第10幕-1
趣味で書いているので、温かい目で見てね。
リリアン大陸とファンダルニア大陸の間の海域には、1つの大きな島があった。その島は大きな本島と小さな小島で構成されており、緑の溢れる土地であった。
だが、その島はリリアン大陸やファンダルニア大陸の全ての国が恐れる一大魔法国家と呼ばれる強大な国家であった。
「貴様らぁ…これは何たることか!」
その一大魔法国家と呼ばれるブリタニア帝国の首都ベルドンは大きな城を中心とした巨大な円形の城下町であった。
その古典的な西洋城と言った形をする城の昼下りの一室で、一人の男が激昂し大声で怒鳴るのだった。大柄かつ屈曲な50代に見えるその男は純白かつ豪奢な金の装飾を施された服を身に纏う白人の男だった。その豪奢な服装の男は分厚く白い肌に怒りの無数のシワを寄せると、青い目を血走らせるのだった。
その男がいる部屋は金と赤で装飾された玉座であり、男の前には数人の男達が跪き深々と頭を下、男が怒鳴る度にさらに額を床へと下げるのだった。
「何故!何故に第2艦隊と連絡がつかんのだ!あんなのエルフの耳長が頭を下げてくるのはぁ…こういう機会しかないのだ!どうして戦果の報告がないのだ!」
「はっ、ジョージ国王陛下…それが…」
「それが、2月21日の昼に行われた定時報告以降、何も連絡がつかず…」
「艦隊は一週間もの間に音信不通です。艦隊が一週間もの間連絡がつかないとなると、艦隊は緊急事態ないし壊滅状態かと…」
ジョージ国王と呼ばれた大男の怒声に、男の前で頭を下げる男達は気弱な声でたどたどしく言い訳を述べた。その男達の豪奢な服装に相反する情けない口調を前に、ジョージ国王は玉座に立て掛けていた豪華な杖を手に取ると、最後に言い訳をした男にその先を叩きつけた。
「スティーヴィー・ガスコイン海軍大臣!海軍大臣ともあろう男がなんという様だ!何故、余の第2艦隊が壊滅したなどと申すか!あの艦隊は余が貸し与えているものなのだぞ!わかっているのか!」
「はっ!それは重々承知しておりまして…」
「いいや、わかっておらぬ!あの船にはハンフリーズが乗っているのだぞ!忠臣たるハンフリーズだ!余の息子に素晴らしき娘を嫁がせたハンフリーズと、"クイーン・リリーナ号"がいるのだ!何たることか、エリオットやリリーナに合わす顔がなくなったのだぞ!どうするつもりか、スティーヴィー!」
「はっ、ですので第5艦隊を大至急救援へと出動させました。28日、つまり今朝に…」
「遅い!まして第5艦隊のみだと!第1艦隊も出せ!もっと艦隊は出さねば!」
「しかし陛下、既に第10、第13艦隊艦隊も出動しています。これ以上出すのは海上警備にも支障をきたします。まして第1艦隊は最先任艦隊。迂闊に出しては…」
「くどい!」
スティーヴィーと呼ばれた白髪にシワだらけの顔、白い髭を蓄えた老人を打擲した。そしてそのままジョージ国王はスティーヴィーの肩に杖の先を押し付けるとスティーヴィーに対して怒りの言葉を叩きつけた。
そのジョージの言葉に、スティーヴィー以外の高官達は一切口を開かず、やむを得ずスティーヴィーが口を開いた。その言い訳はジョージ国王の怒りをさらにかうと、彼はスティーヴィー達が跪く玉座の前の床へと歩きスティーヴィーの前に立つのだった。
スティーヴィーがジョージからの怒声を浴び続ける中でさらに絞り出すような言い訳をするのだった。だが、それでもジョージは怒りは収まらずさらに怒りに任せた命令を出した。その命令にはスティーヴィーも声を上げて意見を述べた。その意見も怒り心頭のジョージには響かず、彼は怒りの滲む大きな足音で玉座まで戻ると、勢いよく玉座に座るのだった。
「とにかく、王の命令だ。我が親愛なる忠臣かつ、息子の妻の父親…つまり我がジョージ家に関わる人間であるハンフリーズの救出と、第2艦隊を発見せよ!」
「それは…第4艦隊では…」
「第1艦隊をだせ!"ルール・ブリタニア号"も出せ!良いな?」
「はっ…かしこまり…」
玉座にてジョージ国王が怒りを抑えながら王としての命令を出すと、跪き頭を下げていた男達はさらに深く頭を下げた。その中で床に額が付きそうな程に頭を下げるスティーヴィーが最後に一言呟いた。
その言葉にはジョージの追加の命令が下され、スティーヴィーはただ拝命するのみだった。
だが、そのスティーヴィーの返答が言い切る前に、玉座の間の扉が開くと一人の海軍士官が現れるのだった。その男は日に焼けた浅黒い肌に冷や汗を無数に浮かべながら、海軍士官の制服を汗まみれにし帽子を脱ぐことさえ忘れながら跪くスティーヴィーの隣にやってくるのだった。
その海軍士官の男がスティーヴィーに耳打ちすると、彼は思わず立ち上がり驚愕の顔を浮かべるのだった。
「それは何の冗談か!」
「正式な報告です!全て確認が取れています、閣下!」
「なっ、なんだ?スティーヴィー海軍大臣、何が起きたのだ?第2艦隊が見つかったのか!」
「そっ、そんなことより遥かに問題なことです!おい、君。先程の件を報告しろ!」
「はっ、了解しました」
スティーヴィーの驚愕の表情や驚きの言葉を前に、ジョージ国王は玉座から少し腰を浮かしながら彼にその驚愕の報告の内容を尋ねた。だが、その報告に対して帰ってきた返答はスティーヴィーの尋常ならざる焦りの言葉であり、彼が報告の為に現れた海軍士官の男に説明を求めると、ジョージ国王も腰を玉座に戻した。
そのジョージの姿に海軍士官の男が敬礼と応答をしながらジョージ国王へと正対し、帽子を被ったままであることに気づき慌てて取りながら深く敬礼をするのだった。
「報告します!第5艦隊からの緊急通報です!"2月28日ノ10時23分ニ外洋カラ謎ノ艦隊が南下。ソレニヨリ、第10艦隊は壊滅。第13艦隊ハ半数以上ガ撃沈。我、第13艦隊ト合流スルモ敵艦隊ヲ見失う。マタ、2月28日ノ12時カラ本島周辺の海域防衛線ニ不備が発生。敵艦隊ハ本島ニ接近している可能性アリ"以上です!」
「なんだって?」
海軍士官の男の報告が玉座の間に響き、ジョージ国王はただ疑問の声を漏らすのだった。
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