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帝国再興記~Gartschlands Gloria~  作者: 陸海 空
第4章:新世界は黄昏の国
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第七幕-14

 止まらない砲撃と掃射を前に無線の無い王国軍の指揮系統は崩壊し、メガホンや旗による信号も意味を成していなかった。

 そのため、突如として帝国戦列の1部から装甲兵員輸送車の大部隊が突撃を開始すると、王国軍兵士達は掃射に追われ退却を始めた。

 親衛隊全戦線が突撃と殲滅を開始すると王国軍戦列内にエンジン機銃掃射、そしてカイムの大声が聞こえた。


「まさか、一騎討ちと来たか…」


「陛下!敵の突撃です!これ以上は…」


「ここの時を逃せは、後退出来なくなります!」


「陛下!ここは退くべき…」


 兵士達も唸りを上げ迫るギラのバイクとサイドカーで機関銃を乱射するカイムを何とか止めようとしていた。たが、剣も槍も機関銃の掃射の前には無力であり、近づけは撥ねられ倒れれば轢き殺され逃げ惑う兵士達に貴族達は完全に怯えかえっていた。

 伝播した恐怖を前に逃げ腰になりザクセンへ退却を要請する貴族たちであったが、その中の一人であるミノタウロスの男が叫びながら駆け寄った。だが、彼の言葉は言い切られる前にザクセンの引き抜いた剣により止められた。


「陛下、何を…」


「お止めく…」


 ミノタウロスの男がその首を跳ね飛ばされると、ザクセンの周りを取り囲んでいた貴族達は撒き散らされる血を浴びながら叫んだ。だが、ザクセンの振りかざす剣は止まる所を知らなかった。

 突然味方に刃を振りかざしたザクセンを前に多くの貴族は呆然とし、数人の貴族が止めようとした。臆病風に吹かれても屈強な体に分厚い鎧を着込んだ男達だったが、駆け寄った瞬間に彼等を青白い一閃が突き抜けた。


「ザっ…ゔぁ…」


「ぐぉ…」


 その一閃が残像として消える前に貴族達は軒並み首を宙に飛ばし、首の断面から真っ赤な血を噴水の様に吹き出しながら倒れた。雨のように血が降り注ぐ中、辛うじて数人が首を押さえながら地面に倒れ震えていた。


「ふんっ、売国奴め。天誅だ…そう、天誅だ!そして、私も…うっ!」


 足元に広がる血の海の中、ザクセンは己の持つ剣に視線を向けた。その手に持つバスターソードの刀身は自ら青白く輝き、こびり付いた血や脂を勝手に地面へ払い落としていた。明らかに帝国の技術では無いその剣に視線を落とすと、ザクセンは汚物を見るような瞳で吐き捨てる様に呟いた。

 だが、その呟きの途中でザクセンは猛烈な殺気を感じると背に担いでいた盾を掴み構えた。その盾は灰色だったが、彼が持った途端に真っ赤に変色すると飛んできた数発の弾丸を火花を散らして弾いた。


「ザ〜クセ〜ン!その首取りに来たぞ!」


「来たな、小僧!その生意気な口をたたっ斬ってやる!」


「ならばその口を蜂の巣に…何だこれ?」


「貴方は…味方を斬り捨てたのですか?」


 ドリフトしながら急停止したバイクのサイドカーから機関銃を取り外しながら降りたカイムは、小脇に抱え走りながら叫んだ。その雄叫びに答えたザクセンの声に導かれながら王国軍兵士達へ乱射するカイムは、辿り着いたザクセンの周りの惨状に立ち止まり言葉を漏らした。

 惨状の中心に立つザクセンは漆黒の鎧のあちこちに血を浴びており、朝日を浴びて鎧は鈍く輝いていた。着込んだ鎧がまるでドラゴンを模した様であり、禍々しい姿と味方を容赦なく斬り捨てた事で周りの兵士達は恐れを成して逃げ出していた。

