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検視の目

朝も昼も夜も配給される食い物は一定の時間が経つか、

規定の時間になると勝手に消える魔法が施されている。


だから割と早めに食べてしまって、残して置くなどはしない方が良い気がする。

最初に言われたことは何だったのか


それに本も1日周期くらいで無くなってしまうので

急いで読まなくてはならない文量のものもあるので暇な時間は割と無い。


他の囚人に聞くと大体の時間は働かされているから、

その時間分留置されている人間は本を読ませられるようだ。


それ以外は飯の配給時間も量も献立も変わりはしない。

昼休みと称して体を動かす時間も囚人と変わらない


俺が来てからはずっと取っ組み合いの遊びばかりやっているが、

これはこれで随分と修行になって良い。


何より相手をしている奴らも割と楽しそうにしていて

お互いの関係に和やかな雰囲気が出来てきた。


飯をさっさと食ったら本を読み、

眠くなったら寝て起きたら本を読み、

そろそろ体を動かしたいなぁ

なんて思う頃には昼休みがくる。


そんな生活が何日か経った時だった


ある朝、起きると飯も本も無い。

今日は何かあるのかと暇つぶしにまた壁殴りをしていると


「なにやってんだお前? あんまり部屋を荒らすと今度ばかりは囚人として

 アイツらと過ごすことになるぞ?」


囚人の友人を作る機会をくれた奴が現れた。


「ふん、何の用だ。

 まさかまた、そんな下らない事を言うためだけに来たわけじゃないだろうなぁ?」


「あれはしっかりとお前が

 ここでやっていけるかの確認だ。

 そして今回来たのは......」



ジャラジャラと多くのカギを見せびらかした後、

その内の一つで部屋のドアが開かれた。


「これから外で罪人と疑われずに生きていけるかの確認だ」


「......なるほどな」


敢えて平静を装って、

壁に寄り掛かって腕を組む。


「ん? どうした? そんなにここが気に入ったか?」


「まさか......最後に一つ質問がしたいだけだ。

 どうせまた目隠しでもされるんだろ?

 そしたら次に目が開くときにお前がいないかもしれないから

 今の内に聞いときたいんだよ」


それを聞いて奴は肩をすくめた。


「どうぞ?」


「何で俺をこんな所に連れて来た?

 本当は身の潔白なんて連行する前からお前は分かってたんじゃないのか?」


憎たらしい嫌味な笑みを浮かべて

上がっていた口角が下がった。


「......どうしてそう思う?」


いつも小馬鹿にしていたように笑っていた目の色が変わって見えた。


「......なんとなくだ」


俺は素直に答えた。

この何日か、

暇だから本は読んでいたし

その内容も頭には入っているが、

頭の片隅には疑問があった。


どうにも面白がって俺がここに入れられた気がしてならない、

一体何がしたいのか


そればかりがずっと分からない。

だからこそ出した不明確な考えを聞いて奴は天井を見上げて思案してから、

ぬらっとこちらに視線を向けた。



「見えたからだよ。

 お前の得体の知れない何かが、水晶でも魔法具でも見通せなくとも

 俺の肉眼から、はな」


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