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勇者がこない! 新米魔王、受難の日々  作者: 七夜
魔王と勇者とゆかいな仲間たち
6/30

05 ワンコとニャンコの後日譚

 ・ザハトラーク外交四か条(略式)


 その一:外交は女神によって選定・派遣されし各国からの外交官(以降は勇者と記述)との間で行われる。勇者には女神から聖剣を支給される。


 その二:魔王は許可された地域において、ダンジョンの設置が可能である。設置数に制限はなく、勇者は最低でも八か所のダンジョンを踏破しなければならない。

 

 その三:魔王は原則として、魔王城『王座の間』以外の場所では明確な害意をもって勇者を攻撃してはならない。『王座の間』での最終決戦は一対一で、正々堂々と行う。

 

 その四:決戦後は勝ち負けに関係なく相手の健闘を最大限称えるものとし、勇者の所属する国家に対し一年間の貿易優先権を与える。また勇者が勝利した場合、勇者自身の望みを一つ可能な範囲で叶えるものとする。

 

 ――ヴェリアル=ギル=ザハトラーク著「ゾンビでもわかる『激闘! 戦慄の魔王』」より一部抜粋。


 ……ルールを再確認する意味も込めて久々に目を通してみたが、もーちょっと外交の名前はどうにかならなかったのか父上よ。

 五日前に宿泊した村でも子供に「あ、『戦慄の魔王』様だ」とか言われて滅茶苦茶恥ずかしかった。普通に魔王でいいじゃん。何でわざわざ長くなる呼び方するんだよ。偶然その場に居合わせた勇者たちの目線が痛かったよ。

 

 父上は何に影響を受けたのか、ネーミングセンスが一々独特だった。

 例を挙げると、比較的近場にある『毒の沼』は昔、『死を招きし毒蝕の湖沼』とかいう凄まじい呼称だった。

 確かに手強そうな名前であることは否定しないが、一々この長い名前を読み上げるのは面倒くさいし、口に出して言うのも恥ずかしい。

 僭越ながら妾が即位したと同時に改名させてもらった。他のダンジョンも大体同じような感じである。

 父上にとっても若気の至りであったらしく、この手の話題になるとしょっちゅう渋い顔をしていた。曰く「黒歴史だから触れないで欲しい」とのことで、一連の改名についてはちゃんと父上と話し合った上で行っている。

 しかし残念ながら、外交の名前は各国と結んだ条約において公式に記録されてしまっているので、おいそれと変更できなかった。

 妾の一族がこの先、一生『戦慄の魔王』と呼ばれるかと思うと涙がちょちょぎれそうだ。


「ところで、戦慄のルシエル様」

「お前それ次言ったら本気で怒るからな」

「失礼しました。では改めて戦慄様」

「削るところが違ぁーう!」


 読み終わった本を閉じたと同時に声をかけて来たミルドは、今にも笑いそうなのを必死に堪えている様子だった。

 こいつ、妾が宿の食堂で『戦慄』呼ばわりされた際、真っ先に吹き出しやがったのだ。それ以来ツボに入ったのか、事ある後にこうやってふざけた名前で呼んでくる。国が国なら不敬罪でしょっ引かれかねないが、生憎とザハトラークにそんな法律はない。

 無論公の場ではきっちりとした姿勢で仕事をこなす。こういった行動は職務外――今のように特に何をするでもなく惰性で王座に座ってる時くらい。妾自身も形式的な礼儀にはあまり頓着しない方針なので、ある程度は大目に見てるつもりだ。

 しかし、限度というものは当然あるわけで。

「流石に戦慄はやめろマジで。妾そういうキャラじゃないから。寧ろ対外的には親しみやすい系の魔王で売っていくつもりだから」

「はぁ、わかりました……」

「あからさまに残念そうな顔をするんじゃあない!」

 全く、こいつは本当にわかってんだろうな。

「で、結局お前は何を言おうとしてたんだ?」

「いえ、お疲れの様子でしたから何かあったのかと」

「お陰様でね!」

 原因の筆頭が目の前にいるんですけどね!

「今日はもう仕事はありませんが、あまり疲労を溜めすぎると明日以降の業務に支障がでます。たまには気分転換でもしたほうがよろしいのでは?」

「お前に言われるのは何か釈然としないけど、珍しくまともな意見だな」

 もっとも、言われるまでもなくやってみてはいたのだ。

 柄にもなく読書でもして気分を変えようかと思ったのだが、普段読まない活字にがっつりと目を通したからか精神的な疲労は溜まるばかり。昔から文字だけの本は大の苦手だったなぁと資格試験中の苦い思い出が蘇る。

