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第6話 失恋の兆し

「そうだよ。


それが、どうかしたの?」


「話してみてから、普通じゃないってわかった」


「そうなの。


これで、青葉ちゃんも疲れちゃったんだろうね」


 私は、今までのストレスがたまっていたのか、華ちゃんと長電話をしている。


「こりゃあ、疲れるよ。


だって、一方的に話すし、こちらの話を理解していないし、いつも的外れな答えばかりだしてさ、しかも、本人に自覚がないなんて」


「ほんと、そう。


いつも、そう。


だけど、ほうっておけないの」


「だから、井藤君から人が離れていくんじゃない?」


「私は小学校の時からずっと一緒だけど、誠君と友情が続いた人を知らない」


「西園寺さんは、偉いよ。


ちゃんと面倒みててさ」


「だよね?


自分でもそう思う。


こんな誠君とずっと一緒にいられて、なおかつ、私はいまだに誠君が好き。


だから、私はおかしい人じゃないかって疑っているの」


「そんなことない。


恋をするのに、おかしいとか絶対ない。


誰だって、何でこんな人を好きになったんだろう?って人を好きになることだってある。


だから、西園寺さんが特別なんかじゃない」


「そうだよね。


だけど、やっぱり私はつらいよ。


誠君に振り向いてもらえない私がいる価値があるのかなって。


ただ、一緒にいるだけで、何の価値も魅力も引き出していない。


そして、どうして誠君は私のことを好きにならないのかなって」


「井藤君も、悪意はないかもしれない。


だけど、自分の身勝手さが人を追い込んでいることに気づいていない。


それも、発達障害の特徴かもしれない。


IQは、どのくらいだったの?」


「80くらいって聞いた」


「それなら、井藤君はこれからも敵を作るし、いろいろな方法でまわりを振り回す。


だから、西園寺さん、これから同じ高校だって言うし、つらい時はいつでも相談に乗ってね」


「うん。


ありがとう。


華ちゃん」


「西園寺さんは、一人で頑張りすぎなところがあるから、つらい時も悲しい時も、遠慮なく私を頼ってよ。


それに、井藤君に敵が多いのは、明らかに彼の方に問題があると思うからさ」


「そっか。


やっぱり、デリカシーとかないもんね。


青葉ちゃんの件は今更どうにもならなくて、私も青葉ちゃんの気持ちに気づいてあげられなかった」


「仕方ないよ。


私たちは気配りや相手の気持ちを想像することはできてもさ、エスパーじゃないもん。


何でもわかるって無理があるよ。


それを誰にも相談しなかった東海さんにも問題があると思うな」


「これで、すっきりした。


これから、よろしくね、華ちゃん」


「西園寺さんも、よろしくね」


 こうして、私たちはお互いに電話を切った。


 私と、誠君は高校に進学することができて、私は憧れのセーラー服を着ることができた。

 それに、誠君のことを語れる華ちゃんとは、親友のいう間柄になれた。


「クラス違うけど、親友だよ」


 私と誠君は同じクラスになれたけれど、華ちゃんとは隣のクラスだ。


「隣のクラスぐらいで、大袈裟。


これぐらいで、友情が終わったりしないから、大丈夫だよ」


 しばらくしてから、誠君から衝撃の一言を言われた。


「俺、好きな人できたよ」


 私は、今も誠君が好き。

 だから、その言葉にはズシリと重い物がのしかかるような感覚に襲われるけど、本人はそのことに気づかないんだろうな。


「どんな人?」


 どうせ、私でないことはわかっている。

 本当は聞きたくないけど、口の方が勝手に動いてしまう。


「モーション先輩だよ」


「モーション先輩?」


「本名は知らないけど、みんなからあだ名で呼ばれているの。


俺、モーション先輩のことを好きになってさ」


「どこが好きになったの?」


 私は嫉妬してしまっている、誰なのかわからない見ず知らずの人に。


「学年はふたつ上だけど、一生懸命なところと、あとすっごく美人。


お化粧も上手なんだよ」


 誠君はもしかして、化粧している女性の方が好み?


