鍛冶屋へ
エリーに、緋色の魔法石をプレゼントした次の日。
僕たちは、ウィローグレン村から馬車で移動して鍛冶屋のある街に移動した。
始めてウィローグレン村から出た時、馬車で遠ざかる村を見て本当に小さな村だったと感じた。
あれは、母さんと一緒に隣村で牛や羊の乳や肉を手に入れるために移動手段として乗った日だ。
あの時は雪が降っていて、幼かった僕は、母さんの身体の温もりに助けてもらっていた。
懐かしい思い出だ。
ただ今回は温かく雪も溶けて馬も移動しやすそう。
馬車の移動中、馬車の揺れに心地よかったのかエリーが僕の左肩に身体を預けて眠りについた。
僕は着ていたアウターを脱いでエリーの身体が冷えないように被せてあげた。
するとエリーの口角が上がった。
きっと嬉しかったのだろう。
僕らは鍛冶屋のある街まで馬車に乗り続けた。
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「ティーズ街です」と御者の人が言った。
馬車に乗って数分、目的の街に着いたので僕らは両親からもらったお金を出して馬車を下りた。
お金。この世界の通貨は前世と似ており、一円玉と五円玉、一万円がない世界と思えば簡単に覚えることが出来た。つまり一の位の数字はゼロで、五駅先の馬車乗り場まで移動したため五百円。いやこっちの通貨では五百ポルだ。
ちなみにポルという名は、実際に存在する希少鉱物ポルから製造しているため通貨がポルと呼ばれるようになった。
ポル硬貨になってから、偽物の硬貨が流通しないようになった。そのためポル硬貨に特徴的な色を付けて加工して硬貨の価値を見比べることが出来るようになった。
結果として人間界に限り、世界共通通貨としてポルという名が使われるようになった。
紙幣に関しては基本的に流通していない。
日常生活を送るうえで、硬貨だけで十分だからだ。
基本的に、紙幣は大きなお金の支払いに使う事が大きい。
例えば、学校や研究者に通う時に使用する。
だが、実際に見ないと分からない。
今日は、物の価値について学んでいこう。
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ティーズ街を歩いていると、人の数に圧倒されていた。
周りを見渡すと、二階建てのレンガ造りの建物が建て並ばれていて看板も立てかけている。
沢山の店があり、人々が楽しそうに買い物していた。
エリーも人の多さに戸惑っているのか僕の手を握って離れないようにしている。
都市でもないのに、活気に溢れているのはいいことだ。
ここなら鍛冶屋も一店舗だけじゃないだろう。
僕はエリーと離れないように手を繋いで歩いた。
「ねぇ、どこの鍛冶屋に行くのか決まってるの?」
「もちろん。父さんから話を聞いているからね。そこの店に寄ってみるよ」
そう言って、僕らが着いた場所は【シュミット鍛冶屋】だ。
「ここに入るの?周りに誰もいないけど大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。きっと間違いない」
メイン通りの人だかりとは違い、人通りの少ない場所にある鍛冶屋だったためエリーは心配していた。
けれど看板に【シュミット鍛冶屋】と建てられているし、父さんの言葉を通りの場所だったため店に入った。
店内に入ると、剣や盾、杖、鎧が綺麗に並べられていた。
「綺麗な杖がある~!!」とエリ―も店内に並べられている杖を見て目を輝かせていた。
すると奥のドアから体格の大きい男性が来た。
「あの、彼女の緋色の魔法石を杖に入れて欲しいのですが」
エリーは、男性に杖を渡すと男性は「フン!」と笑われて、「お前らのようなガキに武器は売らん!ここは実力のある奴にしか売らないからな。冒険者にもなっていないガキに売る武器はねぇ!」と大きな声で言われた。
その言葉を言われたエリーは「何?私たちは客人としているんだけど、それが店主の態度なんですか?」
「俺はよ。ガキに付き合うほど暇じゃないんだ」
店主は、僕らに背中を向けて奥の部屋に入ろうとしたので、風魔法を放った。
「解き放て風刀!」
男性を怪我させない程度の威力で放った。店にある武器等は壊れたが、男性は振り返り風刀をカウンターに飾られている傷がついている盾で防がれた。
「ちょっと!リオン何やってるの?」とエリ―が戸惑っていた。
「お前…中々見込みのあるガキじゃねぇか!」と盾を元の場所に置いた。
「俺はダミン=フォン=シュミット。お前は?」
「リオン=ハイランドだ」
その言葉を聞いた瞬間男は驚いた表情をしていた。
「もしかして、お前の親父はサイモンじゃねぇのか!」
男性は僕の肩に手を置いていた。
「はい!」と返事するとダミンと名乗った男性は、「その顔、確かにアイツの面影があるな!杖なしで強い魔法を発動できるわけだ!!!!」」と男性は「ハッハッハッハッハッハ!!!!」と店内で笑っていた。
「ねぇ、あの店主大丈夫なの?」
「ダイジョウブ…。だと思う」
ダミンと名乗った貴族は笑っていた。




