鍛冶屋(2)
ダミンが笑い終わった後、エリーに「杖と魔法石を見せろ」と言ったので、エリーはダミンに渡した。
ダミンは受け取った杖を見て「ああ!!」と思い出したかのように大声をだした。
「何?」
エリーはダミンに対して強気に尋ねるとダミンから帰ってきた言葉はまさかの「おいおいコイツはエラの奴に渡したやつだろ!」と杖を見て言った。
「え?エラ先生のこと知ってるの!?」
「もちろんだ!何せエラとリオンの親父と一緒の冒険者のメンバーだったからな!」と言った。
「え!そうだったんですか!」と僕が口にすると、「何だサイモンの奴息子に何も説明してないのか?」
「はい。父さんが説明してくれたのは『店主に強さを証明しろ!』」とだけしか言われなかったので…」
「次会った時、どうしてくれようか」と言いながらパキパキと指の関節を鳴らしていたので、心の中で父さんに謝った。
「それにしてもお前らがエラの弟子だったのか。今はアイツどこにいる?」
「ウィローグレン村から出た後の行方はわかりません」
「ふーん。アイツなら何処かの学校で魔法について研究しているだろ」
「それにしてもエラも弟子を取ったとは言ったけど、弟子のことを詳しく教えてくれなかったからな」
「エラ先生らしいです」とエリー先程とは変わってダミンに対して親近感を感じていた。
「それもそうだ。アイツは肝心な話を流すからな」
「そうなんです!私たちに勉強を教えてる時も大事な事を言わない時があったんです!」
二人は共通の知り合いの話題で盛り上がっていた。
(師匠……。冒険者の時も自由だったんですね)
僕は、エラ師匠が紅茶を飲みながら適当に授業していた様子を思い出していた。きっとエリーも同じ光景を思い出しているだろう。
こうして、エラの話題で持ちきりだったがダミンがエリーに質問した。
「そういえば、どうして水魔石と火魔石が一般の杖に必要なんだ?」
「私たち、二つの魔力を流す事が出来るようになったから魔石が二つも必要になったの」
「まさか…いやエラの弟子なら可能なのか?」
するとエリーは、右手に水魔力で左手に火魔力を流した。
「おいおい…その年齢で完璧な魔力操作だぜ」
「リオンに教えてもらったの」
「何!?息子の方に教えてもらっただと?」
「うん!私はリオンの風魔力に惚れたキッカケで魔法を習ったの」と嬉しい言葉を聞けて嬉しい気持ちになっている。
「じゃあ息子は何が出来る?」
その言葉に対して、僕は風魔力と水魔力を片方の手で出した。
「複雑に絡む二つの魔力を片手で操る事ができるとは…」
「エリーも出来ますよ!」
「そ、そうなのか」と返事をして「じゃあ待ってろ」と言いながら奥の部屋に入っていった。
しばらくすると《カーン・カーン》と音が鳴り響いた。
おそらく魔石をちょうどいい大きさにして貰っているのだろう。
数十分後、ダミンは完成した杖を持ってきた。
「これが新しい嬢ちゃんの杖だ!」
ダミンが持ってきてくれた物は、師匠からもった物と変わっていて魔法石の形が球体から小さい三角の形に削られていた。
あの魔石の形は一度師匠から見せてもらった本気の杖に似ていた。
「その魔法石の形、エラ先生のと一緒だ!」
「ああ、エラの杖も俺が作った。過去に魔法石を球体にしたままで三つの魔法石を使用したら杖が耐えられずぶっ壊れた過去があるからな。それで思考して考えた結果、魔法石を三角に加工すれば杖が壊れることなく使用できたから問題ないと思うぜ」
「ありがとう。おじさん」
「ハッハッハッハ!!いいってことよ!」
「あの、話が変わるんですけど…。店内を風刀で無茶苦茶にしてしまってよかったんですか?」
あらためて店内を見渡すと武具以外にも壁にも傷をつけてしまったことに罪悪感を持った。
「問題ねぇ!どうせ店内に出している武具は俺が適当に作った粗悪品よ!俺は自分が認めた奴にしか武器や防具は売らないし打たねぇ!壁も大丈夫だ」
(懐が大きいのか、適当に返事しているのかわからねぇ)
「あと、僕に剣を…」作ってくださいと聞こうとした時、店の扉が開けられた。
「ダミン!裏路地でまた人が死んでるぜ!!」
何やら不穏な空気がティーズ街に漂っているらしい




