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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
誘惑の闇
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ランチタイム

 のどかな昼下がり。こんな日は、屋上でランチタイム日和。



『あ、あのね、美月ちゃん。あたし生徒会の補佐する事になったの!』


 朝、真由がそれを告げた後の美月の怒り様といったら……。


『可愛いまゆをあんなホスト集団なんかに差し出せるかあああああ!!!!!!!』


 そう叫んで篠宮に殴りかかる美月を止めるのは、もう大変だった。

 『司に無理矢理誘われて』という篠宮の咄嗟のフォローで何とか事なきを得たのだが。(何故か美月は藤代には弱いのだ)

 『喋ったら殺す』という大久保と、不用意に彼らに近づいたら発狂しそうな美月との板挟みで真由は悩みに悩んでいた。



「はぁ……」


 真由はため息をつこうとした瞬間に、隣から盛大なため息が聞こえて思わず引っ込んだ。


「何? ひろちゃんまで何かあったの?」

「……え?」

「今日はみんな様子がおかしい」


 真由は思わず美月から目を逸らす。仲良しの美月に嘘をつくなんて、苦しくて堪らない。


「まぁ、話したくないならいいんだけど、さ?」


(話したい! 話したい! 話したいんです本当は!!)


 少し寂しそうに言った美月を見てたら、本当に胸が苦しくなってきた。


(美月ちゃんになら、言ってもいいかな……?)


 真由はチラッと紘乃の方を見ると、その意図が伝わったのか、小さく首を横に振られた。


「そんな事より聞いて! あたし昨日パーンと思い付いて、寝ずに妄想したんだけどぉ!」

「え、今日眠そうな理由、それ!?」

「うん!」


(……なんだ、心配して損した)

 

「なになに? どんな妄想?」


 真由はさっきの話に戻らないようにシフトチェンジしようと会話を広げた。紘乃もちょうど同じ事を考えてたようで、身を乗り出して聞き入る体勢。

 それに気を良くした美月は、もったいぶった様子でゆっくりと口を開く。


「あたしね、思ったんだけど……九条先輩が吸血鬼だったらちょー萌えない!?」

「「……ッ……!!??」」


(この人またとんでもない事言い出した!)

(この人またとんでもない事言い出した!)

(この人またとんでもない事言い出した!)


「え、あれ? 萌えない??」


 美月の妄想は結構よく当たる。


 よく当たる。


 ……恐ろしいほどに。


「もう昨日から妄想止まんなくてさ、これでドラマ一クール行けるよね」


 こうなった美月は誰にも止められない。美月はよく『予言者とは未来を予測出来るだけではなくて、その予言を現実にする言霊のような力があるのではないか?』と話しているのだが。


(なんだろう、この人の妄想を現実に引き寄せる力は……)


「あ、ヤバい! 今日当番の日だ! 委員会行かなきゃ。じゃあまた今度続き聞いて!」


 そう言って、美月はバタバタと走って屋上を出て行ってしまう。美月の背中が見えなくなるのを確認して、二人は詰まっていた息を同時に吐き出した。


「美月ちゃん。すごいね……」

「うん。今回はさすがに鳥肌立ったわ……」


 当たらずとも遠からず。妄想は今日も絶好調のようです。

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