 先日は肉体的にハードな案件もあったし、そろそろ本格的に癒しが欲しい。

「癒し……癒しか」

「どうかなさいましたか?」

 そういえば父の著作以外にも適当な本を見繕って買っていたんだった。確かその中にそんな感じの内容のものがあったような。

 妾は王座のひじ掛けに平積みしておいた中から、比較的丸い文字でタイトルが書かれている背表紙の本を選び取り、手に取った。

 あまり分厚くないそれをパラパラとめくり、ざっと内容を把握して。

「ミルド、この後の予定は?」

「特にはありませんが、何か御用時でも?」

「いや、そこまで仰々しいものではない。ちょっとした散歩のようなものだ」

 ぱたりと本を閉じ、表紙を上にしてミルドへ手渡し、王座から飛び降りた。

 本を読むときに猫背気味なのか、背筋をうんと伸ばすと背骨がパキパキと音を立てる。

 ミルドは受け取ったそれのタイトルしばらく見つめてから、神妙な顔で読み上げた。

「『今日から始めるアニマルセラピー:ワンコ編』、ですか」

「気分転換に、動物に癒されるというのも悪くないと思ってな」

「なるほど、それは名案ですね。……ですがルシエル様」

 妾の考えを称賛する一方で、何故かミルドは若干引き気味に。

 

「ルシエル様が飼っている犬と言えばガリアン将軍ですが、まさか彼に首輪をつけて引きずり回すつもりですか?」

「どんなプレイだよそれ!? 妾にそういう趣味はないから!」


「ええ、少し高度過ぎますね。しかも傍から見れば、完全に市中引き回しの刑です。一体ガリアン将軍が何をしたというのでしょう」

「知らないよ! つーかやらないよ!?」

 そんな事した日には、いい訳の余地もなく残虐無比の『戦慄』街道まっしぐらじゃないか。誰がそんなことするか!

「しかし、彼以外で犬に該当する存在などこの魔王城に……あ」

「やっと気づいたか。そうだよ、正門に配置してるアレだよ」

「……アレ、ですか」

「アレだ。そうと決まれば、早速迎えに行くぞ」

 何故か釈然としない顔をしているミルドを連れて、王座の間を出る。

 直接転移をしてもいいが、驚かせたら悪いし歩いていくとしよう。

 

  ◇


「ワンワンワン!」

「おーよしよし、今日も元気だなフィンスター!」

「……犬、なのでしょうか」

「何言ってるんだミルド、どうみても犬だろ?」

「ワウ?」

 複雑そうな表情で呟くミルドに、妾とフィンスターは同時に首を傾げた。


 魔王城正門――たぶん。い、いつか……いやきっと来るであろう勇者たちの前に最初に立ちはだかるのが、魔王城に唯一通じているこの巨大な門だ。

 各ダンジョンを攻略することで手に入る鍵たる魔石を八つはめ込むことで開く仕組みになっているが、無論それだけでは終わらない。魔王城の入り口と正門の間には広大な庭園が広がっており、そこには挨拶代わりの試練『庭園の番犬』が待ち構えている。

 そして目の前にいるバンダースナッチのフィンスターこそ、他でもない魔王城の番犬である。勇者が来た暁には全長三メートルを超える巨体を駆使して存分に暴れてくれるだろうが、普段は専ら蝶を追っかけまわしているか昼寝している。

 ミルドは頑なにフィンスターを犬と認めるのに難色を示しているようだが、何が気に入らないのだろうか。

 闇夜に溶け込みそうな毛は撫で心地がいいし、デカい図体に反して瞳は案外つぶら。肉球だってぷにぷにだ。

「何より、ワンワンと鳴いているじゃないか。完全に犬だろ」

「まあ、確かに犬っぽくはありますね」

 うーむまだ認めたくない雰囲気だな。強情な奴め。

 まあいい、ミルドの認識を改めさせるのはまた今度にしよう。

「よしフィンスター、久しぶりに散歩に行こう。庭園も広いけど、やっぱり外を歩く方が楽しいだろう?」

「ワォーン!」

「そうかそうか嬉しいか」

 最近かまってやれてなかったからか、フィンスターのテンションも既にマックスだ。尻尾を千切れんばかりに振っちゃってもう、可愛い奴め!

 犬派か猫派かと聞かれたら、妾は間違いなく犬派と答える。どんな時でも全力で親愛を表現してくれる犬は見ていてとても愛らしい。猫は何だか素っ気ない感じがするし、つい最近猫っぽい奴に痛い目を見せられたから少し苦手。

