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魔女組の奮闘・4

魔法での修行が始まり、また数日が過ぎた。

ハードな訓練を重ねて二人の実力はメキメキと上がっているが、

当の本人たちは疲労にばかり気を取られて気付いていなかった


そんな彼女等も成長を実感する時が来た。


「今日の午前は休養を取ることにする」


驚きに聞き返すこともできず、

魔女は二度寝を敢行するのだった。


「え、今日はゆっくりしていいってこと!?」


「午前までって言ってたでしょ」


そう注意しつつもマイの表情も綻んでいた。


することもなく二人も師匠に倣って、

木陰で惰眠を貪ろうとした。

しかし、しっかりとした生活習慣が身に付いている彼女たちには

それが出来ない


「暇ねぇ......」


「でもこの退屈な時間が癒しに思える日が来るとはね」


「......そうね」


アメルもそう感じていた。

陽に照らされ、風に揺れる葉を見ながら

寝そべっていることは久しぶりの安らぎの時間だ


「にしても急にどうしてだろう?」


「昨夜は寝足りなかったんじゃない?

 ほら、新しい魔法の開発で熱く話合ってたら

 危うく起こすところだったし」


「そうだったらいいんだけど......」


楽天家なアメルに対し、マイは心からくつろぐことは出来なかった。

そして、その予感は当たってしまう



昼食時を前にして、

ズイは突然の宣告を下した。


「アメルかマイのどちらかに、

 仙人に再度会ってもらう。

 その面会をどちらが行って来るか......勝負して決めてもらおうか」


当然、突拍子もない対決をさせられることにマイは異議を唱えた。

アメルはまだ寝ぼけているのか、と呆れて開いた口が塞がらない


「意図が分かりません......それに、またあの人に

 会う必要とはなんです?」


「更なる強さを得るための近道を教えてくれるかもしれないだろう?」


「だったら二人で行けば――」


「勘違いするんじゃあないよ?

 お前達は丁度、仲が悪そうだったから

 競争相手に良いと思って弟子にしてやったんだ。

 慣れ合いがしたいなら、すぐにでも破門にしてやる。

 旅行でも楽しむが良い」


その挑発的な発言に二人とも目つきが変わった。

自分達の努力や志がお遊びだと言われているのと同義である。


「......どちらかを決めるのは、必要なことなんですね?」


「ああ、そうだ。

 そろそろ実戦で己の成長を知りたいだろう。

 もう一人の弟子との実力差も......良い機会だとは思わないか?

 何かを賭けないと本気になりそうにないくらい腑抜けるかもしれないから、

 わざわざ再会の許可まで貰ってきたんだ。

 素晴らしい決闘を見せてくれなきゃ、割に合わないねぇ」


「流れ弾には気を付けることね」


「そうだな、楽しみにしているよアメル?

 それだけ大規模の魔法が撃てるか......

 当然、外した攻撃が飛んで来ようものなら許しはしないよ」


幾度となく指摘されたことだ。

アメルのコントロールは若干狙いからズレることが多かった。

外す度にペナルティを課されてきた。


ただ、今度ばかりは本気の鞭を入れられることになる。

真剣に戦い合えとのことだろう


二人は久々に対峙した。

競争はあっても、直接の手合わせは初めて会って以来。

あの時は遠慮なくぶつけ合えた。


しかし、今は苦しい時を共に乗り越えてきた仲間を相手にすることになる


互いに杖を握る手が少し震えた。

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