【じりーぷあー】異世界漫談【漫才】
二人「はい、どーもー」
ボケ「異世界に行きたい!」
ツッコミ「どうした急に」
ボケ「いやね、お前とこうしてしゃべってんのも飽きたんで。それに売れない芸人なんて無職みたいなもんですし」
ツッコミ「ここの稼ぎよりバイトの方がいいから現実逃避したくなるのはわかるけど、いきなりそんなこと言ったらお客さんが帰っちゃいますよ」
ボケ「ねぇ、みなさん。 僕らがどんだけ金ないかわかります? こいつ立派なスーツ着てますけど後ろはこんなんですからね?」
(ボケがツッコミを振り向かせて素っ裸の後ろを見せつける)
ツッコミ「やらなきゃばれないのにやめなさい!」
ボケ「ちなみに僕は前はふんどし一丁ですけど、後ろはスーツで決めてますからね! こいつと半分こしてるんです!」
ツッコミ「いや、漫才で後ろだけスーツ着てても意味ないでしょう?」
ボケ「男は背中で人生を語る!」
ツッコミ「それでどんな人生を語ってんだお前ぇ!? 恥を晒してるだけだよ!」
ボケ「こんな貧乏な俺達だからね、ちょっとくらい異世界に夢見てもいいじゃないですか?」
ツッコミ「夢見るのは自由ですけどね、しゃべる事しか能のない僕らが異世界いっても生きていけないと思いますけど?」
ボケ「そこは神様にチートな能力をもらうんで大丈夫ですよ!」
ツッコミ「最初からすごいご都合主義が来ましたよ。まぁ、現代人の僕らはそれがないとやってられないですけどね」
神 (ボケ)「トラックにはねられて殺したお詫びに、能力を与えよう(イケジジボイス)」
ツッコミ「異世界に飛ぶ設定もできてるんですね。ベタだけど」
神「お主に与える能力、それは”誰からでも小銭を借りパクできる能力”じゃ!」
ツッコミ「ちょっと待て! しょぼすぎない?!」
ボケ「やったぜ! これがあれば誰からでも小銭を借りて生きていける!」
ツッコミ「いや、そりゃチートには違いないけど……もっとこう他にあるでしょすごいのが!」
ボケ「こんな、こんな能力を持ってれば貧乏生活もしなくて済んだのにっ!」
ツッコミ「尊厳はなくなりますけどね!」
ツッコミ「それで? 小銭を借りパクできる能力をもって異世界で何するんですか?」
ボケ「そりゃまず装備を整える必要があると思うんですよ。だからですね」
ツッコミ「ああ、さっそく借りパク能力を使うんですね?」
ボケ「住居のツボや宝箱をあさってお金や旅に必要な道具をゲットします」
ツッコミ「泥棒! それをやったら泥棒ですよ!」
ボケ「勇者だから大丈夫!」
ツッコミ「勇者でもダメでしょ! せっかくもらった能力使わないんですか?」
ボケ「えぇ~? 初対面の人にやるのはちょっと」
ツッコミ「面識ができるほうが後々めんどくさいと思いますがね!?」
ボケ「そこも能力でどうにかなるから大丈夫ですけど~。お前が使えっていうから~。しょうがないから使いますぅ~」
ツッコミ「腹立つ言い方だなお前! 積極的に使えって言ってるわけでもないよ!」
ボケ「と、こうして小銭を借りパクして買った金で剣を買いまして冒険の旅にでるわけなんですが」
ツッコミ「そんな安もんの剣一本で旅にでて大丈夫なわけないですよね?」
ボケ「ここから先の話は別料金となっております」
ツッコミ「いやいやいや! なんで漫才で課金せにゃならんのや!?」
ボケ「いやだって僕ら金がないですから、要所要所で稼がないと今月の家賃も払えないし」
ツッコミ「それは今言う事じゃないでしょ!? お客さんすでにお金払って僕たちの漫才を聞いてくれてるんだしタダで話しなさいよ!」
ボケ「それはそれで全部語ると持ち時間を全部使ってもとても足りないし」