 喜び勇むフィンスターをしっかりとおすわりさせてから、ミルドと二人がかりで首輪とリードを繋げる。

 初めて散歩に連れて行ったときは想定外のパワーによって千切れてしまい、それ以来使っているのは鋼鉄並みの強度を誇る特注品だ。

 何度か引っ張ってちゃんと繋がっていることを確認し、準備は完了。

 いつでも出発は出来るようになったが、一つ問題があった。

「さて、どこに連れて行こうか」

 行き先を全く決めていなかったのだ。

「この大きさの魔獣を引き連れて市内を歩くのは完全に威圧行為ですね」

「そうだな……いっそ野外に出てしまった方が早いか?」

「でしたら、魔王城から南西の方向にある高原はどうでしょう。あそこなら人もあまりいませんし、フィンスターを走り回らせるにも十分な広さがあるはずです」

「それはいいな。よし、じゃあ転移は任せたぞ」

「かしこまりました」

 妾はその場所の正確な座標がわからないので、ここはミルドに任せることにした。

 遠征用に長距離転移魔法が即時展開できるよう儀式的な細工が施された『王座の間』とは違い、通常長距離転移を行うには一から準備を行う必要がある。

 【コール】程度なら片手間で発動できるが、次元干渉の上級魔法である【テレポート】となるとそうもいかない。

 ミルドを中心として巨大な魔法陣が描かれていく。中々のスピードだが、魔力の充填も含めれば今しばらく時間がかかるな。

 その間、フィンスターの毛並みチェックでもしておこう。

 ふむふむ、最後に見た時よりもツヤツヤしてるな。ブラッシングを担当してる職員の腕がいいのかもしれない。少し給料を上げておこう。

 あー、冬毛もすっかり抜けきっちゃったなぁ。あのフワフワした感じが好きなんだが、季節が季節だし仕方がないか。

「準備が完了しました。いつでも行けます」

「ご苦労。それじゃあステイだフィンスター。危ないからジッとしてろよ」

「ワン!」

 個人が発動する長距離転移は繊細で、ちょっとしたトラブルで転移座標が大きくずれることもある。フィンスターは利口なので暴れたりはしないが、念のためだ。

 妾達の準備が整っていることを確認したミルドは、より一層魔法陣を輝かせて、


「此方より彼方へと、我を導け。【テレポ――へくちっ」


 最後の詠唱にて、盛大にクシャミをしたのだった。

 

  ◇


「すみませんルシエル様、魔法の構築時点から無性に鼻がむずむずしてまして」

「だったら詠唱止めればよかったんじゃないかなぁ!?」

「魔法は急に止まれないんですよ」

「いやいや馬車じゃあるまいし……まあいい。それより、ここどこだ?」

「見当もつきません。困りましたね」

 不完全な詠唱という紛うことなきトラブルにより、妾達は予定していた所とは全く違う座標に転移してしまった。

 本来は高原だったであろう景色はなく、辺りを見渡せば地平線まで広がる平野。妾達が経っている地面は街道として整備されているが、周囲には民家や田畑もなければ人の気配もない。

 大方、距離の設定をミスってどこか片田舎の街道にでも来てしまったのだろう。

 勢い余って旧大陸まで飛んでしまいましたでは目も当てられない惨事だったが、それと比べれば全然大したことない。

 問題があるとすれば、ここが大陸のどの辺りなのかが全く見当がつかないということ。

 目視範囲での短距離転移が相対座標を使うのに対し、目視外の場所へ移動するための長距離転移は絶対座標を用いるのが一般的だ。今でこそ普通に使われている転移魔法は、お手軽だからこそ一層安全な運用を心掛けなければならない。

 過去の事例として、見知らぬ土地から自宅へ帰るために大体の方角と距離を頼りに長距離転移を発動したアホがいた。

 そいつは帰れたには帰れたが、ニアミスして家のすぐ側にあった肥溜めに落っこちたそうな。

 こんなのはまだまだ可愛い方で、もっと凄惨な事例も探せばいくらでも出てくるだろうがここでは割愛する。

 要するに、現在地がわからないと帰れない。

 いや、帰りたくないと言うべきか。

 妾だって強引な【テレポート】を敢行して壁に埋まったりするのは勘弁だ。

 どうにかここがどういう場所なのかを示すものがないか探してはみるものの、成果は芳しくない。

「だだっ広い草原だなぁ。目印の一つも見つかりゃしない」

「むしろ結果オーライなのでは? フィンスターを走り回らせるには十分な広さですよ」

「お前、もうちょっと申し訳なさそうにしない?」

 失敗した本人が結果オーライと言うのはどうなのだろう。

 だが、確かにミルドの言うことも一理ある。

 どうせこのままジッとしていたって事態は好転しないのだ。

 ならばいっそ、メインの目的であるフィンスターの散歩をしつつ、街道沿いに歩いていくのがいいかもしれない。途中で人に会うなり、村か街にでも着くなりすれば正確な位置情報も得られるだろう。

