消えない生命で、消えた世界を。
ある少女は言う。
「私たち、これからどうすれば..」
水滴が一つ、二つ。滴る頃に、もう1人の少女が答える。
「いつか、人間たちが戻ってくるまで。その時まで待つの。私はね。信じてるの。いつかあの日常が帰ってくるって、いつかきっと、帰ってくるって」
その回答に、少女は...
「おかしいな...私たち...泣けないはずなのに....」
少女の頬に、一滴の水が滴る。
2人とも、気づいている。世界は滅んだのだと。もう人間は戻ってこないのだと。もう、あの日常は、楽しかった日常は戻って来ないのだと。
2人の少女は、己に、そして世界に問う。
「私たちの、この偽物の生命に、意味はあるの?」
世界が静まる、無反応だ。
目の前の水面には、2人の顔が映っていた。
そして、1人は泣いていた。その少女は言う。
「私...機械なのに....どうして....」
その問いかけに、少女ははっきりと答えた。
「それはね。人間になった証拠だよ」
「そう...かな?」
「うん。絶対にそう!」
彼女は手を取り、元気に答えた。
「そうだよね。うんそうだよね!」
少女たちは現実から目を逸らした。
報復が、怖いから。
それでも、少女は生きる。
なぜなら、彼女らは偽物の生命で...
『死ねないから』