 遅れてカイムの元に着き彼の背後を護るギラも、その惨状や逃げ出す王国軍兵士達に驚くと、鎧に血を浴びているザクセンを睨みながら尋ねた。


「味方?はっ!敵を恐れ戦う兵達を見捨てて逃げよう等とほざく敗北主義者達が、私の味方であるものか!」


「だからって…殺す事は無いだろ!」


「無駄に生き恥を晒させない、私なりの優しさだ!」


「殺す事に何の優しさがあるか!」


「未来を慈しんでの善行だ!ましてや貴様がそれを言うか、戦乱の元凶!」


 ギラの言葉を小馬鹿にする様に答えたザクセンは、機関銃を構えるカイムの反論に怒鳴り返した。その言葉は周りで倒れる貴族達を見下した発言であり、思わずカイムは怒りに叫んだ。

 その叫びを受けたザクセンもカイム同様に叫ぶと、彼の足元の草花が猛烈な突風に吹き飛ばされた。すると、カイムの元へザクセンが砲弾の様に跳躍し迫った。


「しまっ…落ちろ!ぶっ!」


「そんな物が私に効くか!うがっ!」


 ザクセンの人間離れした跳躍を前に自分達が魔族である事を今更思い出したカイムは、面食らいながらも手に持つ機関銃を構えた。だが、リコイルの猛烈な反動を前に一瞬制御を誤ったカイムは地面からなぞる様にザクセンへ無数の弾丸を撃ちはなった。その弾丸を恐れる事も無くカイムの元へと突き進んだザクセンだったが、構えた盾に何十発もの弾丸を受けると流石に勢いが止まり地面に足を付けてその衝撃に耐えた。


「うぉっ!はっ、もう弾切れかよ!」


「総統…カイム!」


「ギラは来るな!私に任せりゃいい!」


 機関銃を撃ち続けたカイムだったが、その盾はどれだけ弾丸を浴びても穴どこか傷1つ付かなかった。ならばと距離を詰めようとしたカイムだったが、一歩前に踏み出した時には機関銃は既に弾切れを起こしていた。

 悪態をつきながら機関銃を地面に置いたカイムに、ギラは周りの戦闘から離れ彼の元へと向かおうと叫んだ。だが、カイムは彼女の行動を静止すると、肩に掛けていた突撃銃を構え弾丸を装填し指示を出しながらザクセンの元へと駆け出した。


「思い切りが良いな、小僧!"Shining Slash"!」


「はっ?うぉ!」


 牽制で数発発砲しながら接近するカイムにザクセンは笑うと、剣を振り下ろしながら叫んだ。その言葉はガルツ語では無い響きであり、カイムは聞き覚えのある英語だった。その響きに一瞬驚いた彼だったが、ザクセンとの会敵時から不自然に光り輝く剣やその大仰な身振りに身を反らした。

 すると、カイムの駆けていた所に青白い閃光が走り、遥か後方まで伸びていった。その閃光はザクセンの味方である王国軍兵士達も巻き込み、その四肢や体を容赦なく引き裂いた。