 何より、こちらの気も知らず、おすわりした体勢のまま期待の視線を浴びせてくるフィンスターをこれ以上待たせるのは忍びなかった。

「少々予定は狂ったが、まあいいか。行くぞミルド、フィンスター!」

「はい」

「ワン!」

 平坦な返事と元気いっぱいな返事を受けて、妾は歩き出す。


 少々トラブルはあったものの、こういう田舎な雰囲気の場所を動物と連れ歩くというのは、何とも牧歌的である。空気はポカポカしていて気持ちよく、時折吹いてくる風がもたらす清涼感。やはり春は過ごしやすくていいな。

 今日は天気も素晴らしく、雲一つない快晴だ。たまに初対面の相手から、ヴァンパイアなのに日光が平気なのかと驚かれることがある。父上の話によれば、世代交代を経て少しずつ種族としての弱点を克服していった結果らしい。

 妾としては、先見性のある先祖に感謝極まれりと言ったところだ。こんな天気がいいのにジメジメした暗闇に籠るなんて正気の沙汰じゃないな。

 隣を歩くフィンスターも至って上機嫌。伸び伸びとした姿勢でノシノシと歩く姿はまだ飼い始めで童よりも小っちゃかった頃が嘘のような成長ぶりだ。その成長力を少し妾にも分けてくれよ。

 一定のリズムで揺れる尻尾を眺めつつ取り留めのないことを考えながら歩いていると、ここ最近の騒ぎで溜まった精神的疲労が少しずつ排出されていくような感覚に至る。

 思えば、グレンツェ村で勇者に会ってからまだ二週間弱しか経ってないのだ。正しく激動と言っていい日々だった。

 それと比べて、今過ごしている時間の何と穏やかなことか。

「これが、アニマルセラピーの力なのか……!?」

「多分違うと思いますよ……おや?」

 歩き始めたから十分ほど経った頃。

 妾に付き添いつつ周囲へ気を配っていたミルドが、ふとそんな声を上げた。

 視線は街道の向こう側――ちょうど、妾達の進行方向へと向けられている。

「向こうから人が来ますね。この距離だと詳しい数はわかりませんが」

「本当か!? ……いや、ちょっと待て」

 その集団に聞けばここがどこなのか判明する。

 妾はもたらされた吉報に手放しで飛びつきそうになったが、春の陽気で緩み切った中僅かに残った警戒心が待ったをかけた。

 別に街道に人がいることは全くおかしくないが、さっきまで全然人の気配がなかったところへ、妾達を待ち構えるように現れた集団。それも、妾が完全に油断しきったこのタイミング。

 不本意にも鍛えられたある種の勘が、妾に囁いているのだ。


 それ、あいつらなんじゃないの? ――と!


 た、確かめなければ。あいつらに会ったら間違いなく面倒なことになる。それだけは回避するんだ。今日と言う今日は平穏無事に過ごすと決めたんだ。

「ミルド」

「はい、何でしょう」

「向こうにいるのは、何人の集団だ?」

 こちらに向かって歩いてきているということは、さっきよりも近づいているはずだ。

 ミルドは一層凝らすように目を細めて。

「……三人ですね」

「よーし大丈夫だな!」

 奴らは二人パーティ。

 ミルドが見つけたのは三人組。

 つまり、あれは勇者たちじゃない。

 証明完了!

「早速ここがどこなのか聞きに行くぞ! ついてこいフィンスター!」

「ワン!」

「あ、ルシエル様――」

 何かを言いかけていたミルドを置き去りに妾とフィンスターは意気揚々と駆け出し――

 

「次の町まであとどれくらいだ?」

「三〇分くらいかなぁ。少し距離あるし途中で休憩したほうがいいかも」

「賛成。ミーお腹空いた。割と限界」


「何か一人増えてるぅぅぅううううううううう!?」

 咄嗟に急ブレーキをかけようとしたが、

「ワンワン!」

「ノォォオオオオオオ!!」

 バンダースナッチは急に止まれない。

 どうやら追いかけっこと勘違いしていたらしいフィンスターの勢いは一切衰えることなく、飼い主の義務としてしっかりリードを握っていたのも災いし、抵抗も空しくズルズルと引きずられて。

 それこそ市中を引き回される罪人が如く、何故か増員している勇者パーティの前に姿を晒すこととなった。

「前から思ってたが、お前ってどこにでも現れるな」

「ははは、そうだな……」

 そして勇者の第一声がこれである。

 うん、正直言って否定のしようがない。運命の悪戯か何かは知らないけど、妾自身かなり困惑してる。

「三人ですけど普通に見覚えのある顔と言おうとしたのですが、もう遅かったですね」

「ばっちりエンカウントした後だよ。つーかもっと早く言って欲しかったなぁ」

「顔まで見えたのはあの直後でしたので。それに、ルシエル様も急に駆け出したではありませんか」

「いやそれを言われたらそうなんだけど」

 追いついて来たミルドとプチ口論になっているすぐ横で、ネリムとさも当然のようにメンバーに加わっているかの悪名高き猫耳狩人――チットの興味は行儀よくおすわりしているフィンスターの方へと向けられていた。

「うわぁ、大きいワンちゃんだ! お名前は何っていうの?」

「フィンスターです」

「じゃあフィンちゃんだね! フィンちゃんこんにちは!」

「……犬?」

 む、何だその疑るような表情は。まさかお前もミルドと同じようにフィンスターが犬じゃないとか抜かすつもりか?

