地下の親玉VS村人・地下
「んん......?」
ギロリと大きな目がこちらを捉えた。
控えめに言って人間の威圧の域ではない、
復活したての時に相手した竜種にも動じなかった鋼の心臓が
少し鼓動を速めた
「どこのどいつだい? 新人が入るなんて聞いてないが、
随分活きが良いガキだねぇ......」
腹の奥底からくぐもって聞こえる声は
洞穴の奥から人が叫んだように広間に響く。
「悪いが新人どころか道場破りに近いぞ、俺は」
「ほう......?」
こちらに正面を向けて対峙すると
手の平に掴んでいた魔女をそこらへんに放り投げた
そのことよりも後ろの手下共は戦いが始まることに阿鼻叫喚しているようだ
「ま、待ってくれボス! こんなとこでアンタほどの人が暴れたら!」
「そ、そうだ! 危険だぁ!!」
この地下で発動させていいような魔法ではないほど
ド派手な力を持っているらしい。
妙なプレッシャーは奴から漂う魔法のエネルギーみたいなものを
本能が検知したか、
争いごとには疎い村人にはまるでこれから何が起こるか分からないが
「おい、お前のとこの部下は怯えてるみたいだぞ。
無闇に争う必要は無いんじゃないか?」
穏便にこの場を抜け出すことを考える。
この巨人とやり合うのは俺だけなら何とかなりそうだが
周辺一帯を戦火に巻き込むことを思うとアメルを守り切れるかは不安でしかない
「はん、知らんねぇ......
どころかいつからうちの奴らは腑抜けになったんだい...?
この際、よぉ~くアタシの戦いっぷりを見て根性叩きなおしな!!」
咆える声はまるで人間の、
はたまた女のものではない。
魔王の後継者を名乗るだけあってもはや魔族の巨人種かなにか
だとしか考えられないほどの声量が全てを圧倒した
そして両手を鉤爪のようにして突き出した構えと共に
広間一帯に巨大な緋色の魔法陣を描いた。
それに者どもは一斉に絶叫しだした
「うそっ!? あの魔法をこんなところで!」
アメルもこれから発動しようとする攻撃に酷く動揺している
「なんだ!? 何をしようとしてるんだアイツは!」
一人現状を認識出来ぬまま彼女に問いかけると
叫ぶように言った
「見れば分かるでしょ!?
魔法陣の大きさは魔法の威力を表すの!
つまりここ全部が吹っ飛ぶのよ!!」
「なにっ!?」
告げられた事の重大さに気付く頃には
「覚悟はいいね、アンタら!?」
大魔女の掛け声に足元が煌びやかな光と轟音を起こして
大気が、
地下全体が震え始めた
それにほぼ無意識の内に反応した俺の身体は
アメルに駆け寄って抱きかかえると
同時に視界が真っ白になるほどの光に包まれて
次の瞬間全てが大爆発によってぶっ飛ばされた
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