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捜索

「ノエラさんがここに来るきっかけになった子って知ってますか?」


「ええ、知ってるわ。

 でもあの子に限ってどこにいるのかが分からないのよねぇ......

 何で探しているの?」


「えっと......」


これで何回目か分からないほどの事情説明がまた始まった。

二人での聞き込みで村ほどの人口も無いとなれば、

1時間もしない内に方が付くと高を括っていたが現実は甘くはなかった


狭いコミュニティのため、誰もが顔などは知っているようだが

どこにいるかまでが判明しない。

加えて、よく結界外へと出かけるとの話まであり、

出会うまでにかなりの時間を要することが予測された


「というわけで......」


「あら......お仲間が......

 アタシが一緒に行ってあげたいくらいだけど、内には子供がいるもんでねぇ」


「いえいえ、そんな。

 お心遣い感謝致します、では」


頭を下げ、引き返そうと振り返ると

丁度、角からアメルが疲弊した顔で現われた


「どうです?」


「もう......てんでダメですよ。

 そんなに子供も多くないはずなんだから、

 その子の居場所も把握しておいて欲しいもんですよね」


「仕方ないことです。

 相手は神出鬼没な少年なのですから」


「はぁ、出てきてくれるなら何でもするのにぃ~」


それが呪文であったかのように、

空から何かが降ってきた。


難なく着地したのは短い髪の中性的な顔立ちをした少年だった。

特徴は長にも負けず劣らずの全身の紋様の多さだ



「僕をお探し?」


「で、出たぁ!」


素っ頓狂な声を上げるアメルに少年は振り返ると

屈託のない笑顔で告げた。


「さっき、僕が出てきてくれるなら何かするって言ったのは

 こっちのお姉さんだね?」


「へ?」


「じゃあ、ファーストキスの相手になってもらおうかな」


「......はぁ!?」


アメルの顔はみるみる紅潮して、

髪と同じ桜色になっていく。


「ハハハッ!

 冗談だよ。 本気にするなんて、まさか同い年?

 そんなに背丈も変わらないし......」


「なっ、アタシはアンタよりかはずっと年上よ!

 このマセガキ!」


「怒った! 悔しかったら捕まえてみろぉ~」


そう言うと少年は思い切りジャンプすると、

上の木の枝に掴まってするすると奥へと向かう。


「ま、まるで猿みたいな奴ね!」


「追いかけましょう、彼が協力を仰げそうなイレギュラーなのですから」


二人は橋伝いにしか追跡することができず、

何度も見失いそうになりながら走る。


「あ、アイツめ! 絶対許さない!!」


「......あの、こんなことを言うのもあれですが」


「え、何です!?」


「そんなに子供の挑発をまともに受け止めてたら疲れちゃいますよ?」


アイリスからの助言は、

子供の扱いに耐性の無いアメルにとっては更なる挑発にしか聞こえず


顔がもっと悔しさやら恥ずかしさやらで赤くなるのであった。

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