 何度も言うようだが、例え種族がバンダースナッチだとしてもその見た目とあり方、そして鳴き声が犬ならばそれはもはや犬と言っても過言では――

「ってそれ以前に、何でお前が勇者たちと一緒にいるんだよ誤魔化されないぞ!?」

「誤魔化す? 意味不明。それに、ミーがマスターやネリムといることも全く不自然じゃない。当然の帰結」

「だからそれじゃ説明になってな……あ?」

 しれっとした顔で言うもんだから普通に聞き流しかけたが、今こいつ何っつった?

 ちらりと勇者の方へ視線をやると、殆ど同時に目を逸らした。いつもなら全く動じることがない奴がここまでハッキリと意思表示をするとは珍しい。よほどツッコまれたくない案件なのだろうか。

 でも、妾気になるから尋ねちゃう。

「おーい勇者くん。今チットがお前のことを『マスター』と呼んでいた気がするんだが、もしかして妾の気のせい?」

「……その話は俺に振らないでくれ」

「えー何でだよー、ちょっとくらいいいじゃんかよマスター」

「次俺のことをそう呼んだら、お前のことを一生『戦慄』って呼ぶぞ」

「ごめん妾が悪かった」

 能面で言い放たれた言葉に、妾の優勢は一瞬で終わった。

 初めて会話でマウント取れると思って、ちょっと調子に乗りました。やっぱり自分がやられて嫌なことを他人にするのって最低な行為ですね。妾は心を入れ替えます。死んでも『戦慄』は嫌です。ミルドも笑うんじゃないよ。

 と言うわけで質問を変えることにした。

「お前の呼ばれ方については置いておこう。なら、こいつがさり気なくお前らと一緒にいることに関しては?」

「それについては、村で色々あってな」

 こっちの質問に関しては特に思うところがないのか、勇者は妾達が去った後に村であった出来事を語り始める。


 村の猟師や村長、そして勇者達とついでに妾達を交えた協議の結果、チットに下されたのは三日の間森での仕事を手伝うことだった。重傷者が出なかったことと、襲われた猟師達が自分の子供と同じくらいの年齢である彼女に寛容だったことが罪を軽くした主な要因である。

 元々狩人としての腕は一級品であるチットだ。監視を兼ねて勇者達も手伝いに加わった結果、作業の停滞した三日分どころか殆ど一週間分の仕事をこなしてしまい、むしろ村からは感謝されたという。

 その過程で改めてチットが非常に優秀な能力の持ち主であると再確認した勇者は今後決まった行き先もないという彼女をパーティに勧誘し、相手はこれを承諾。正式にメンバーとして加わったチットと共に村を出たのが二日前だそうだ。

 話を聞く限りでは、まあ特に不自然なところはない。あの猫耳の能力の高さは身をもって知っている。針穴を通すような精密射撃に加え、エンチャンターとしても高レベル。そして先天的なものだという『狩人の目』とやらも、味方であれば非常に頼もしい力だ。

 行動も言動も野生児かつ風来坊なチットが勇者の求めに応じたのも、一方的に襲われた身でありながらチットを擁護し、罪滅ぼしにも親身に付き合ってくれた奴に対して思うところがあったのだろう。

 まあ旅は道連れ世は情けともいう。パーティメンバーが多い方が旅も楽しいだろうし、ダンジョンの攻略も捗るしいいことじゃないか。挑まれる側としては胃が痛いけどな。

「なるほど、チットが加入した経緯はわかった。だが……」

 やはり気になるのは、あの呼称である。

 気になる。気になるが、勇者は話したくない様子。

 ならばと、妾は質問の矛先を変えた。

「なあネリム」

「ん、何ー?」

 勇者と話している間ずっとフィンスターに喋りかけてたネリムに、妾は問う。

「勇者とチットの間に何があったんだ? お前のことは普通に呼んでいるが」

「あーあれね。実はここまで来る途中に色々あって」

 するとネリムはやはり兄妹なのか、兄と似たような切り出し方で語り始める。

「ここって前にいた村……魔王ちゃんと一緒にお世話になったあの村から二日ぐらい歩いたところなの」

「ああ、それについては勇者から聞いた」

「でね、村を出てから途中に全然町とか無くて、一日目の夜は野営だったの。それでご飯作るときは交代でするって決めてあったから、一昨日はお兄ちゃんが料理当番だったんだけど」

