母親に抱き上げられてしまい家の中に戻された。


 ーーーーー


 ある日、冬の到来か父親が庭で薪の用意をしているのを目撃したので向かおうとすると父親が薪割りを尋常ではあり得ない速さでテキパキとしていた。

 その光景はまるでアニメでも見ているワンシーンかのようだった。

 僕がその様子を見ていると父親が嬉しそうに笑顔でこっちを見ている。

 それを見て「あー」とだけ言った。

 すると、いつの間にか母親が隣にきていた。

 父親が割った薪の一部を家に持って帰りストーブの中に入れると母親が何か一言呪文のようなものを言うと、右手の人差し指から火が出てきた。

 その光景はまるでアニメに出てくるワンシーンのようだった。

 ありえない出来事が目の前で起こっていた!


 その時、女神様が言っていた意味がわかった。

(異世界へ来たようだな!)

 僕は心の中でこの世界で自分の為に生きる術を考えた。






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