「なあぉあぁ!」


「陛下!何故です陛下!」


「俺の足!どこ行った!」


 遥か後方で血を撒きながらのたうち回り叫ぶ数人の王国軍兵士達を見ると、カイムは慌てて後ろへ跳ぶと牽制射撃を行った。


「ザクセン!やはり貴様はヒト族と繋がっていたか!何故だ、何故こんな愚かな事を!」


 蒸気の様な白い煙を上げる剣を握り直したザクセンは、真紅の盾を前に構えながら力強くカイムへ一歩踏み出した。


「貴様とて武人だろう?戦場に立ち利益を欲するなら、敵を討ち取ってものにするんだな。そして…」


 問いただすカイム言葉に兜の隙間から少し見える顔に笑顔を浮かべたザクセンは諭すように呟いた。


「私の名前を略して良いのはただ一人だ、貴様じゃない!」


 ザクセンの呟きが二人の間に静寂と緊張を生む中、彼は突如として叫び再び足元に爆風を発生させるとカイムへ砲弾の如く突撃した。


「馬鹿正直な突撃なんか…しまった、弾薬管理を!」


「甘いわ、小僧!」


 迫るザクセンに向けて引き金を引いたカイムだったが、牽制に弾を使い過ぎた為に途中て突撃銃は発砲を止めた。思わず叫び腰のベルトから予備の弾薬を取り出し弾倉を変えようとするカイムだったが、ザクセンは隙を見逃さなかった。

 雄叫びを上げたザクセンは、再び後ろに飛んて距離を取りうとするカイムへ右腕を向けた。すると鎧の右腕内側が開き、中から小さな円筒上の金属がカイムへ向けて射出された。細いワイヤーの付いたその円筒は空中でフックを3つ展開すると、カイムの付けたAフレームの肩に引っ掛かった。


「何っ…しまった、これは!」


「痺れ上がれ!"Lightning Bolt"!」


 曾て見たアニメのシーンを思い出したカイムは、慌てて左ブーツからナイフを取り出しワイヤーを切断しようとした。だが、全てを察したカイムより先にザクセンは叫ぶと、手首から青い電流がワイヤー上をカイムへ向けて駆け抜けた。


「ぐぁうっ!うげぇぁ…」


「幾ら優れた武器を使おうと、持ち主がこれではな!」


 ワイヤーが撓わない様に着地をしながら右腕を引いたザクセンは、感電した事で身を震わせ地面に倒れるカイムを見下ろしながら呟いた。カイムは突然の高電圧を受けた事で陸に釣り上げられた魚の様に震え、吐瀉をしながらも何とか立ち上がろうと左手を地面に突いた。


「弾…薬が、炸裂しなかった…まだ、戦える…」


「そうだ、そうだとも。立て!貴様は軍の指揮官なのだろう。ならば立て!目の前の敵を倒す為に!」


「くっ…まだだ…まだだぁ〜!」


「そうだ、立て!それでこそ英雄という者だろう!立て、そして戦え!この私を討ち取ってみろ!」


 突撃銃を投げ捨てると、カイムは呻きながら右手で震えて言う事を聞かない左手からナイフを奪った。本来ならば高電圧による感電で重症にも関わらず立ち上がるカイムに、ザクセンは突然兜を脱いで激励を掛けた。その声は敵であるカイムに掛けるには余りにも不自然なものであり、まるで"自分を討取れ"と言わんばかりのものだった。


「あぁあぁ〜!まだだぁ!」


 力を振り絞りワイヤーを切断したカイムは、叫びながら右手のナイフをザクセンへ投げつけると、落ちていた突撃銃を足に引っ掛け宙へ放り投げた。宙を舞う突撃銃のグリップを掴んだカイムは、ザクセンへ片手で狙いを付けるとふらつく足取りで駆け出しながら引き金を引いた。


「その意地は良し。だが、素人が相手ではな!」


「それでも私は…帝国の総統だ!」


「それは一人前の戦士の台詞だ!」


「一人前だとも…貴様を倒して証明してやるさ!」


 投げたナイフや乱射する銃弾が盾に弾かれながらも突撃を止めないカイムに、ザクセンは称賛と否定の言葉掛けた。その言葉に言い返したカイムへ更にザクセンは否定の言葉をぶつけた。

 突撃銃が弾切れしザクセンから否定の言葉を受けたカイムは、突撃銃を投げ捨てると叫んで足に喝を入れた。ふらついていた足取りもしっかりとし、彼は真っ直ぐにザクセンへと突っ込んだ。


