ルーヘン村
アルカディア国・シーン領。
シーン家は、上級貴族の中でも良い印象しか聞かない。平民にも優しい上級貴族はシーン家以外に聞かない。何故平民にも優しいかというと、昔シーン家の領主が平民の娘と結婚したことで平民にも優しくなったという噂がある。
その領で一番南にある小さな村に来ていた。
ルーヘン村。人口は百人にも満たない。周りには川が流れていない。その代わり草原で家畜を飼育していた。
ウシやヒツジなどの動物が呑気に牧草を食べているよこで人々が乳しぼりをしていた。
その様子を見ていると「アンナ~~」と男の声が聞こえた。
「お父さん!」とアンナは嬉しそうに手を振っていた。
お父さんと呼ばれた人は急いで家の中に入り「アンナが帰って来たぞ~~!」と大声で叫んでいた。
「それじゃあ行きましょう」とアンナは走って家の方に行った。他の家とは違って見た感じ立派のように見える。僕はノーラと手を繋いで後を追い、その後をサイモンが付いて来た。
家の玄関付近でアンナは誰かと話していた。
「あっ!ほら私の子供!」と僕とノーラは家の中に玄関先に入ると、歳を取った大人二人がそこに立っていた。
二人とも茶髪でどこかアンナに似ている。そんな雰囲気を感じ取った。
「どう?可愛いでしょ」と紹介されたので「こんにちは!」と元気よく挨拶すると「こんにちは!」とノーラも後に続いて挨拶した。
「男前の君がリオンで可愛い子がアンナよね」と聞かれたので「はい!」と返事した。
「それにしても手紙読んでいた通り、元気が良さそうで可愛らしいい子じゃない」
「そうだね。ノーラちゃんはアンナに似て美人になるに違いない」
「そうね。きっとそうだわ」と二人は僕たちのことを歓迎してくれたようだ。
「それで、君が…サイモン君だよね」
「はい!お義父さん」と上半身を九十度にして頭を下げた。
「アンナから手紙で聞いてるよ。有名冒険者らしいじゃないか!」
「いえいえ昔の話ですよ。ここ最近は村のために魔物を狩ったり畑などを手伝っています」
「そうかそうか!俺はよぉ。サイモン君の冒険者時代の話が聞きたい。ワインを飲みながらどう?」
「ぜひ!」
こうして二人は家の中にあがり楽しそうに話していた。
「あなた達も玄関で突っ立ってないで中に入りなさい」
「おじゃましまーす!」と元気よく声を出して家の中にあがった。
家の中に入ると沢山のチーズが保管されている場所に案内された。
「ほらアンナいくつか持っていきなさい!」
「いいのお母さん?」
「もちろんよ!ほら遠慮してないで選びなさい。持ち運びしやすいように切ってから渡すわ」と言い残し「私はお茶の用意を…」とおばあちゃんはどこかに行った。
今、アンナとノーラと一緒に数種類の中から好きなチーズを選んでいる。
(何かサイモンの実家と比べて引き締まらなくていいというか…平和だな)
僕らはチーズ選びが終わった後、僕らの住んでいる家のリビングよりも小さなリビングで椅子を用意し、テーブルの周りを囲み座った。
家族で雑談していく中でアンナと両親の名前がわかった。
おじいちゃんの名前はカール。で、ばあちゃんの名前はクララ。
今は二人暮らしだけど、アンナが家を出る前にフリーダというアンナのばあちゃんがいたこと。
フリーダさんは魔力を持っていたこと、それが理由で祖父母には魔力が無いのに、アンナが魔力持ちで生まれたらしい。
ルーヘン村は元々魔力を持たない人が住んでいた村ということもあり魔力のある子供相手にどうすればいいのかわからなかったという事もありカールはアンナに対して泣きながら謝っていた。
その姿にアンナは微笑んで許していた。
この姿を目に焼きついていた。
前世で住んでいた時、家族との絆なんて途中から無かったようなものだったから…いや違う僕が家族から遠ざかったんだ。
だからこそ僕は、目の前に広がる光景を守ろうと思った。
この世界の僕の家族、サイモンとアンナ・ノーラの三人を大切にしようと心に決めた。




