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対トーマス戦

 ハイランド家の屋敷の中にある訓練場でサイモンの祖父、トーマス=ハイランドと対面に向き合っていた。


 僕は大量に生成できる鉄しか使ってない剣を持っている。


「剣は安い鉄で作られた物しかない。だから切れ味とかは悪い。だが油断すると怪我するぞ」


「ふっふっふっ、おじいちゃんは微塵も考えていないようですね。自分が敗北する未来」


 するとトーマスが「はっはっは!」と笑い、剣をかまえた。


「行くぞ!リオン」


 トーマスが走って僕の方に向かってきた。


 ただ余りにも動きは遅い。


 そのまま僕に剣で攻撃してきても…余裕で躱せる。


 僕は足に(エアー)魔力を込めた。時間をかけて丁寧に、あの動きの遅いトーマスだったら先手で攻撃出来る。


「はああああ!」とジャンプした。


 風魔力の効果で少し飛びすぎだったかもしれなかったけど、真上からの攻撃を躱すことは出来ない。


 何故なら僕の真上からの攻撃は少し違う。


 例えば、屋根の上から奇襲で敵の上から攻撃を仕掛ける分は最強。ただ奇襲で仕掛けること以外で、つまりこのように対面での勝負は弱い。何故なら落下している間、ジャンプしてる人は何も成すことが出来ない。


 だから、本来ならこのような攻撃はすべきじゃない。


 ただそれは僕のように(エアー)魔法で自由自在に身体を扱えることが出来ない人間の場合だ。


 僕の攻撃に対して剣先を僕の右目に向けて突いて来た。


 予想だったら簡単に頭から剣の持ちての部分で叩いて脳震盪を起こさせようと考えていたけど、年寄りでも国境紛争で最前線で戦ってきたことはある。


 動きは遅い。ただ正確に僕の右目を潰しにかかっている。


 このまま真っ直ぐに落下したら右目が無くなり未来眼(フォノレジ)もなくなる。ただ僕の場合他の剣士とは違う…。落下速度に落下点も操れる。


 僕は、落下速度を落としてトーマスの剣先が届かない場所で一瞬止まり、微妙に身体の方向を変え敵の剣先が僕の右目からずらした。


 そして僕はトーマスの左腕に狙いを定めた。


 何故なら、トーマスは左手で剣を持っている。左腕の骨を折ればアンナの回復(ヒール)魔法で骨ぐらいすぐ治癒できる。


 僕はそのまま左腕をブッ叩こうとした…瞬間、左頬に殴られたような感触があった。


 気づくとそのまま飛ばされて壁にぶつけられた。


(……見えなかった)


 僕の攻撃は完璧だったはず…(エアー)魔力で魔力操作(マジックコントロール)の扱いも速さも正確さも完璧だったはずだったのに、今真ん中で僕の事を見下しているトーマスには効かなかった。


「フッ」と微笑み「リオン君はきっと将来何かを成し遂げる。ただ、圧倒的に足りないものがある。何か分かるか?」


 僕はその場から立ち上がり、「すみません。わからないです」と応えた。


「それは…油断と目に見える情報だけで戦おうとするな」


「油断は分かるんですけど、目に見える情報で戦ったらダメ何ですか?」


「ダメだな。特にリオンの場合、右目に魔力を込める癖がある。


「え???何で」


「戦いの時、私が剣先を向けた瞬間、無意識に右目に魔力が込められていた」


「そ、そうだったんだ…」


(まさか無意識に右目の未来眼(フォノレジ)で先を読もうとしていたのか…気づかなかった)


「まぁ眼帯が気にならない訳ではない。ただ一つだけ注意しておく()()は気を付けろ」


 そういうとトーマスは「ジェームズ!」と呼んだ。


「はい。旦那様」


「リオンに魔吸石を渡せ」


「はい、ただいまお持ちします」


「それじゃあ私たちは玄関に向かおう」


 そう言ったトーマスの後に付いて行った。その時アンナに治癒魔法で顔の腫れがひいた。


「大丈夫?」


「うん。少し油断してただけだよ母さん」


 らせん階段を下りると、玄関に着くとジェームズが待機していた。


(いや、速くない?ジェームズさん何かを取りに行っていたんじゃないの?)


「旦那様。こちらを」


 ジェームズがトーマスに渡していたのは黒くて輝いてる石だった。


「ママ綺麗な石!」


「ノーラ後で何か買ってあげるから」


「イヤだ!私も欲しい」


 ノーラは子供だ。欲しくなったものは泣いてでもおねだりするよね。


 僕はトーマスが持っていた石を奪いとりノーラに渡した。


「うわあぁぁキレイ…」と喜んでいた。


「ちょっとリオン!」


「まあまあ怒らないでください奥さん」


「嬢ちゃん。今度来た時は私のコレクションを渡そう」


「いいの?」


「もちろんだ」


「約束ね」とノーラとトーマスは仲良くなった。


(まあこの光景がおじいちゃんと孫のような関係だ)


「サイモン!」


「はあい!」と急に大声で呼ばれたのでサイモンの返事が裏返っていた。


「また来なさい」


「え?」


「それじゃあジェームズ。彼らを送ってきなさい」


「はい」


 僕たちはそのままジェームズに外まで送ってもらった。


 外に出るとジェームズが扉を閉めた。


「あれ?そういえばお金はどうなったの?」


「ああ忘れてたーーーー!!!!」


 サイモンは大声を出した。












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