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幕間

　ホーエンシュタウフェンは、応接室の隣に有る部屋で俯いて立ち尽くしていた。

　部屋は机一台が中心に置かれ、四方の壁には全ての棚が埋まった本棚が有る。窓にはカーテンが掛かっているため明かりは机の上のランプしかない。

　何よりこの部屋の特徴とも言えるは、机の前の壁に張られた世界地図と、全ての壁に所狭しと張られた書類だった。大小様々な書類には手書きの文字で埋め尽くされていた。楷書であったり、書きなぐった字であったりとばらつきこそあるが、その字には深い熱意だけが感じ取れた。

　彼女の後を追ってアモンは部屋に入り、扉を閉じた。少しの静寂の後に、ホーエンシュタウヘンはゆっくりと話始めた。

「このような事は想定できていたのに…私って駄目ね、直ぐ感情的になって…」

　そう言うと彼女は俯いたまま右手で壁の一部を指差した。

「対策だってとっていたのにね。彼には悪いことをしたわ。この国で戦える人間なんて居る訳無いのに…」

　アモンはゆっくりと彼女に歩みよって抱き締めた。彼の腕の中で、ホーエンシュタウヘンは震える声で呟いた。

「会議だってもう1月と半分しかないのに…」

　アモンは、自分の腕の中で震えるホーエンシュタウフェンを安心させるため強く抱き締めた。

「今まで2人で何とかしてきたじゃないか？大丈夫、自分が何とかして見せる」

　ホーエンシュタウヘンは彼の強い言葉に頷き抱き締め返した。彼は強い決意の表情を浮かべた。