Why……?
いつも呼び出すのは九条の方だった。紘乃からの電話は初めてで。
ずっとそれを待っていた九条は嬉しいはずなのに、何故か素直に喜べないでいた。
(何だろう……胸騒ぎがする)
「失礼します」
控え目なノックの後に、紘乃が生徒会室に入って来た。その瞳は伏せたまま、九条を見ようともしない。
九条は電話の時感じた違和感を、今も拭えないでいた。
「あの……」
「そこに突っ立ってるのもなんだし、とりあえずここ座ったら?」
九条は自分の隣に座るよう促すと、紘乃は小さく首を横に振った。
「いえ、ここでいいです」
「どうしたの? ひろの?」
思わず九条が立ち上がると、ビクンッと肩を震わせる。それはまるで、九条を避けているみたいだった。
違和感はどんどん広がっていく。
「話って、何?」
「あたし……」
紘乃はそのまましばらく言葉を詰まらせて。唇が震えている。
(やっぱり、変だ)
(ねぇ、顔を上げて? 君は今、どんな表情してるの……?)
「あたし……もう、九条先輩には会えません」
「……え?」
(なに、言って、るの……?)
「……ひろの?」
少しも九条を見ようとしない。その瞳はまるで九条を忘れてしまったように。
「そういう事なんで」
「あ、ちょっと待って! ひろの!」
伸ばした手は届かずに、目の前のドアは閉められた。
(何故だ……? 何で僕を見ない?)
何も分からない。
(もう、会えない? ……そういう事?)
「どういう事だよッ!?」
思いきり閉められたドアを殴る。それでも胸の奥の方、軋むような痛みは消えなかった。




