第9幕-1
趣味で書いてるので、温かい目で見てね。
リリアン大陸とファンダルニア大陸との間には、1つ大きな島があった。その島は、ブリタニアと呼ばれ、一大魔法大国にしてこの世界最強の海軍国家とも呼ばれていた。
「ハンフリーズ提督。本艦隊はまもなく先遣艦隊と合流します」
「予定より5日間早くの到着か…流石に我がブリタニア海軍だな」
「しかし閣下、何故この第2艦隊がリリアン大陸の…まして北側のベスタン海に展開しなければならないのでしょうか?」
「それは国王陛下のご意思が知る所だ。詮索は止めよ、セクストン」
「はい、提督」
「ならばよろしい」
そのブリタニアの青と緑の下地に白十字と赤い斜十字を染めた国旗をはためかせた200隻以上の帆船軍艦が北へと向けて進んでいた。その艦隊は隊列を乱すことなく縦陣で進み、帆を張るその姿は洗礼された艦隊運動を見せつけているようであった。
だが、その艦隊は帆船にしては異様に速度が速く、あまり風が吹いていないにも関わらず速度が低下しなかった。その理由は帆に描かれた大きな魔法陣と、マストの下で杖を突きながら瞳をとじて黙想する濃紺のローブ姿をした男にあった。
「キャンベル少尉、どうだね?」
「はい、提督。本艦には問題ないでしょう。しかし、本艦以外は、あと30分程で速度低下を起こすでしょう」
「それは魔法によるものか?」
「もちろん。私のような魔法力に長けた者ならまだしも、他の艦の推進師ではそろそろ保ちません」
「やはり、魔術師の数を増やすしかないか…しかし増やせば増やすほどに船が巨大化する」
「精度を上げるしか対策はありません。提督閣下」
「海軍省に言っておくよ」
ハンフリーズと呼ばれた白髪に白いシャツと豪奢な青い上着とズボン、黒い革のブーツに革の横長な形をした防止を被る中年の白人の男が、横に似た格好のセクストンと呼ばれた太った男を連れてマストに近寄った。そして、ハンフリーズ提督は髭を綺麗に剃った顎を撫でながらキャンベルという男に話しかけた。
すると、男は頭にかぶっていたローブのフードを払うと、茶髪に少しだけ伸びた髭のある整った顔で振り返ったのだった。その顔は、ワイルドなイケメンといった顔つきであり、日に焼けたその姿は正に海の男であった。
そんなキャンベルはハンフリーズの疑問に自信溢れる口調で答えると、船のマストに手を当てて提督の考えに意見具申するのだった。
「ならば、君にはもう少し推進師を頼むとしよう」
「提督…それは…」
「魔導砲を使う海戦かもしれぬのだ。この"クイーン・リリーナ号"を引き出す程なのだ。敵はエスパルニアの可能性がある」
「それは一体?」
「言えるのはここまでだ。頼むぞ、"大海の虎"君」
キャンベルの言葉に軽い冗談を言ったハンフリーズは、キャンベルの肩に手を置くとそっと一言小声で言った。その内容から重要な案件と理解したキャンベルも小声で尋ねると、二人は神妙な面持ちかつ小声で会話をするのだった。
その内容にキャンベルは太い眉の間にシワを作って尋ねようとしたが、その頃にはハンフリーズは上甲板へと向かっていったのだった。
「よろしかったので?」
「セクストン君、彼は海軍きっての優秀な魔導師だぞ?それに、この後、彼には頑張って貰わなければならぬからな」
「"高速突撃による分断戦法"…魔族の戦法など…」
「良いものは良いのだセクストン。相手が"ノーベル帝国や他のリリアン大陸にある各国が手を拱く相手"となればな?」
「全く…ブリタニアの外は野蛮な連中ばかりですな?」
「人を"獣に味方をしたかもしれぬ"のだと言う程にはな…」
上甲板から艦隊の陣形を見回すハンフリーズは、伸縮式の望遠鏡を覗こうとすると後ろからセクストンに話しかけられた。それに対して望遠鏡を覗いた状態のままでハンフリーズは答えると、大きくため息を突きながら甲板の手摺に手をついて呆れるように言うと頭を抱えるのだった。
「とにかく、例の不審な艦隊とやらを退治せねば、国王陛下に会わす顔がない。娘にもどう言えば良いのか解らなくなる」
「我ら第2艦隊に敵は無いでしょう?」
「当たり前だ。セクストン君、各艦に魔導通信用意」
「はい、提督。内容は?」
「"各艦、第二戦速。直ちに先遣艦隊と合流"」
「復唱します。"各艦、第二戦速。直ちに先遣艦隊と合流"」
「かかれ」
「かかります」
頭を抱えるハンフリーズだったが、肩を回して姿勢を正すとセクストンに向き合い凛々しい顔をしながら重々しく呟いた。その言葉に自信ある言葉をセクストンが述べると、ハンフリーズは冷静な口調で彼に命令を出した。
セクストンがハンフリーズの命令を復唱し指示を出す頃には、艦隊は慌ただしく動き始め速度が上がった。
「さて…国王陛下は私達に何を討たせようというのか…どの道、我が海軍に負けはないがな」
自分の乗艦でテキパキと働く水兵や士官を見るハンフリーズは、兵士達の服装から全てが完璧である事を確認し、それが友軍艦も同じである事を望遠鏡で確認した。すると、彼は勝利を確信すると甲板で勇ましく仁王立ちするのだった。
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