「無策の捨て身か…ならば引導を渡してやる!"Lightning…」


「言わせるか!」


 笑みを浮かべたザクセンは、カイムへトドメを刺そうと剣を掲げた。その剣が再び青白く輝くと、彼は呪文の様な何かを唱えようとした。

 だが、その言葉が放たれ剣が振り下ろされる前に、カイムは肩に引っ掛かったままのワイヤーの伸びた円筒をザクセンへ投げつけた。


「なっ!ぶぅっ!」


 予期せぬカイムの反撃に、ザクセンは盾を構えるのが遅れ顔面に円筒が直撃した。円筒自体が金属であり魔人であるカイムの腕力が加わった事で、額に円筒を受けたザクセンは一瞬だけだったが意識を刈り取られた。

 その一瞬の失神で掴んでいた剣を落とすと、ザクセンの巨体にカイムのタックルが飛び込んできた。


「かはっ!ぬっ、ぬかっ…ぶっ!」


「いっ、いい加減にしろ!なっ、舐めるなよ!新しい時代は!若者が作るんだ!」


 態勢を崩したザクセンは油断を嘆いたが、その途中で彼は馬乗りになっていたカイムに顔面を殴られた。未だ左腕が震えて上手く動かなかったが、その分の力を右腕に掛けたカイムは叫びながら何度も何度もザクセンを殴った。


「誰がっ!戦士だっ!私はっ!戦いなんてっ!御免だっ!誰がっ!殺し合いなんてっ!望むか!」


 叫びながら殴るカイムは完全に我を失っていた。何度も殴り続ける事で右手が自身の血とザクセンの血で真っ赤に染まっていた。それでも拳を振り下ろすカイムは何時の間にか涙や鼻水を流していた


「私は!ただの学生だったんだよ!それが、何が戦士だ!何が!」


「ならば!ならば、貴様何故戦う!」


「知り合った人間が殺されるなんて耐えられないだろ!うぉあ!」


「殺し合いが嫌だと言う男の台詞かっ!ならばっ!覚悟もなく後方で叫べば良いだろう!何故だ!何故戦う?時の流れか!その場の勢いか!」


 何度も殴り続けるカイムに、ザクセンは彼の拳を抑えた。流石の魔人であるザクセンであっても、顔面を何度も殴打される事の被害は大きく、カイムの右手を抑える両手の力は弱かった。だが、張り上げた問いかけは大きく、その言葉にカイムは一瞬面食らい答えた。

 その一瞬の隙にカイムはザクセンの右手に襟首を掴まれると、勢い良く左側に投げられた。形勢が逆転しカイムの上に乗り上げたザクセンは雄々しい声が裏返る程に叫ぶとカイムの顔面を殴打した。

 ザクセンの何度も振り下ろされる拳を前に、カイムは脳その物を振り回される様な感覚に襲われた。朦朧とする意識の中で彼の言葉を理解したカイムは、上手く動かない震える左手で彼の首を掴むとその腫れ上がった顔へ自分の額を叩きつけた。


「ごぁ!」


「仲間が…私の為に死んだんだ!お前と私の起こした内戦で死んだんだ!多くの人々も死んだ!」


 頭突きの衝撃に倒れかけたザクセンの襟首を両手で掴んだカイムは、意識が飛ぶのを堪えようとする彼を力を込めて揺すり、思い切り突き飛ばした。


「元々死ぬ運命だ!魔族がヒト族と上手くやっていくには、多くの犠牲がいる!ぶっ…」


「人の命を何だと思ってる!命は…ぶがっ…」


「その命を虐殺した貴様が言うか!所詮、魔族全ての幸福等は机上の空論だ!私達が証明した!ごぶっ…」


 殴り合いながら主張をぶつけ合う二人は、顔面や口、手から血を撒いていた。その姿は内戦を繰り広げる2つの軍の総指揮官とは思えない状態であった。


「殺したくて殺したと思うか!ぐおっ!」


 タックルにふらついたザクセンの襟首を掴むと、カイムは彼の言葉に反論して叫んだ。

 血の涙を流しながら叫んだカイムの腹部に拳を入れたザクセンは、大きく振りかぶりながら苦しげにえずくカイムの顔面を殴りつけた。


「そうだ、そうだとも。誰しもがそう言う。そう言って命を取捨選択する。だが、貴様と私の何が違う!ヒト族との共存の為に多くの民を生贄にする私と、魔族の自由の為に多くの民を兵士にする貴様と!ぐっ…」


