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闇に恋して  作者: 冴島月ノ助
蠢く影
118/126

苦悩先輩

「失礼します」

「やぁ、小澤。朝日の調子は? 順調?」


 生徒会室に入るなり、九条に問いただされる。


(その質問は聞き飽きた……)


 小澤は眼鏡を押し上げると、あからさまに嫌そうな顔を向けた。


「被験者番号、一五零八です。その名前。呼ぶのやめてもらえませんか?」

「人間界には必要だろ。せっかく彼女が付けてくれたんだし」

「被験者には必要ありません。貴方がそのような考えだから」


 小澤は強い口調で言い切り、そしてまるで溜息をつくみたいに愚痴を零した。


「研究の邪魔なんですよ。放課後になると毎日やって来て、昨日だって……」

「まぁまぁ」


 九条が話を遮り、宥める。しかし小澤の怒りは収まらないようで、ますます口調を強めた。


「これ以上屍食鬼を出したくないでしょう? そのために必要な被験者です」

「君の言う事は正論だ。だけど、面白くない」

「面白いから彼女を研究所に? 貴方の思い付きもいい加減にしてください!」


 語気を荒げる小澤に、九条は肩をすくめた。

 馬の耳に念仏。まるで聞く気がないらしい九条を、軽蔑したように冷たい目で見つめる。


「貴方が何を考えているのか全く分かりません。まぁ分かろうとも思いませんが?」

「だって、いじらしいじゃないか」

「は?」

「僕達のために一生懸命な姿、見てたらさ。賭けてみたくなった。それだけだよ」


(いつかこの呪われた運命さえも蹴散らしてくれるんじゃないか、なんて……ね?)


「貴方がこんな、その場の感情で動く人だと思いませんでしたよ」

「それは僕もだよ」


 九条が自嘲気味に笑うと、小澤は研究資料だけ置いて、呆れたように出て行った。



(さて、朝日をこれからどうするべきか……)


 確かに小澤の言い分も一理ある。しかしこれ以上首を横に振り続ける訳にもいかない。


(あ、それに大久保の事も何とかしなくちゃな)


 思案を繰り返していると、廊下に人の気配がした。


(噂をすれば……)


――コンコン


 生徒会室に控え目なノックが届く。その後に、数センチばかり開くドア。


「九条先輩」

「どうした? 入っといで」

「いや、ここでいいです……」


 少しは生徒会に慣れてはきたものの、未だ頑なに二人きりにはなろうとしない。そんな美月の姿を扉の向こうに感じて、九条はこっそり微笑んだ。


「で、何?」

「朝日の事、やっぱり――」

「そうだ!」

「うわあっ!」


 突然開いた扉に驚き、美月は尻餅をついた。それを気にも留めず、九条は美月の肩を掴んだ。


「朝日を学校に通わせよう!」

「え? ホントですか!?」

「但しそれには二つ条件がある」

「条件……?」

「一つは寮から通う事」

「……仕方ない。分かりました。じゃあもう一つは?」

「それは君だよ。眼鏡さん!」

「へ?」

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