表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍者の誇り  作者: 狭間義人
プロローグ
1/81

世界の終わり

 世界に殺人ウイルスが蔓延し人類は滅んだ。

 地球上を占拠していた『人間』はもういない。


 人が歩くことをやめた海岸線、目を逸らしたくなる太陽光。肌は焼け、肉は腐り、血は渇く。

 

 白い砂浜を腐臭が歩く。さざ波は屍の足元をくぐり抜け、引いていく。

 

「オ……アア……ナ……」


 陸と海の境界線にあるのはきっとどこにでもある風景。青い海、白い砂浜、枯れた流木、歩く亡者。


 歩き続ける亡者を阻む者はいない。彼は自由を求め彷徨い続けた。

 

「アア……ズ……アア……ス…………アア……」

 

 亡者の渇いた頭上から聞こえるのは飛翔音。何かを捕えんとする動きを見せる機械物は八つのプロペラを回し、緩やかに爪を開いていく。

 

 彼は進む。海へ、山へ、街へ。彼はもう自由を手にしたのだから。

 

 飛来してきた機械物はゆっくりと亡者の頭上で静止する。ゲームセンターなどで見られていた景品を掴もうとするような動きで、四つの爪は亡者の頭部を目掛け降りていく。

 

「グシャリ」


 持ち上がる。頭部と身体は引き離されゆっくりと機械物は上昇を始め空を駆ける。

 

 ここは人間が滅んだ新世界。

 

 伝達

  新生歴 九年七月一日 十一時十六分

  人型個体一体ノ回収ヲ完了 第三百七十八番転生処置施設ヘ輸送中

  第三百七十八番転生処置施設へ受ケ入レ準備ヲ要請ス

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