表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/10

日記・少女の軌跡

戦闘が終わり放心状態の俺を小川が操作する、頭が回らない何も考えられない今自分が何をしているのかすらわからないまま、俺はルミアの残骸をあさっていた


ルミアの着ていたローブの内ポケットから日記帳が出てきたとき、ようやく俺の頭は正常に働きだした


「ルミアの・・日記」


これを読めば彼女のことを理解できるかもしれない、息を整えゆっくりとページを開く


今日から日記を書くことにした、城を散策してたらこの日記帳を見つけた、リアスに聞いたら使ってもいいって言われたのでこれからその日あったことを書いてくことにした


リアスは私がどこに行こうとしてもついてくる護衛兼見張り役だ、どこに隠れても必ず見つけられる、明日はツボの中に隠れてみよう


ツボの中に隠れたのは正解だった、初めて城の外に出られた、城の外は庭が広がっていて奥には雲が見えた、この城は空に浮かんでいたのだ、庭の端まで行って地上をのぞき込うとしたときリアスに見つかった


地上に行ってみたい、お父さんにお願いしたけどダメだって言われた、だから私はこの城から脱走することを決めた


脱走するといってもこの城は空に浮かんでる、飛び降りれば当然死んじゃう、私にもリアスのような翼があれば良かったのに


リアスの目を出し抜くのにも慣れてきた、いつもリアスが絶対に入ってはいけないという部屋に入ることが出来た、部屋の中にはいろんな物が置いてあったけど真ん中の机に置いてあった光る玉が気になった、その玉に触ろうとしたときリアスに見つかってこっぴどく叱られた、あの玉はなにって聞いたけどリアスは答えてくれなかった


どうしてもあの玉が何なのか知りたくて城の書庫でいろいろ調べてみた、あの玉は『天の宝玉』というものらしい、天と地をつなぐ為に必要な三つの宝玉の一つでこれを持っていると空を飛ぶことが出来ると書いてあった、つまり『天の宝玉』さえあればこの城から脱走することができるのだ、どうにかしてあの『天の宝玉』盗み出そう


今更だけど脱走の計画を日記帳に書いてたらお父さんやリアスに気づかれるかもしれない、やっぱりばれたら怒られちゃうかな


『天の宝玉』を盗み出すためにはリアスをどうにかしなければならない、いつも一瞬出し抜くことはできても最後には見つかってしまう、なにかいい方法はないだろうか


書庫でいろいろ調べていると強力な睡眠薬の作り方がのっていた、これしかないリアスを眠らせてそのすきに脱走するのだ


睡眠薬が完成したこれで脱走の準備は整った、計画はこうだまずいつもリアスが飲んでる紅茶に睡眠薬をいれリアスが眠ってる間に例の部屋から『天の宝玉』を盗み出し空を飛んでこの城から脱出する

結局、計画はばれなかった、やっぱりお父さんは私に興味がないみたいだ、でもリアスにも気づかれなかったのは意外だった、ともあれ明日計画を実行に移す


計画は大成功、ついに夢にまで見た地上に降り立つことが出来た、とりあえず明日は近くの町に行ってみよう


私の父は魔王だった、私の住んでいた城は魔王城で私は魔王の娘だった


数か月ぶりにまた続きを書こうと思う、あれからいろんな町を渡り歩いた自分が魔王の娘であることは隠して、そして魔王によってもたらされた悲しみ怒り奪われた幸せを知った、多くの人が魔王を憎み恐れ忌み嫌っていた、ここに私の居場所はない


今日初めて魔物を殺した、半分は同族の魔物を剣で切り刻んだ、あの魔物の悲痛な叫びが頭から離れない、でもこれからも私は魔物を殺さなくてはならない、そしていつか必ず魔王を父を殺さなきゃいけない、そうしないと私はこの地で生きてちゃいけない気がするから


今日リアスに見つかった、父からの命令で私を殺しに来たのだ、激しい戦闘の末私はリアスを殺した、今はもう何も考えたくない続きは明日書こう


リアスはカバンを持ってきており中には『天の宝玉』について書かれたあの本が入ってあった、その本を見てあと二つの宝玉のことを思い出した、『地の宝玉』と『狭間の宝玉』、三つの宝玉がそろえば天と地をつなぐことが出来るという話、これは魔王城にいくためのものだったんだと気づいた、『天の宝玉』だけではパラシュートのようにゆっくり落ちることしか出来ず、現状私は魔王城へと帰る方法を失っていたのだ、当面の目標が決まった残り二つの宝玉を集めることだ


リアスのカバンにはほかにも旅に役立つ知識の載った本が入ってあった、やっぱりリアスは初めから私を殺すつもりはなかったんだ、きっと脱走計画のことも知っていたんだと思う、知っていた上で見逃してくれていていたんだ、ありがとうリアス私がんばるよ


