ミラクルガール
「そういえばさ、あの通り魔さん達は結局何だったの……?」
「「「「え!?」」」」
欠伸をしながら彼女は、耳を疑う事を言い放った。
「分かんねーで戦って、コイツ元に戻したのかよ!?」
篠宮は屍食鬼と化していた少年を指差し、問いただした。
美月はその剣幕に圧されながら、しどろもどろ答える。
「いや、だって夕樹はやけに気が乱れてるなぁ〜って思ったから、とりあえず整えてあげて……」
「理屈じゃない、って事かな?」
理屈ばかりに縛られて何も出来ないと思っていた。しかし本能のまま彼らを助けようとした美月。
無知は時々とてつもない奇跡を起こす。
篠宮は考えた。
きっとこちらが話さなければ、美月は何も聞いてこないだろう。そういう奴だという事は、篠宮もよく分かっていた。
でもそれはまた、美月が何も知らないまま危険な事に足を突っ込む事を意味していた。
話しておくべき、か。先程生徒会長から許しも得られたみたいだった。
(ホントに加藤さんのお願いなら聞いちゃうんだから、あの人)
「あのな、美月。落ち着いてよ〜く聞けよ」
「うん……?」
「俺達、生徒会は鬼なんだ」
「うん」
「……だからな? 信じらんないかもしんねーけど、俺達鬼なんだよ!」
「ねぇ! 聞いた!? コトダマジックキタあああ!!!」
「…………」
彼らにとっては、一世一代の告白。
拒絶や迫害なんて、数え切れないほど経験してきた。
誰かに話したら殺すなんて契約があるからとはいえ、今真由達と普通に過ごせているのも不思議なくらいだというのに。
(何だろ……逆に興奮してる)
「だからあたし言ったじゃん! 九条先輩、吸血鬼だって! あ、鬼だから吸血鬼じゃないか……ニアミスっ!」
美月は悔しそうに頭を抱えた。それでも一生懸命、紘乃に主張している。
みんなその反応には唖然としていた。
「何? 美月そんな事言ってたの?」
「うん……美月ちゃんってね、時々とんでもない予言みたいなのしちゃうの。言霊ってやつ」
「それでコトダマジック……?」
「うん」
真由が美月を見て笑う。
こんな風に、自分達の存在を笑い飛ばす人を初めて見た。
「九条先輩は、その、純血ですか?」
「え? なんで分かんの?」
「やっぱり! うわ、たまらん」
「なんか普通に話通じちゃってるし。無駄に詳しいし」
「美月ちゃんだからねぇ」
何となくだが、篠宮は美月があんな奇跡を呼んでしまう理由が少しだけ分かった気がした。




