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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
波乱の文化祭
45/126

波乱の序章

「ヤダ」

「美月ちゃん、お願い! ね?」

「絶っ対、嫌ッ!」

「眼鏡さんに断る道理はないと思うけど?」

「……うッ」


 生徒会と美月の攻防は続く。

 時は遡る事、三時間前。



  ***



「……という事で、作戦開始だ。さっそく放課後、眼鏡さんを呼び出すよ」

「でも、九条先輩。美月ちゃんもりゅうちゃんに負けず劣らずの極度な男嫌いなんですけど」

「うむ。眼鏡さんの男性恐怖症の件はひろのからも聞いておる」

「だったら……」

「これは大久保だけじゃない。眼鏡さんの男嫌い克服大作戦でもあるんだよ」

「アイツ、絶対嫌って言うと思いますけど」

「それを言わせないために君がいるんだろ? 篠宮」

「え、俺……スか?」


 九条は、『任せとけ』とウインクをして笑った。


((((絶対大丈夫じゃない))))



  ***



 そして、ついに放課後が来てしまったのである。


「さて眼鏡さん。何故君が呼び出されたか、分かるかな?」

「ワカリマセン」


 美月は真由にしがみついて硬直したまま、そう答えた。


(いきなり片言になっちゃってるけど……)


「実はね、」


 九条が意味深に溜息をついて語り出す。


(あぁ……完全にスイッチ入っちゃってるわ)


 こういう時の九条は誰にも止められない。


「眼鏡さんにお願いがあるんだ」

「……あ、たしに?」

「生徒会が毎年文化祭にミュージカルを上演するのは知ってるね?」

「……はい」

「今年の主役は大久保。そのヒロインを君にお願いしたいんだ」

「はい?」

「だから、ヒロインを君に……」

「はい?」

「だからぁ〜」

「はい?」


(ダメだ……現実と向き合いたくなくて、逃避してる時の顔だ)


「じゃあヒロインは眼鏡さんに決定、っと」

「いやいやいや待って! なんであたし!? あたし生徒会じゃないし! そんなの無理! つか、イヤだ!!」


 美月はテンパり過ぎて、天下の生徒会長相手にタメ語で否定を続ける。

 しかし、確かに生徒会以外の誰かが出た事など一度もない。異例中の異例。そんな生徒会でもない美月を、九条はどう引き込むつもりなのか。皆の注目は一気に九条に注がれた。


「なんで君かって? その理由はただ1つ」

「何、ですか……?」

「篠宮を殴ったからだよ」

「へ?」


((((…………))))


 美月だけではない。今ここにいる九条以外の全ての人が唖然としている。

 まさか自分の名前がそこで出てくるとは思っていなかった篠宮自身が、一番驚いていた。


「今回のヒロイン役はね、ホントは篠宮だったのに……」


((((え!?))))


 視線が篠宮に集まる。


(いや聞いてない聞いてない聞いてない!!)


 篠宮は美月に気づかれないように小さく、でも必死に首を振った。


「顔にあの痣じゃね〜? 到底ヒロインは無理だ」

「痣無くても普通に無理だろ?(ボソッ)」

「司、何か言った?」

「イエ、何デモアリマセン」


 藤代の発言は、今一番正しい意見だ。

 それでも押し切ってしまうのが、この男。


「眼鏡さんのせいで篠宮は舞台に立てないんだよ?」

「…………」

「その責任は、取ってもらわないとね」


 九条はあまりに理不尽な主張を、さも当たり前のように続けた。


(そんな理屈が通る訳――)


「……そそそそそんな!!」


(え、嘘だろ?)


「嫌!! 絶っ対、無理いいい!」


 苦手な男子達に囲まれ、既にパニックとストレスの極限状態にある美月には、あり得ない篠宮のヒロイン説も通ってしまったらしい。

 そして冒頭に戻る。

 篠宮は目が死んだ魚のようになってしまった美月を見ながら、真由に耳打ちをした。


『少し可哀想な気もするけど……これも大久保と美月のため、なのか?』

『九条先輩はただ楽しんでるようにしか見えないけどね』


 前途は多難だ。

 しかしこれは波乱万丈な文化祭の序章にすぎなかった。

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