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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
波乱の文化祭
64/126

恋文上等

「あんなもん送ってくるって事ぁ、それ相応の覚悟は出来てるって事だな?」

「お、押忍……」


 大久保は届いた手紙をグシャグシャに丸めると、そのまま放り捨てた。


「上等だ!」



『果たし状


 大久保龍一殿


 私、安倍美月は大久保殿を克服したき候。

 決戦はこの文を受け取り次第。

 旧棟、体育倉庫にて待つべし。


 安倍美月』



「決戦って……。だから美月胴着着てきたの?」

「う、うん。ってゆーか、何で熊谷くんが?」

「だって面白そうだからついて来ちゃった」


(大久保には睨まれたけど、気にしない!)


 大久保が女子の誘いに乗るという事は、とても珍しい事だった。


(そんなの面白い事が起こらないはずがない!)


 それに今、熊谷にとって美月の行動全てが気になって仕方なかった。


「ま、俺の事は気にしないで。進めて!」


 こうして秘密特訓――もとい、決戦が始まったのだった。



――十五分後



「だから! なんで目ぇ逸らすんだよ!!」

「いや……あの、それは……」

「人が愛の告白してるってのに目ぇ逸らすとはイイ度胸だ」

「いや、違うんです……」


(だって目が怖いんだもん!)


「あ?」

「いえ、何でもありませんッ!」

「いいか。俺だけを見てろ。俺以外、何も見るな」

「……あがががが」


 美月は顔を強張らせたままフリーズした。しばらく回復しそうにない。


(今普通の女子だったら頬染めるような、ものすごい殺し文句言われてるんだけどなぁ……)


 美月にはただの脅しにしか聞こえていないだろう。


「また白目! その白目やめろ!」

「うわあああん」


(ダメだこりゃ。ずっとこの調子じゃ、美月がまた気絶しちゃう)


「あーはいはい。大久保落ち着いて。そんな言い方したら美月がもっと怯えちゃうよ」

「あぁ?」

「みづきーだいじょーぶ?」

「くまちゃん!!」


 美月は必死に大久保から離れると、熊谷にしがみついた。


(お……? なついてきた)


 大久保に怯えきっている美月にとって、話の分かる熊谷はこの時唯一の頼れる味方であった。

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