「え、あいつって料理できんの?」

「うん。家じゃあまりやらなかったけど、野外料理はネリムよりも上手だよ。いつもパパと一緒に山籠もりしてたし。それに、いざというとき自分で何か作れないと、我が家では死活問題だったから……」

 そう言って浮かべた笑みはネリムにしては珍しく、諦観に満ちた暗いものだった。

「えっと、それはどういう?」

「ママの料理を食べたら、死ぬ」

「あ、そういうことね。で、勇者が料理してどうなったんだ?」

 ――これ以上この話題を追求すべきではない。

 妾の直感がそう判断し、話の続きを促す。

「えっと、そう、お兄ちゃんがご飯を作ったの。ちょうど村を出る時に猟師さんから猪のお肉をおすそ分けして貰ってたし、初めて出来た仲間に出すものだからって普段より二割り増しくらいで頑張ってた」

 すげえ中途半端な気合の入れようだった。

「それで、何をお作りに?」

「カツドン」

「全然野外料理じゃないし! しかも外で揚げ物かよ!?」

 話を聞いた妾の脳内で、日の落ちた空の下で揚げ物用の鍋を無表情に見つめる勇者の図が出来上がる。

 下手な怪談よりも恐ろしい光景だ。

 にしてもカツドンか。勇者は元々罪人に食わせて懺悔を促すものだと抜かしていたが、奇しくもそれに近い構図になっていたようだ。村を出た時点で罪の清算が済んでる以上、懺悔も糞もないだろうが。

 だが、読めて来たぞ。

「要するに、美味しいご飯を食べさせたら懐かれたってところか。完全に餌やった野良猫に付きまとわれる構図だな」

「うーん、懐いたっていうのは少し違うかなー」

 妾の推測に対し、ネリムは少し困ったように笑う。

「と言いますと?」

「あれは懐いたというより、崇めてるね」

「ファ!?」

「チットちゃんも言ってたでしょ、地元がメシマズだから国を出たって。手料理がトラウマだとかで村にいる間も一人だけ保存食齧ってたし、お兄ちゃんが作ったまともなご飯に相当なカルチャーショックを受けたみたい」

「いやいやいや!」

 いくら作ってもらった飯が美味かったからって、そこから崇拝に至るのはいささかぶっ飛び過ぎなのでは!?

 そう思い、相変わらず疑念に満ちた表情でフィンスターとにらめっこをしているチットを見ると、視線に気づいたんか向こうもこちらへと目を向けて来た。

 この如何にもプライドが高そうな猫耳が他人を主人と慕うなど、全く想像できん。

「おいチット、お前は勇者を何だと思ってるんだ」

「神」

「真顔で即答!?」

「あの夜、ミーは初めて本物の料理を食べた。マスターのおかげでミーは恐怖を乗り越えた。それに、マスターはミーよりも強い。故に神」

「……たかが料理が不味かったのがどんだけトラウマに――ホァ!?」

 言葉を発している途中、突如眼前に迫ってきた何かを妾は全力で回避した。

 頭をぶち抜かれて以来より一層鍛えなおした動体視力が捉えたのは、長さ一〇センチほどの鋭利なピック。頬を掠めたそれは付与魔法特有の淡い魔力光を伴いながら、音速手前の速度で背後へと突き抜けていく。

 無論、あれを放ったのは。

「……チッ」

「い、いきなり何してくれとんじゃゴラァ!?」

「食を軽んずるものは、死してその罪を贖うべき」

 突然の暴力に妾は抗議の声を上げるが、抜き放った姿勢のまま舌打ちしたチットは悪びれるどころかむしろ怒気を孕んだ声で告げてくる。

「食とは命を頂くこと。食材を扱う料理とは、命を担う神聖な行為。たかが料理と切る捨てることは、命を溝に捨てる大罪」

「言ってることは至極真っ当ですね」

「だいぶ宗教じみてるせいで共感しがたいがな……」

 どうやら信仰の力を得た結果、チットは前よりも一層危険な代物となり果てたようだ。

 どーすんだよこれ。このままじゃこいつ、旅先でちょっとでも不味い飯が出たら「異教滅ぶべし」とか言ってぶち殺しかねないぞ。

 お前の方がよっぽど『戦慄』じゃないか!

