正義の味方?
「さぁ! 全部話してもらいましょうか?」
真由がズズイと顔を近づけると、美月は少し困ったように苦笑した。
「話すのはいいけどさ……どこから話せばいいの?」
「とりあえず、なんで美月ちゃんがアイツらと戦ってるの!?」
「あー、それは……あたしが合気道部主将だからです」
「「「「は?」」」」
ここにいる全員の声が、綺麗に重なる。
一ヶ月前。部活の帰り道。
たまたまクラスの女子が襲われてるのを見たと言う。
「で、ここは合気道部の出番かと……」
「いや、全然分かんない」
「学園の平和はあたしが守らなきゃ! って思った訳ですよ」
「だからなんでそうなんの!?」
それから、夜な夜なさまよう奴等から学園を守るべく、部活の後輩のカイトと夜間パトロールをしていたらしい。
正義感が強いのか、単なる好奇心か。
「それでずっと眠そうだったのか!」
「美月ちゃん、普段は九時就寝だもんね」
「それは早すぎだろ!?」
「え、もうすぐ九時になるけど」
「……どうりで、先程から眠いと思いました」
「「「「あ……!」」」」
「カイト、まくら……」
「あー! ダメダメ! まだ寝ちゃダメ、美月ちゃん!」
既に寝る体勢に入ろうとしている美月を紘乃が必死で揺すっている。しかしその目はとろんとして、今にも閉じてしまいそうだ。
それでも頑張って起きようと、目を擦りながら欠伸をかみ殺した。
「そういえばさ、あの通り魔さんは結局何だったの……?」
「「「「え!?」」」」
(この人散々戦った挙句、とんでもない事言い出しましたけど……)
「なぁ……」
「あ? 何?」
今まで黙ってその様子を見ていた藤代が、妙に真剣な顔で口を開いた。
「あべ、ってさ……」
「美月?」
「……変な奴だな」
(司が美月に興味示したって知ったら、ぶっ倒れるだろうな……アイツ)
篠宮はその姿を想像し、この事は自分の胸に仕舞っておこうと誓った。




