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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
波乱の文化祭
63/126

君に届け

「美月! おはよー」


(あ……熊谷くん)


「……お、おはよ」

「え? 熊谷?」

「あ、まゆもおはよー」

「おはよう」

「じゃあまた放課後ねー!」


 パタパタと走って行ってしまう熊谷の背中を、二人は目で追った。


「ねぇ、美月ちゃんいつから熊谷と仲良くなったの?」

「……んと、昨日?」

「スゴいじゃん! どんどん生徒会と仲良くなるね」

「う、うん……?」


(仲良くなったかと言われれば、甚だ疑問だが)


「このまま藤代とも仲良くなればいいのに!」

「ヤダヤダ。それは無理」

「なんで!?」

「何でも」


 美月は結局、昨日の事をどんな風に言えばいいか分からずに、誰にも相談出来なかった。


(別に嫌じゃなかったとか……自分の気持ちがよく分からない)


 しかしどんなに悩んでも恋愛偏差値ゼロの美月には、答えは出ないまま。


(いくら考えてみても、分からんもんは分からん。諦めよう)


 思考を停止する事にした。



 ***



 休み時間、篠宮の携帯が鳴る。画面を見ると、メールが届いていた。


(俺とメールする奴なんか、この学園にしかいないのに。なんで学園にいる時間にメールなんか届くんだ……?)


 不思議に思いながら、受信ボックスを開く。


From:美月

Sub:ちょっと顔貸せ

〈このメールには本文はありません〉


「……?」


 篠宮は隣の席に座る美月を見る。


(さっきから下向いて何してんのかと思ったら……俺にメール?)


「なぁ」


 話し掛けると、美月は黙って教室を出ようと席を立った。


「あ、おい――」


 呼び止めようとしたら、またバイブが鳴る。


From:美月

Sub:黙ってついてこい馬鹿

〈このメールには本文はありません〉


「…………」


(なんかよく分かんねーけど)


 篠宮はとりあえず言われた通り、黙って美月の背中を追いかける。その背中は、非常階段の踊り場で立ち止まった。


「何? 喧嘩なら買わないぜ?」

「大久保様にこれ渡して」

「なにこれ」

「……ラブレター」

「……ッ、はぁ!?」

「頼んだぞ、ワトソンくん」

「いや、何キャラだよそれ」

「今すぐ!」

「は?」

「Hurry up!!」

「あぁ、はいはい」


(なんか面倒な事頼まれた……)


 しかし届けない方が面倒くさい事になると知っている篠宮は、仕方なく届ける事にした。


(この時間はどうせ生徒会室でおサボりだろ?)


 生徒会室のドアを開けると、案の定大久保は定位置のソファに座っていた。

大久保は珍しい来客に、怪訝そうな顔を向ける。


「これ」

「……なんだよ、これ」

「美月がラブレターだって」


 大久保は嫌そうに、分かりやすく片眉をピクピク吊り上げて、手紙に目を通した。


「……ッ、ククク、はははは!!」

「え、何? そんな変な事書いてあった?」

「いや、ただのラブレターだったぜ?」

「……マジで?」

「篠宮」

「あ?」

「お姫様に伝えとけ。俺も同じ気持ちだ、ってな」

「……あぁ」


(おいおい、マジかよ……ッ!?)



 篠宮が教室に戻ると、美月は待ち構えていたようにドア付近で真由と話していた。


「大久保から伝言」

「なんだって?」

「なんか……俺も同じ気持ちだ、って」

「よっしゃ! お務めご苦労ワトソンくん」


 美月は立ち上がると、もうすぐ授業が始まるというのに教室を出ていこうとする。


「え、美月ちゃんどこ行くの!?」

「大久保様とデートじゃ」

「「…………」」


 篠宮は咄嗟に突っ込む事も出来ずにいると、唖然とした真由と目が合う。


「えっと、どういう事?」

「さぁ……。ラブレターの返事がOKだったって事?」

「ラッ、ラブレター!?」


 教室に響いた真由の声は、始業ベルにかき消された。

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