 と、未だ向けられ続けている圧倒的殺意に慄いていたら、

 

「落ち着け。少し口が滑っただけだろ」

「間違いは誰にでもある。熱くなり過ぎた。反省」

「鎮火早!?」

 若干呆れた様子の勇者が軽く窘めただけで、怒れる猫耳は一瞬で大人しい猫耳へとクラスチェンジした。

 正しく鶴の一声。どうやら勇者に置いている信頼は口先だけのものではないらしい。

 何にせよ、今回限りは勇者に感謝せねば。

「よく鎮めてくれた。お礼にフィンスターを撫でる権利をやろう」

「……そもそも、お前たちは何をしに来たんだ」

 おっとそうだった。

 チットに関するあれこれが色々衝撃的だったせいで、当初の目的をすっかり忘れていた。

「実は魔王様がフィンスターを散歩に連れて行こうということになり転移魔法を使ったのですが、指定座標がずれてここに転移してしまったんです」

「ありゃ魔王ちゃん、初心者みたいなミスするね!」

「妾じゃないから! 転移魔法使ってる最中にクシャミしたのミルドだから!」

 こいつさり気なく自分のミスを妾に擦り付けようとしやがった。何て奴だ。

「散歩? お前がか」

「そうだよ、妾だって魔王である以前に飼い主だからな。犬の散歩くらいやって当然だ」

「犬にしてはデカすぎないか?」

「そういう品種なんだよ」

「品種名は何だ」

「……バンダースナッチ」

 勇者は妾とフィンスターを交互に見ながら、しばらく考え込むようにして。

 

「お手」

「ワン」

 差し出した手に、タライのような大きさの前足がポフンと乗せられたのを見て一つ頷き。

「確かに犬っぽいな」

「ぽいは余計だ!」

 芸までさせておいて失礼な奴め!

 しかし勇者はなんだかんだで気に入ったのか、ネリムと代わりばんこにフィンスターへ次々と指示を出していく。

 初対面の相手にも人懐っこいフィンスターは、その一つ一つに律儀に応えていた。

「おかわり」

「ワン」

 お手ときたら次はこれだよな。

「伏せ!」

「ワン」

 うん、地面に腹を着けた体勢も可愛い。

「ローリング」

「ワン」

 おお、この巨体でやるとやはり圧巻だな!

「逆立ち!」

 逆立ち?

 おいおい、そんなの出来る訳――


「ワン!」

「出来てる!? すげー!」


 でも妾は逆立ちなんて覚えさせた記憶ないんだけど。

 いつの間に……いや、そもそも誰が教えたんだ!?

「フィンちゃん凄いねー!」

「中々だな」

「だ、だろ?」

 いたく関心した様子のネリムと、満足したように頷く勇者。

 何か納得いかないが、ウチの愛犬が正当な評価を受けたことに自体に悪い気はしない。

 ここは飼い主として胸を張っておこう。

 だが、一方でそれをよく思わない奴もいたらしい。

「……」

「どうした?」

 勇者がフィンスターにお手をさせた段階から何故か面白くなさそうな顔をしていたチットが、何かを訴えるように勇者の服の裾を引っ張った。

 それに気づいた勇者が、じっと見上げてくる相手の視線からその意図を探るようにしばし見つめ合い。

 数秒ほどして何かしら思い至ったのか、勇者は顎にやっていた手をそっと差し出して。

 

「お手」

「にゃあ」

「お前もやるんかーい!」


 しかも非常に満足気ー!

 勇者がフィンスターにばかり構っていたのが気にくわなかったのか。いやだからって犬と張り合うのはどうなんだ?

 猫だから? キャットピープルってみんなこうなのか?

「ミルドはミルドで何やってんだよ」

「いえ、あまりに殺人的な光景に思わず」

 弁明するミルドは、鼻の頭を押さえて上を向いていた。

 そういえば、こいつ猫派だったな。

 森で追いかけてた時もやけに目がギラついてたし、チットは好みのド直球なのか。

 妾も頭を串刺しにされた経験がなければ、目の前のこれを素直に可愛いと言えたかもしれない。

「うん、偉いな」

 しかしこの勇者、ノリノリである。もはや完全に猫扱いだ。

 呼び方云々はともかく、純粋にチットのことは気に入っているのだろう。

 髪を梳くように頭を撫でられているチットも表情こそ殆ど変化してないが、とても嬉しそうにしていた。

 顔の代わりに、尻尾が全開だった。

 ……確かにこれは、中々心に響くものがあるな。

「ルシエル様もおわかりいただけたようですね」

「ああ。やはりペットが主人にその親愛を表現する姿には、あまねく存在に癒しを与える効果があるのだろうな」

 それこそ、犬派・猫派に関係なく。

 感慨と共に、ポツリと呟く。

 そうか、これこそがアニマルセラ――


「ピィィィィィイイイ!?」

「……チッ」


 本日二度目のピック。

 本日二度目の舌打ち。

 顔面ど真ん中を狙って投擲されたそれを白刃取りが如く両手で挟み取り、慣性によって三メートルほど後退し、止まる。

 ふ、ふふふ、舐めるなよ。二回目ともなれば眼が慣れたわ。

 さっきは避けるので精一杯だったが、今度は掴み取ってやったぜ。

 こういうちょっとした対応力の変化に、日々の特訓の成果が垣間見えるというもの。

 さて、それはそれとして。

「何で今攻撃された!? 妾が一体何をしたー!」

「今、失礼なこと言ってた気がした。推定有罪」

 くっ、耳のいい奴め。

 ペット扱いが気にくわなかったようだ。フィンスターに対抗意識バリバリだった癖に。 にしたってこらえ性がなさすぎる。

「躾がなってないぞ躾が! 一分以上ステイができるフィンスターを見習え!」

「これは本能。矯正不可」

「偉そうに言うな!」

 こいつ、完全に悪びれることなく「改善の余地なし」と言い切りやがった。

 しかも自分で!

