反撃
「伏せろおおおお!!!!!」
条件反射で伏せた篠宮の頭上ギリギリを、ビュンと低い音を立てて何かが通る。
(つか今髪の毛少しかすったんですけど!?)
『ウゥ……ッ』
地響きのような低い唸り声が響く。それが屍食鬼のものだと気づくのには、少し時間がかかった。見上げると、化物の振り上げた腕には何かが刺さっていた。
「……木刀ッ!?」
(さっき飛んでいったのは、あれか!? ……もし当たってたら、俺ヤバかったんじゃ?)
そしてもう一体は。
「うおりゃああっっ!!」
(す、素手で投げ飛ばした!!!)
投げ飛ばされた屍食鬼は、地面で一回バウンドすると思い切り背中を打ちつけ、仰向けのまま動かない。
「大丈夫か?」
「大丈夫か、じゃねーよ! あれ当たってたらどうすんだ!」
「だから伏せろって言ったじゃん」
「そういう事言ってんじゃなくて!」
その姿は、こんな血生臭い場所に不釣り合いなセーラー服に眼鏡姿。綺麗に編んだ二本の三つ編みが、風に揺れている。
「み、美月ちゃん!?」
「……まゆ?」
美月は真由の姿を見つけると、目を見開いて。
「……アンタこんな時間に出歩いて何してんのおお!!」
「ギャー! ごめんなさいいいいい!!」
「お前は野々村さんの母親か!」
この状況で、全く噛み合わない事ばかり。あの大久保でさえ、唖然としている。
(ホント、何しに来たんだコイツ……。なんかどっと疲れた)
『マタ、オ前カ……』
腕に木刀の刺さった奴が、その木刀を抜いて放り投げた。
『今日コソ、オ前ヲ食ッテヤル!』
「美月!!」
美月は掴みかかろうとする相手の手をすり抜けて、後ろに回り込み、その背中を軽く押した。怒りに我を忘れ勢いのついていたソイツは、それだけで盛大に前に倒れる。
『貴様……』
肩透かしを食らったような、そんな感覚。
(美月の奴……相手の動きを読んでその上で相手の力を利用するのが抜群に上手い)
しかし今ので完全に頭に血が上ってしまったらしい。さっきまでの攻撃とはまるで違う。
(さっきは不意打ちを狙えたから良かったけど、今素手で立ち向かうのはあまりに不利過ぎる!)
「美月ちゃん!!」
「みづきいいいい!!」




