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釈放

「それは本当か?」


この街一番の鑑定士にも分からなかった、

謎の力について気付いたその目を信じたくなった。


「ああ......

 そいつは強大で、間違いなくアンタ自身から発せられているものだと分かったよ」


アイリスから言われた情報とも一致する。

問題はそこからだ


「ただ、それが純粋なものかと言えば何か違う。

 まるで持ち主が変わっちまったかのような、

 誰かから奪って自分のものにした力に......俺は見えたんだ」


猛禽類の様な鋭い眼光が全てを見透かすようだ。


「だから、新手の魔法って可能性もあった

 他人の能力やらを自分のものにしてしまうような悪質なものと。

 まあ、そうだったら......当てはめる罪状としたら窃盗ってことになるだろうから

 とりあえず容疑者として連行したわけだ」


ここに来て初めて留置所生活を余儀なくされた理由が分かった。

俺は火事の原因の犯人という疑いではなく、

能力泥棒の疑いで連行されたわけだ。


つまりは自分の身体に宿った力は誰かから意識の無い7年の内に奪った、

または譲り受けた可能性のあるものであったことも明らかになった。


「そういうことだったのか......」


納得が行くと素直に開けられたドアから

少しだけ世話になった空間と今生の別れになることを祈って出た。


男は目隠しを取り出して俺の目元に着け始めた

その時に


「でも、昼休みのアナウンスは余計だったんじゃないか?」


おまけの質問をした。

すると男は鼻で笑って応えた。


「今にわんぱくになったアイツらとお前が取っ組み合う中で

 少しでも邪気でも見えようものなら、

 正式にアイツらとの仲間入りをさせるつもりだったさ」


キツく結ばれて頬が吊り上がるのを感じながらダメ押しに付け加えた。


「どうやってアイツらをあんな良い奴らに出来たんだ?」


両腕を引かれてまた手錠を掛けられると、


「それはここの構造と同じくらい秘密だ」


それ以上の詮索は断られて連れて行かれた。



目を開けると奴はもう消えていて、自分は外に出ていた。

手錠も無く、

俺を置いて帰っていった人物も予想通りあの男ではなかった。


不思議で嫌味で唯一俺の力を見透かした男、

最後までその名前も分からなかった


振り返って相変わらず物騒な牢獄な外観を眺めていると

前から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。


アイリスだ


それと遅れてアメル。



アイリスは駆け寄ってきて抱きしめてくれた。

甲冑姿でなければ素直に喜んだところだが


「大丈夫でしたか!?

 何か酷い拷問とか......」


身体をまさぐられてくすぐったくて笑った。


「だ、大丈夫ですよ。

 友達も出来たくらいですから......まあ、二度と合わないかもしれないけど」


「友達......? やっぱり何かされてしまったのですか、ウィン?」


全く信じられずに俺の正気が疑われていると、

ゆっくり歩いてニヤニヤと笑っているアメルが頭に手を組んで話しかけてきた。


「なぁんだ、帰ってきちまったのか

 あと1日で出発しようとしてたのに」


「残念だったな、お供1号」


そんなこんなでやっと冒険のスタート地点に戻ってきたのであった。


閲覧ありがとうございました。

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