 今更ながら思ったが、ルールでこっちから危害を加えるのは禁止されてるのに、向こうから攻撃してくるのはありなのか?

 勇者に会ったときは聖剣で浄化されかけたし、チットにはことあるごとにヘッドショット狙われるし。

 何てこった、ルールに穴があるぞ父上!

「ルシエル様がこうして勇者様に干渉しまくってるのも限りなくグレーに近いですが」

「それは気にするな」

 勇者を正しい道――魔王城へ向かう道へ導くのも仕事みたいなものだ。

 それに、ここ最近の遭遇は大体事故みたいなもんだし。

 今日のこれも事故みたいなもんだし!

 とりあえず、帰ったら女神と相談だな。

 このままじゃこいつらが魔王城に辿り着く前に妾がやられる。

 よし、そうと決まればとっとと帰ろう。善は急げだ。

 フィンスターも全力で走ったり遊んでもらったりで、満足したっぽいし。

「と言うわけで、妾達はそろそろ帰る」

「どういうわけかは知らんが、じゃあな」

「またねー!」

「……さよなら」

 勇者達は三者三様に別れの言葉を口にしてから、妾達が来た方向へと歩き出した。

 二人は兎も角、チットまで小さく頭を下げて挨拶してきたのは意外だったな。

 普段からあれくらい大人しければもうちょっと可愛げがあるんだが。

 そんなことを考えている内に、三人の背中はどんどん小さくなっていく。

「行ってしまいましたね」

 ミルドはどことなく名残惜しそうな雰囲気だった。

 よほどチットのことが気に入ったのだろうか。

 だがあまり長い時間引き留めるわけにもいかないだろう。

「奴らも急がなければまた野宿になるだろうからな」

「そうですね……でも、よかったんですか?」

「何がだ?」


「結局ここの具体的な座標が不明なので、このままだと帰れませんが」

「……あ」


 わ、忘れてたー!?

 慌てて勇者達の向かった方向へ向き直ってみれば、奴らの姿はもう既に点となって消えかかっていた。

「歩くの速くね!?」

「途中から短距離転移を連発してたようですね。変わらない景色に飽きたのでしょうか」

「くそっネリムの仕業か、毎度毎度出鱈目な……ってもう見えなくなってるし!?」

「追いかけますか?」

「当たり前だ! このままだと野宿だぞ野宿!」

 さっきネリムが言ってた通りなら、一日以上歩いても辺り一面草原らしいじゃないか。

 ここは是が非でも追いついて、正確な座標を教えてもらわなければ。

「今から走ればまだ追いつけるはずだ!」

「走って追いかけるんですか?」

「あんな馬鹿みたいな移動方法出来るわけないだろ!? 行くぞミルド、フィンスター!」

「ワン!」

「はぁ」

 威勢のいい返事と気のない返事を受けながら、妾達は全力で駆け出した。

 おーい待ってくれ!

 待ってください!

 お願いします!


 ◇


 ――帰宅後。

「え、ルール改正できないの!?」

『それが、ヴェリアル様にお問い合わせしたところ「駆け出しパーティのじゃれ付きくらい付き合ってやれ」とのことです』

「じゃれ付きで殺されそうなんですけど!? いやまあ死なないけど!」

『一応、私の方からあまり過激な手段は取らないように注意喚起しておきますので』

「切に頼む。いやはや、また世話をかけるな」

『いえいえ、円滑な外交の運営が私の仕事ですから。ところで、先程【コール】と一緒にこちらへ送って頂いた映像についてなんですが……』

「おお、見てくれたか! それは魔王城の番犬にして我が忠犬たるフィンスターだ!」

『ちゅ、忠犬? これバンダースナッチですよね?』

「お前もそういう反応か……どうしてみんなフィンスターを犬と素直に認めないんだろうなぁ。いや、ネリムは認めていたか」

『ええっと、これは個人的な見解になるのですが』

「ほう、聞こうじゃないか」

『その、バンダースナッチが犬に見えないのは……』

「ふむふむ」


『耳がないからじゃないですか?』

「それだけ!?」


 言われてみれば、確かにフィンスターの頭はツルツルなのであった。

 でも誰が何と言おうと、妾にとってお前は心の犬だからな!

リアルで飼っている犬を見てたら何となく書きたくなったお話。

普通の黒キャバです。耳もちゃんとあります。

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