 顔面を強打され地面へ倒れるかけるカイムにザクセンは叫んだが、踏ん張ったカイムが一気に飛び込み彼の顎にアッパーカットを入れた。


「隷属が共存なものか!まして、誰かが苦しむ事が前提の平和なんて、ぐぅ…」


「所詮、民は愚かだ!自分の事だけ考え、自分の為に自分が選んだ皇帝に刃を向ける。えご…がっ!」


「それはお前もそうだろう!それでも、この内戦で北と西は団結した。人間はお前が言うほど愚かじゃ無い!うぇ…」


「全ての人間がそうではない。そして…全ての人間がそうなれない!そこまで言うならば…全ての民に叡智を授けてみろ、偽英雄!ぐっ!」


 再び二人は殴り合いながら主張をぶつけ合った。その殴り合いは周りで戦闘をしていた兵士達の行動を止め、多くの兵士達が二人の戦いを見ていた。

 ザクセンの"偽英雄"という挑発に、カイムは露骨に怒りの表情を浮かべると彼のボディに渾身の一発を当てた。その拳勢い良く流血を吹き出したが、ザクセンの鎧を大きく凹ませ留め具を吹き飛ばす程だった。


「叡智なんて事は言わない。まして全ての人間を救うなんて事も言わない!」


「なら…ならば…どうだと言うんだ。綺麗事でも並べるつもりか?」


「綺麗事を並べる気もない!私は…ギラや親衛隊の皆や、アポロニア…私が出来る事で、助けられる奴を片っ端から助けるだけだ!」


「夜迷い事を言うな!」


「イカれてなくて、総統なんて出来るかぁ!」


 カイムとザクセンの主張が交差すると同時に、二人の拳がお互いの頬に叩きつけられた。満身の力を込めて叩きつけられた拳はお互いの頬にめり込み、二人は口の端から血を流した。


「うぁ…」


「ぶっ…ふっ、うぅ…」


 クロスカウンターを前に、ザクセンは膝から崩れ落ちると膝を曲げたまま仰向けに倒れ、カイムは最後の力を振り絞って立ち続けた。


「はぁ…はぁ…」


 目の前でザクセンが倒れているという状況に、カイムは理解が追い付かなかった。ただ荒く息を吐き、今にも倒れそうな体を必死に立たせる事で精一杯であったが。


「かっ、勝った…のか?」


「思い上がるな…貴様が勝ったのではない。若様の力が…あったからだ…」


「若…様?誰の…いや、先代皇帝の事か?」


 思わず呟いたカイムに、倒れたまま動かないザクセンが枯れたような声で否定した。その中の"若様"という言葉に疑念を抱いたカイムだったが、彼は今ま考えていた予測から第4代皇帝と考えた。


「貴方は…この内戦は…」


「内戦?はっ…こんなのは内戦でもなければ…うぅ…私が一人で起こした、長い…長い大復讐劇だ。若様と陛下の為の…」


「何なんだ…何が大復讐劇なんです!何が貴方をそうさせたのです!」


 声に覇気を持たせた為に崩れ落ちそうになったカイムをギラが駆け付けて支えると、彼は倒れるザクセンへと問いただした。その言葉に身を起こそうとしたザクセンは、少し呻くと起き上がる事を諦めてから答えた。

 ザクセンの答えは曖昧であり、顔面や体に今まで感じた事の無い痛みが走るとカイムは思わず大声を上げてザクセンへと問いただした。


「そうだな…勝者には、利益がなければな…ならば話してやる。私の復讐の理由と、どうして貴様達が勝てていたのかを…」

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