ティーズ街の事件
「ダミン!裏路地でまた人が死んでるぜ!!」
一人の男性が【シュミット鍛冶屋】に入ってきた。
「どうした?ダン」
ダンと呼ばれた男は走ってきたのだろう。
ダンは、呼吸を整えた後「また、男性が一人死んでるんだよ!」と具体的に言った。
「アイツの仕業か」
「おそろくそうだ。現場についてきて欲しい」
「すまねぇ。お二人さん」
「何か事件があったそうですね」
「あぁ最近、この街で不審死が数件あってな。しかも死んでる奴は男性だけが狙われている」
「ダミン!ガキ二人に事件の事を話してもいいのか?しかもよそ者だろ」
「問題ない。コイツら強いやつらだからな」
「何?こんなガキ二人がダミンに認められた…?」
「心配しないで!自分の身ぐらい自分で守れるから」
エリ―は腕を組んで自身に満ちていた。
「ていうわけで、僕らも連れて行ってもらえませんか?」
その言葉を聞いたダンは渋い顔していたが、「いいじゃねぇか!もしもの時は、俺が守るからよ!」とダミンの一声でダンも納得したのか「じゃあ行くぞ!!」と僕らも急いで現場に足を運んぶことになった。
ーーーーー
殺人があった家の現場には、すでに大勢の人だかりが集まっていた。
ダンが「皆!ダミンが来たぞ!」と大声で言うと、集まった人だかりはダミンの方を見ると「ダミンさん!」「ダミンさんだ…」と期待の眼差しを住民から受けていた。
僕らもダミンの後に着いて家の中へ入った。
薄暗い家の中に入り階段を上って寝室に向かうと、ミイラのように血がなくて皮膚と骨と服だけの男性の不審死が横たわっていた。
「うぅぅぅ…」とエリ―は直視できないようで目を反らした。
「お嬢ちゃん無理するな。俺も出来れば見たくねぇ」
ダミンは、エリーが嫌がっていることに気づいた。
するとエリーはダンと二人で寝室を後にした。
僕は、その場に残り男性の遺体を見ていた。
「怖くないのか?」
「怖いけど…。僕には試したい事があるから」
「試したい事……?」
ダミンは、一瞬だけこっちを見ていたが周りをよく見ていた。
僕は魔力の方を右眼に込めて、未来眼の状態で寝室から出て家中を歩き周った。
特徴的な変化が起こり、あわよくば犯人が家の中に来てくれることに期待していた。
家中を探している間、ダンとエリ―の二人は既に家から出た。
「リオン、私たちは家の外に出るからね」
「坊主も家の中が嫌になったら来い!」
二人してギブのようで玄関の扉を開けて外に出た。
僕はその間に電気の付いてないカーテン越しの光だけで一階の様子を未来眼見ていた。
魔力を右眼に込め続けているので痛くなった。
僕は洗面所に行き鏡を見た。
すると自分に映し出された未来を見た。
裏口へ続く扉を開けた瞬間、何者かに襲われて何も見えなくなっていた。
おそらく数分後の未来を僕は見た。
正直、犯人の特徴が分からないから何ともいえないが、僕が何者かに襲われるのは確定していること。
裏口へ向かおうが、どのみち僕は何者かに襲われる。
だったら裏口へ行けばいい。
未来眼を解除した。
そして裏口へと向かった。
歩いている時、右眼からは血の涙が出ている。
ただそれでも僕は、自分の未来に変化を起こさせるため裏口へ出ようとしている。
僕は風刀を使おうと準備している。
裏口の出入口の前に立った。
僕は、手を震えながら扉を開けた。あたりを見渡すと誰もいなかった。一瞬だけビビッて損したと安堵したのもつかの間、背後から掴まれた。その時に大声を出さないように口や手足を赤い物体で封じられた。
「どうしてバレたの?まるで未来の出来事が分かっているようだね」
背後からは女性というか女子の声が聞こえて来た。
「まぁ、声を出せない今、魔法を発動したり魔力も発現出来ないよね」
何者かは分からないが声質的に油断していた。
「それじゃあ若い男性の血…いただきます!」
次の瞬間、風魔力で中に浮いて逃げた。
その時に赤い物体が取れた。
僕は振り向いて犯人に向かって「解き放て!風刀!!」と大きさ・威力・スピードを最大限の風刀を発動した。
すると犯人は目で捉えきれない速さで避けた。
右眼に魔力を込めて未来眼を発動させた。
正直、痛いけど未来眼以外に勝ち筋が思い浮かばない。
少し右眼に魔力を込めると、赤い物体が鎌のような物に変化させて背中から斬られる。
僕は、未来眼で得た情報を元に「守れ!風盾」と風魔力の強度を固めた魔法で背中に当たる攻撃を防いだ。
「なにぃぃぃいい!!」と女性から驚きの声が出ていた。
「いい加減、姿を見せたらどうだ?」
すると女性の動きが止まった未来をみた。
未来眼を解除した。
そのタイミングで女性の動きが止まった。カーテン越しに差し込む光でその姿が露わになった。
見た目は銀髪で赤眼で八重歯が尖っていて、背中に黒い翼が生えていた。
(これらの情報を元に前世で思いつく種族といえば、ゲームやアニメの世界にいると思い込んでいた…)
「我はリン・フォン・ヴァンパイア。人間世界では吸血鬼と呼ばれる」
どうやら目の前にいる者は、本当に吸血鬼らしい。
あまり信じることはできないが実際に異種族もいる情報もある。
「面白い人間だな。右眼といい無詠唱で魔力を扱うことが出来る点といい」
「それはどうも…吸血鬼さん」
「右眼から血が出てるぞ人間、どうやら休憩が必要みたいだ」
「僕は…まだ…戦える……」
「あまり無理するな人間の子供は弱い者だ」リンと名乗った吸血鬼は僕に近づいていた。
「近づくな…」
「安心しろ人間。お前は人間界で見ない人だったからな血は頂かない」
そう吸血鬼が言うと、僕は吸血鬼に身体を預けた状態で気絶した。




