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詩、あるいは詞

夏が好きでした

作者: 志賀飛介

汗を掻くのが嫌で部屋に籠もってた

外から子供の笑い声が聞こえた

昔のことを思い出した

夏ってもっと嬉しかったはずだった


あの頃よりも遙かに暑い夏を過ごす

だけど体は冷え切っている

心も冷え切っている

妙な喪失感だけが体を包む


忘れてしまうのは悪いことではない

変わってしまうのも悪いことではない

だからたぶん 寂しく思うのも悪いことではない


忘れていたカレンダーをめくって 八月

まだ間に合うだろうか 僕の夏は

もう一度笑えるだろうか 汗だって

僕らしくあろうとした根っこは変わってなかった

あの頃からずっと僕は夏が好きだった


知らないうちに梅雨が明けていた

空を行く雲の形が変わっていた

三年前を思い出した

違う窓からおんなじ空を見ていた


あの頃よりも一層心を閉ざしている

だけど不思議と興奮している

心は冷え切っている

それでもまだ少し生きている


なくしてしまうのは悪いことではない

捨ててしまうのも悪いことではない

だからたぶん 拾いに行くのも悪いことではない


忘れていたカレンダーをめくって 八月

まだ間に合うだろうか 僕の夏は

目的も決めずに街まで いつだって

お気に入りのTシャツと夏が来るのを待っていた

あの頃からずっと僕は夏が好きだった


今はどうだろう もう遅いかな 季節は同じ 

なら変わったのは僕と世界だけ どうだろう


忘れていたカレンダーをめくって 八月

まだ間に合うだろうか 僕の夏は

もう一度行けるだろうか 街まで

穴の空いた運動靴と色褪せたリュックと

あの頃からずっと僕は夏が好きだった


今でも僕は夏が好きでした


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