胸騒ぎ
「何!? それは本当なの!? 熊谷?」
「あ、うん」
「それは事件だ! 至急、作戦会議を始めるよ! みんな集めて」
昼休み。九条の一言で、生徒会は臨時に集められた。
「あ? なんでお前らまで?」
生徒会室には、真由と紘乃の姿。それから……。
「文化祭の会議って聞いたから。それより、藤代こそ!」
真由が藤代の隣をチラリと見る。
「さやは俺の彼女だからいいのー」
「お邪魔してまーす」
藤代に今にも飛び掛かりそうな真由を紘乃が落ち着かせている。
(不思議なメンツだ……)
篠宮は生徒会室をぐるりと見回して、しかしその中に副会長である大久保の姿がない事に気付いた。普段であったら、招集がなくても生徒会室に常在しているような人であるのに。それは珍しい事だった。
九条は特に気にする様子もなく、皆の前に立った。
「今日はみんなに提案がある。書記!」
指名された滝本は、九条に言われた通りのテーマを、黒板にでかでかと書いた。
【大久保の女嫌い克服大作戦】
「え、何それ?」
「無理じゃね? あれは一生治んねぇよ」
「ところが聞いて驚け! 熊谷!」
「あ、うん。昨日ね、美月ちゃんが触ってもヘーキだったの」
「さっきマネージャー協力の元、他の女子でも実験してみたけど、またダメだった」
「それって美月限定って事?」
「昨日は大久保も気失ってたし、何とも言えないけど、おそらくは……」
「僕はね、眼鏡さんに大久保の元気玉になってもらいたいんだよ!」
「何それ」
「……よく分かんねーけど、突っ込むのめんどくさいから進めようぜ」
「でもなんで美月ちゃんだけ大丈夫なんだろう……?」
「女だと思われてないんじゃね?」
「藤代! アンタってホント最低!」
「は? 何キレてんの?」
(…………)
また真由と藤代が喧嘩を始めてしまった。皆、また始まったかと呆れた様子で見ていた。そんな中二人の喧嘩を初めて見たらしい藤代の彼女――紗耶加だけは唖然とした顔で見つめ、そして。
(あの司に口で対抗出来るなんてすごーい!)
密かに感動していた。
まだ二人は口論中、でも九条は気にせずに続けた。
「そこで、だ!」
九条が意味深にニヤリと笑う。
((((あ、ヤバい))))
生徒会の全員が思った。あれは何か思い付いちゃった時の顔だ。
「作戦は次の通りだよ」
九条が楽しそうに作戦を話し始める。
これまで九条の思い付きに振り回されてきた生徒会には、嫌な予感しかしなかった。




