プロローグ
僕は、現役大学生の二十二歳。
これからの明るい未来を見据えていた筈の一般市民だ。
しかし、ここ数ヶ月はそんなことも考えることが出来ないぐらい余裕のない数日を送っていた。
理由?内定が決まっていないからだ。
季節は秋で周りの友達は内定を決まっていた。
それでも僕は、余裕の態度で友達や知り合いには「心配ない」や「大丈夫だよ」など口に出して笑顔で明るく振る舞い、家族には電話で「もう直ぐ決まる」と言った。一次面接や二次面接で落ちているどうしようもない人なのに。
こうして嘘を付きながらインターンや面接の予約を入れながら、時間が空いている場所に電車に乗って面接へ向かう。面接を受けた回数は約五十社程だ。
ただ、このような話を誰にでも相談できるはずもなかった。
こうして僕は徐々に精神が疲弊していった。
それに耐えきれなくなった僕は、現在一人暮らしの部屋で電気を付けずに、ハイボールを飲みながらソシャゲをして現実逃避をしている。
こんな事をしても何も変わることがないことはわかっている。
ただ、もう何もしたくない。
世の中は人手不足とかなんとか話を聞くけど、僕はこのままだと無職になるしか道がないのか?
それともフリーターか?
新卒というカードを使う事ができるのに?
気付いたらまた余計なことを考えているな!僕は!
今までのストレスと酔いの影響で罵詈雑言の嵐をブツブツと言った。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
時計には午前三時と記載されていた。まさかの八時間も時間を無駄にしていた。
散歩しよう。
酔いを覚ますために外に出るという選択をした僕は、しばらく散歩すると足元に違和感を覚えたので確認した。確認すると肌寒いのにサンダルを履くという意味わからない行動をとっていたせいで、足元涼しい。
何しているんだろうな。
ふと、酔った頭で冷静に考えていると、やりたい事や夢といった自分自身の信念を他人より持っていなかった気がした。簡潔に言うと個性が削がれていた。
いつも、仲間外れになりたくないから誰かの意見や後に着いて行っていたし、先生に叱られないよう目立つことを避けてきた。
高校も別に友達がいるからで選び、大学も親や親戚から褒められる所へ行っていた。
友達と遊ぶ時も自分の意見を言わずに、誰もやりたがらないポジションを選んでいた。
例えばサッカーだったらゴールキーパーだ。
その当時はゴールキーパーなんて嫌だったけど、役割として確立されていたから「嫌だ!」と言うことも出来ずにそのまま遊んでいた。
何故言えなかったか?仲間外れになるのを恐れたからだ。
つまるところ昔から自分自身に偽りながら家族や友人と共にいた。
そのような人生を送っていた僕にとって就活は未知の世界だった。
何故なら親にも友達にも誰からも意見がない。
前に見えていたはずの背中がその時にはなかった。
だからだろう。就活がうまくいかないのは。
そのように考えていると急に視界が明るくなった。
本来なら午前三時なのでおかしいはずだ。
僕は目の前をよく前を確認すると赤信号だった。
(え?)と頭の中で考えていると『ガシャン』車に轢かれていた。
そんな馬鹿な!
僕の人生これで終わり?
口から血の味がしてくる。
身体中が動かない
今まで死んでもいいとか考えてそうなことを数日ぐらい思っていたけど、いざその時が来ると怖くて恐ろしいと感じていた。
死と言う恐怖を恐れていた。
車を運転していたおじさんが電話で何かを伝えていた。
おそろく僕を助けようとしてくれているのだろう。
「大丈夫か!」といい救命活動もしてくれていた。
ただ、僕は助からないだろう。
(クソっ!酔いながら散歩なんてするべきではなかった)
僕は、二十二歳という若さでこの世を去った。




