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模擬戦

 十二歳になった。


 一年後になるとついに学校へ行くことが出来る。


 そこで、他の子供たちと一緒に学ぶことが出来るし、ウィローグレン村から出てより広い世界を知ることになる。


 ただ、僕としては精神年齢が高いため子供たちの輪に入れるのか不安になる。


 まぁ、もしもの場合はエリーがいる。


 幼なじみのエリーは成長した。


 身体的な面もそうだが、魔法もだ。


 (アクア)魔法に関しては、僕と張り合える強さ、いやそれ以上の強さをみについており、(ファイア)魔法もおそらく他の同学年と比べたらトップクラスの実力を身に着けているだろう。


 エリーのオリジナル魔法に、剣術で対抗した方が簡単だった。


 本来魔法は、援護的な役割なのだが、エリーは詠唱を省略しているため魔法発動時間が格段に速くなった。それだけだったら昔とさほど変わらないが、明らかに魔力量が僕よりも多く存在していた。


 十一歳の頃、魔力操作(マジックコントロール)で魔力量を測ろうと、草原でお互い(エアー)魔力で遊んでいたのだが、エリーの方が長く魔力を出していた。


 量以外にも質もより濃い魔力を発動出来ていた。


 その日の夜、ベットの上で複雑な気持ちになった。


 前世の僕と同じだった。


 中学校の頃、入部した部活で同学年たちの中では上手い方だった。


 誰よりも上手く先輩や顧問の先生から期待されていた。ただ二年生になると立場が逆転される。一番上手いと自負していた僕は一番下手というレッテルを張られていた。


 先輩や後輩、同学年から邪魔者扱いされた。その環境に耐えられなくなった僕は正式に顧問の先生に「辞めます!」と報告して紙を提出した。


 では何故そのような結果になったのか、簡単な話で努力を怠ったからだ。


 いや、それよりも誰よりも勝敗に拘らずただ楽しんでいただけだ。


 それが間違いだった。


 部活は勝つために切磋琢磨する場所だ。


 遊び感覚で入部した気持ちに比べて同級生は、負けたくない勝ちたいという気持ちが僕よりも人一倍強かった。


 その結果、弱者になった。


 ただ今回は、僕も努力した。


 だからこそ、エリーに負けて悔しい気持ちがあったし、逃げない。


 いつかエリーに追いつくように僕はこの世界では努力を続ける。


 努力をやめたら前世と一緒で何も残らない。


 就活で困るような人生を送りたくない!


 そのため今も、誰も居ない草原でエリーと一緒に模擬戦をしていた。


 目の前にいるエリーは僕よりも背が高くなっていた。


 前世でも女の子は身長が速く伸びていた気がするので仕方がないと思いつつ、身長が伸びなかったらと思うと心配になる。


「そんなに心配しなくても、リオンも大きくなったら魔力量や魔力の質も私よりすごいことになる

 っているよ」


「それでも僕がこのままだったらと思うと努力はするべきだ」


「私は大丈夫だと思うけど」


 僕は身体を浮かせて(エアー)魔力で突風、(アクア)魔力で足元を濡らして動きを阻害し、木刀で向かった。


 エリーは、「解き放て爆発(エクスプロージョン)!」ドカーンと火と水の組み合わせで出来た攻撃技を使った。


 この技は、僕が蒸気の説明をしている時に生まれた魔法で、エリーの水氷針(ツララ)に高温の(ファイア)魔力の組み合わせ技で瞬時に爆発がおこり攻撃出来るという魔法だ。


 僕はその爆発で木刀を手放し、手や腕が火傷した。


「解き放て水弾(アクアバレット)!」と僕は魔法を放った。


 この世界に存在しない銃をイメージしたオリジナル魔法で、(アクア)(ひょう)に変換し(エアー)魔力で(ひょう)のスピードを上げ当て続ける魔法で、水の球体(アクアボール)より威力・スピード共に格段に上がった。杖を使って攻撃力を上げれば致命傷だが杖を使っていないため身体を貫通するほどの威力はない。


 エリーは冷静に水の壁(アクアウォール)を出して水弾(アクアバレット)を防いだ。


 僕は「参った!」と手を上げた。


 するとエリーはすぐに回復魔法で僕の火傷を治した。


 治療が終わると「何で爆発(エクスプロージョン)を避けなかったの?模擬戦じゃなかったら死んでいたよ?」と怒られた。


「確かに未来眼(フォノレジ)を使えば避けることは出来たけど…」


「けど?」


「少し無茶をしてみたくなって…」


「もう!最近のリオンはそういう戦い方ばっかり…」


「ははっ、ごめん」


「本当に思ってる?」


 エリーの心配をよそに、僕は考えていた。


 未来眼(フォノレジ)は言わばチートだ。それに頼っては成長はしない。


 しかも目にどのような影響があるかわからない。


 最悪失明する可能性がある。


 いざ大事な場面で使えないと意味がないからなここ最近は自身で封印していた。


「まぁ、いいや」


「そういえば、今日エリーの誕生日だったよな」


 僕は草原に持って来たカバンの中から緋色の魔法石を渡した。


「もしかして…」


「その魔法石を師匠に貰った杖に鍛冶屋で加工してもらえれば、きっと(アクア)だけではなく(ファイア)もよりよい魔法が発動できる」


「だったらさ、リオンと一緒に鍛冶屋に行きたい!」


エリーは、僕の方を見て目を輝かせていた。


「いいよ!」


「やったーーー!!!」


 エリーは草原の真ん中で飛び跳ねて喜んできた。


 僕も父さんの手伝いで稼いだお金をプレゼントとして全額使ったけど、喜んでいる姿を見て嬉しかった。

















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