ツッコミ「あーはいはい、じゃあクライマックスの部分だけしゃべりましょうよ! それで課金してくれる人もいるかもしれないし」
ボケ「さっきから言うなと言ったり言えと言ったり……」
ツッコミ「やるなら早く! このやりとりでも持ち時間使ってるんだから!」
勇者 (ボケ)「俺がぶっ殺してやる! 遺言状はちゃんと準備してるか? 魔王ぅぅぅ!!」
魔王 (ボケ)「わしをなめるでないわ勇者! 跡取りも相続も含めてキッチリやっておるわ勇者ぁぁ!!」
ツッコミ「ツッコミが追い付かねぇ! 話飛ばしすぎでしょ! 勇者が口汚すぎ るのは、そういえばお前だったからいいとして、随分常識的な魔王だな!」
魔「もっとも継がせたのは次男だし、借金しかないから相続したら多額の負債を背負う事になるがのぉ!」
ツッコミ「うわ! 跡目争いを起こすような事してるし、相続は嫌がらせだしやっぱ性悪だったわ!」
勇「許さねぇ! この小銭を借りパクして買った剣にかけてお前を討伐する!」
ツッコミ「いや、魔王城にきたのに初期装備のまんまなんかい!? なんかこう冒険の途中でさぁ!、伝説の勇者の剣を抜くイベントとかなかったの!?」
勇「いくぞ魔王! 必殺"真っ向切り"!」
ツッコミ「いや、それただの基本の型だしお前の振り方どうみてもただの素人ですやん!」
魔「あまいわっ! 魔界流徒手空拳超絶裏秘奥義! "シリアス・ホワイト・ブレード・キャッチ"!」
ツッコミ「いや、すごい派手な名前ついてますけど、やってることはただの真剣白刃取りですやん!」
勇「なにぃっ!? 俺の真っ向切りが止められた……だと!?」
ツッコミ「そりゃ何の捻りもなくただ振り下ろしたらそうなりますよ!」
魔「残念だったな勇者よ! わしにはどんな攻撃も通じんのだ!」
勇「くそっ! どうすればいいんだ!?」
魔「ふはははは! 小銭を借りパクされない限りこのわしは無敵なのだ!」
ツッコミ「弱点ばらしちゃってますよ魔王様! しかもなんでそんなピンポイントな弱点なんですか!?」
勇「小銭を……借りパク……そうか! 俺の能力はこの時のために!」
ツッコミ「いやいやいや! 切り札みたいに言ってますけど、貴方最初に使ってますしそんな大層なものでもないですよ!?」
勇「くらえ魔王! ”小銭を借りパクする能力”!」
魔「何ぃ! 勇者に……勇者にわしの小銭をパクられたぁぁーー!!」
ツッコミ「叫んでますけど犯人は目の前にいますよ! 捕まえないんですか!?」
魔「ぐわぁぁぁーーー!!」
ツッコミ「小銭をパクられた程度で倒される要素はゼロですよ魔王さん!? どんな弱点なんですかソレ!?」
神「勇者よ、よくぞ魔王を討ち果たしたのぉ」
ツッコミ「あなたがくれたしょーもない能力のおかげですけどね」
神「そなたの偉業をたたえてお主に称号を与えよう! この世界に帰ってきたらそこのごく潰しにでも自慢してやるがいい!」
ボケ(勇)「というわけで自慢しに戻ってきましたよ」
ツッコミ「いや、こっちは今までさんざんお前の一人芝居を見せられてるんですから。戻ってきたもくそもないですよ」
ボケ「ねぇ? 聞きたい? 神様にもらった称号聞きたいでしょ?」
ツッコミ「いや別にお前が考えた称号でしょ? どうでもいいですよそんなの」
ボケ「ねぇ? 聞きたい? 神様にもらった称号聞きたいでしょ?」
ツッコミ「あ、これ”はい”を選択するまで無限ループするじゃん! わかったから早く言いなさい!」
ボケ「”無敵の人”」
ツッコミ「今と大して変わらんやん! いい加減にせいや!」
ボケ「ありがとうございました~」