 そういえば、私はいつもすっぴんで、お化粧とは無縁の生活を送っている。


 私も、お化粧とか始めてみようかな。


「髪も長くて、綺麗なんだあ」


 私は青葉ちゃんをライバル視していたから、いつもボブとかセミショートぐらいにして、髪を伸ばさないようにしていた。

 だけど、髪が長い女性を好きになってしまうとは、思わなかった。


「赤音、聞いてる?」


「聞いてるよ」


「俺、モーション先輩にアッタクするよ」


「アタックって?


しかも、言葉を間違えているし」


「とにかく、モーション先輩に自分のことを好きになってもらいたいんだよ」


「モーション先輩とは、いつから知り合ったの?」


「ない。


あるわけないじゃん。


入学初日からさあ、ただの一目ぼれだって」


「それ、危険だよ」


「何が危険なの?」


 どうして、誠君はわからないの?

 どう考えても、振り向いてもらえる確率は低いはずなのに、どうしてそんな無謀な行動をするの?


「一目ぼれってことは、モーション先輩は誠君を知らないかもしれないんだよ?


誠君こそ、突然知らない人から、好きですアピールされたらこわくないの?」


「そういうの、よくわかんないな。


俺、相手がどうこうとかじゃなくて、自分がどうしたいかを第一優先として生きてきたからさ」


 この人、何なんだろう?


 私は、この人とずっと一緒にいていいのだろうか?


「モーション先輩は、どこにいるかな?」


 私と誠君は廊下を歩いていた。

 今、どこにいるのかわからないモーション先輩を探すために。


 結局、ついてきてしまった・・・・。

 私、何をやっているんだろう?


 誠君はルンルン気分だけど、私は最悪。

 青葉ちゃんは私のライバルであったけれど、親友でもあったから、傷つけたくないという気持ちでいったりきたりしていたけれど、モーション先輩は完全に赤の他人だ。

 モーション先輩に抱く感情は、嫉妬でしかない。


 私は、まだ誠君が好きなんだと実感させられた。

 まだ、彼を、幼馴染の恋を諦めきれないでいる。


 誠君は、私を恋愛対象として見てないけど、私はずっと一緒にいていいのだろうか?

 男女の友情は続かないと言うし、どこかで壊れてしまいそうな気がする。


「誠君」


「赤音?」


「モーション先輩ともし、付き合うことができたら、どうするつもり?」


「そんなことは、決まっている。


彼氏彼女らしいことをするんだよ」


「それって、どういう意味?」


「そのままの意味だよ」


「誠君は彼女できたら、私との関係はどうなるの?」


「どうなるって、変わらないよ。


俺にとって、赤音は大切な幼馴染だし」


「彼女できたら、彼女優先の生活になるんだよ。


誠君は、私がいなくても大丈夫なの?」


「赤音は、何を質問しているの?


彼女優先の生活になるわけなくて、赤音との付き合いも大切にしていくよ。


大事な幼馴染だし、どんな時も俺のそばにいてくれたんだし、俺が赤音を見捨てるわけないじゃん」


「そうなんだ・・・・」


 そしたら、どうして、誠君は私のことを好きにならないの?

 そして、誠君に彼女ができた場合って、私が邪魔者になるはずだけど、彼はそのことすらもわかれないんだね。


「私、誠君に彼女できるのいやかも」


 私は、なんてことを言葉にしているのだろう?


 私の心はきれいじゃない。

 いつでも、嫉妬心がある。


 これで、誠君は私が好きだってことに気づいてくれるかな?


 面と向かって告白すればいいはずなのに、私はその勇気すら持てない。


「どうして?」


「嫉妬しているから・・・・」


「赤音・・・・」


 誠君は、そこで立ち止まって、後ろにいる私の方に振り向く。


「俺が、赤音を見捨ててしまうことがこわいのか?」


「うん。


こわい、すっごくこわい」


「大丈夫だって。


俺は、言葉だけじゃない。


今までだって、そうだったろ?


何を急に不安になることなんて、何もない。


だから、俺は彼女ができても、できなくても、赤音との付き合い方を変えたりなんてしない」


 誠君は笑顔で答えた。


 そうか、誠君は鈍感すぎる。

 ここまで来ても、恋愛って意味にはとらないんだ。

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