『地の宝玉』を持っているというメタルゴーレムを倒すために『高台の遺跡』に行ってきたのだが素敵な出会いがあった、私と同じく魔王を倒すために旅をしているクリオネという少年だ、共にメタルゴーレムを倒しその際折れてしまった剣の代わりに自分の剣を私にくれた、彼の優しさに報いる為にも必ず父を倒そう、本当は一緒に旅をしてみたかったけど別々に行動した方がきっと多くの人を助けられるし、何より私が魔王の娘だということは知られたくなかったから、でもまたどこかで会いたいな


あれからしばらく旅を続けているが『狭間の宝玉』の情報は入ってこない、正直心が折れそうだ、けど今もどこかでクリオネは魔王を倒すため頑張っていると思うと私も頑張ろうと思える、同じ目的持った同志がいるというのがこれほど心強いとは思わなかった、明日も引き続き『狭間の宝玉』の情報を集めよう


地道な情報収集のかいあってようやく『狭間の宝玉』が生と死の狭間の空間『黄泉の入り口』にあることが分かった、『黄泉の入り口』に行くには極限まで死に近づかなきゃいけない、でも覚悟は出来ている


ついに手に入れた、三日三晩断食と断水をし瞑想し続けた、何度も倒れそうになったがその度にリアスとクリオネの顔を思い出して耐え続けた、そして私はその空間にたどり着いた、夢か現かも分からないその場所で光り輝く玉を見つけた、次に目を覚ましたとき私の手には『狭間の宝玉』が握られていた


ついにここまで戻ってきた空を見上げればあの城がある、明日魔王城に乗り込み父を打ち滅ぼしそして一から始めよう私の人生を


日記はここまでだった


「これがルミアの真意・・・」

「なあ小川、俺はこれからどうすればいい、この日記を読めば俺のなすべきことが分かる気がした、けどルミアの気持ちを理解して分からなくなった自分がどうすればいいのか」


「ルミアの遺志を継いで魔王を倒せばいいんじゃないか、きっとルミアもそれを望んで・・」


「いや、たぶんルミアはそんなことを望んではいない」


「・・・どうしてそう思うんだ」


「俺と同じだからだよ、俺が魔王を倒そうと思うのは俺が勇者だからだ、もし今からでも別の人間に勇者の称号を譲れるならきっと譲るし、勇者じゃ無くなれば魔王を倒そうとなんて思わない」


そう俺はただそうしなければならないから戦うんだ、自分の存在意義を守るために


「ルミアは父に死んでほしかったんじゃない、自分の手で父を殺したかったんだ、そうすることで魔王の娘という十字架から逃れたかったんだ」


日記を読んで分かった、俺とルミアは似てる俺もルミアという同じ目的をもつ同志がいてどこかで戦っていると思うと自分も頑張ろうと思えたから、でももうそのルミアはいない、俺はこれからどうすればいいんだ


「・・おかしいここは仲間が・・・というか本当はさっきも・・・」


なにをぶつぶつ言ってるんだ


「なあもし、ルミアを生き返らせる方法があるって言ったらどうする」


ルミアが生き返る!!


「それは本当か」


「魔王を倒した後のクリア後要素で『聖竜』を倒すことで願いを叶えてもらえるんだ・・・けど」


「けど?」


「正直、レベル一で倒せる相手じゃないんだ、かと言ってレベル上げをする気はない、このデータはレベル1の状態で残しておきたいからな・・・お前からすればふざけんなって話だろうが」


「・・・いやいいさお前からすればこの世界はゲームの中でしかないからな、むしろ十分だ」


「え?」


「倒せばいいんだろレベル1でその『聖竜』ってのを、だから最後まで付き合えよ」


可能性がある、今はそれで十分だ


「じゃあとりあえず魔王をちゃちゃっと倒すか」


「その前にルミアの剣を見てくれよ」


言われた通りに剣を手に取る、その瞬間手のひらから力を吸われた


「呪いの装備か」


だがそれだけではなかった、よく見るとそれはかつてルミアに渡した『妖精の剣』だった、刀身は黒く染まり禍々しいオーラを放つ、以前とは全く別の武器となっていたが間違いない、まだ持っていたのか


「呪いの装備ってのは死者の怨念や未練が詰まっている、きっとルミアにはやり残したことがあるってことだ、お前の言うとおりルミアは自分の手で魔王を倒したかったんだろう、だから倒させてやろうぜ」


為すべきことは決まった、そして魔王城と地上をつなぐ橋は既にかけられている、ルミアが残してくれた道を一歩ずつ踏みしめる


「さあ魔王退治だ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