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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
波乱の文化祭
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決意の朝

(別に遠くから見ているだけで良かったのに)

 

(このまま近づき過ぎたら、きっと)



 紘乃がスマホのロックを解除する。着信履歴には九条の名前ばかり。

 溜息が出る。今までの九条の行動にも、これから自分がやろうとしてる事にも。


(それでも決めたんだ)


 九条の番号を選択する指が震えて、紘乃はまだ出来ていない覚悟に胸が苦しくなった。

 着信音が鳴り、耳に当てる。もう後戻りは出来ない。


『もしもし?』


 たった二回のベルで九条は電話に出た。その声は微かに弾んでいる。


『珍しいね。ひろのから電話なんて』

「あ、あの……」


 九条の声を聞いただけで、覚悟が揺らいでしまう。


(こんなんじゃ、ダメだ)


 紘乃は大きく深呼吸して、胸を鎮めた。


「話があるんです」

『僕に……? なに?』

「いえ、会って話したいので。放課後、会いに行ってもいいですか?」

『えー? なになに? 別に断らなくても会いに来ていいのに』

「じゃあ放課後に。失礼します」


――プッ、ツーツーツー


 しばらく動けずに、息をするのも忘れていた。大きく息を吐き出すと、気持ちまで一緒に流れていくみたいだった。

 足元がぐらついて、ちゃんと立っているのかよく分からない。


――ツーツーツー……


 鳴ったままの不通音だけが、やけにリアルに耳に響いた。

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