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【幕間閑話】甘い楔
ねぇ、先輩。
どれだけ想い続けたら、この想いがちゃんと届く?
あたしを上から見下ろして、優しく微笑む。
先輩の手が、慈しむようにあたしの頬を撫でた。
先輩が何人もの女のコと関係を持っていて。
あたしもその一人だって事、分かってるよ?
だから、お願い。
そんな愛しそうに、あたしを見ないで。
「ひろの……」
そんな甘く切ない声で、あたしの名前を呼ばないで。
先輩……。
こんなに近くにいるのに、どうしてだろう。先輩の心が何も見えなくて。
その距離が遠くて、近づけない。
先輩の大きな手が、あたしの手に重なって。
すがるように、しがみついた。
「せ、んぱ……ぃ」
どれだけ想い続けたら、この苦しい胸が楽になる?
どれだけ想い続けたら、同じ気持ちで愛し合える?
本当は先輩のたった一人になりたくて。
たった一人になれなくて。
苦しい……。
先輩と熱を重ねる度に、身体が熱くて溶けてしまいそう。
もしもこの願いがいつか叶うなら、このまま……。
先輩の唇が首筋に触れる。
静かに閉じた目から、涙が溢れた。




