ワタクシの紹介
皆様、ごきげんよう。
ワタクシの名前はメデューサ。
親がつけた名前ではないけれど、本来はそう呼ばれるはずでしたの。
はるか昔。
ワタクシは母と暗い洞窟で暮らしていました。
なぜって。。。
ワタクシと母は、目が合う方を石にしてしまうという特殊能力の持ち主ですので
ひっそりと誰にも見つからぬよう、細心の注意を払って生活していましたの。
もちろん、親子であってもその特殊能力は発揮されてしまうので、ワタクシはいつも
母とお揃いの素敵なレースの目隠しをしていたのよ。
今思えば、洞窟住まいの当時のワタクシの唯一のおしゃれは、あの目のレースね。
母とお揃いだから、ワタクシも母のように美しい女性になれてる気がしていたわ。
ワタクシの父は、しがない大蛇。毒を持っていたおかげで毎日母に毒づいていたわ。
そんな父に耐えられず、私が幼い頃に別れてそれからシングルよ。
まぁ母ほどの美貌の持ち主なら、男の蛇なんていくらでも選び放題なんですけどね。
人間?神??モンスター??
あ~~。それは無理ね。全然タイプではないもの。
まず、顔の作りのいい男は笑顔がウソっぽいでしょ。
それに、顔の整ってる男は女が沢山言い寄ってくるのよ。
さらに、顔面が素敵ってだけで、自分が1番だと思ってるわ。
色々総合的に考えると、やっぱり蛇系男子が一番ね。
父のようなタイプは嫌だけどやっぱり毒系の蛇が
色鮮やかだから派手で好き。
そうそう。
ある日つつましく母と暮らしていた洞窟に。。
来たの。。
ペルセウスって男が。
世の中いろんな話が出回ってると思うけど。。
真実はこうよ。
あまりに美しい母に求婚しまくっていたペルセウス。
母は私の育児もあるし、恋愛したい気持ちじゃないって何度も断ってたの。
それに、仮にも相手は英雄。万が一石にしてしまったら大変だから、諦めてって。
母は容姿だけでなく、心まで美しいレディだったのよ。
自分の恋愛より、娘の私を一番に考えてくれてたんだから。
でも、あの男はめげなかったわ。蛇の父よりもものすごい粘着質。。
そして、何十回目かわからないけど。。
ウチに来た時、いつもどおり母が帰ってくださいって追い返してたの。
そして、ペルセウスに背を向けた時に。。
「君は僕だけのものだ!!」
彼も母に断られすぎて、追い詰められてたのね。
背後から母の首を切ったのよ。英雄なのに、背後から。
そして、母の頭を抱えて大泣きしながら帰っていったわ。
この状況を、まさに岩場から見ていたワタクシ。。
あまりのショックで頭の蛇たちが全部死んでしまったの。。
1匹残らずよ!
おまけに、頭の蛇たちが死んでしまったおかげで。。
ワタクシの成長も止まったわ。。
本来寿命もあるはずなのに、老いないから死ねない。。
おまけに、特殊能力も消えたわ。。
頭に蛇の死体がなん十匹もひっついてるだけ。。
子供でも大人でもない中途半端な見た目のまま数千年も・・生きてるってわけよ。