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ステータス

 冒険者ギルドの椅子はかなりしっかりと作られているようで、座ったところでゆれる様子など欠片も見せなかったが、ぞんざいに扱われたのかテーブルはふらふらとゆれている。もし誰かが飛び乗れば一瞬にして壊れてしまうだろう。


 しかしそんな事はさておき。買ったルサルカが代表して付箋の紙に現れろと念じる。瞬く間に浮き上がった文字はびっしりと書かれてあり、少しだけ読みづらい。



+―――――+



名前:ルサルカ

種族:人間

職業:聖天魔導師


VIT : S

MIN : EX


STR : EEE

DEF : CC

INT : EX

REG : EX

DEX : EX

AGI : AAA

LUK : C


固有能力 : 学術A 魔法攻撃力上昇A 魔法攻撃力急上昇A 魔法攻撃力激上昇S 魔法防御力上昇A 魔法防御力急上昇A 魔法防御力激上昇S 知性強化A 速度強化A 魔術才能A 魔法才能S 魔導才能S 魔力S 魔力回復S 攻撃拡散S 攻撃集束S 援護射撃S 詠唱短縮S 詠唱省略S 詠唱破棄S 魔力消費減少S 教育B 料理S

戦闘技能 : 杖術A 錫杖術S 銃術S 魔法弾射撃S 歌魔法S 炎属性S 水属性S 土属性S 風属性S 光属性S 闇属性S 霧属性S 氷属性S 雷属性S 木属性S  回復魔法S 魔力転換S 精神集中S 騎乗C 陣地作成D

称号   : 《吹雪の女王》《裏切りの魔女》《原初の魔導師》《女教皇》《氷結龍の息吹》etc...



+―――――+



 VITはバイタル、つまり体力の事で、VITが無くなればゲームオーバーとなり、強制的に蘇生ポイントへと転送される。ゲームではかなり重要視されていた数値だが、現実なった今ではあまり役に立たない。しかしながら、毒など時間に比例して体力が無くなっていく状態ではVITが消える事は死ぬ事となるので、完全に役に立たないかと言えば意外とそうでもない。


 MINはマインド、つまり精神力の事で、ゲームでよくあるMP,SP,TPなどと同じであり、剣技も魔法もMINを消費してスキルを使っていく。これはすべて使い切っても全身の力が抜けるだけで、命に直接関わる事はない。MINは微々たる物だが継続的に回復するので、全身の力が抜けると言っても極短時間で済む。


 STRはストレングス、つまり腕力の事で、装備できる重量のほか武器や拳など物理的な攻撃力に直結し、ストレングスが高いほど相手により大きなダメージを与えることが可能になる。


 DEFはディフェンス、つまり防御力のことで、自身が持ち運べる重量のほか物理的攻撃に対する耐性に繋がっており、ディフェンスが高いほど相手から受けるダメージを少なく出来る。


 INTはインテリジェンス、つまり知性のことで、インテリジェンスが高くなれば魔法で与えるダメージを増やす事が出来る。


 REGはレジスト、つまり抵抗のことで、魔法で受けるダメージを軽減できる。しかしたまにMINを減らしてくるので、上げるのに注意が必要なステータス。


 DEXはデクストロス、つまり器用さのことで、弓や銃、魔法など相手から距離をとってダメージを与える場合の命中率を意味する。近接戦闘に関しては命中率補正はあまりないが、急所を狙う事も視野に入れている人は確実に上げる。他にもなにか物を作る時の成功率につながるので、熟練したプレイヤーならば絶対に上げている必須ステータス。


 AGIはアジリティ、つまり敏捷性のことで、フィールドの移動速度を数値化したようなもの。動きが早くなれば当然相手の攻撃を避けやすくなり、同時に時間内に相手を攻撃できる回数も増えるから、近接戦闘を考えている人は上げている。しかし魔法の詠唱速度はアジリティでは短く出来ないので、魔法職があげる事は少ない。


 LUCはラック、つまり幸運だ。LUCは状態異常率を現し、状態異常を付与できるスキルや武器を使って相手に状態異常を与えたり、自分が状態異常になりにくさを現している。


 普通に考えればスキルの数がおかしい。もしコレをEKOプレイヤーに見せれば誰でも絶句する。しかしながら≪大雪原に住まう氷結龍(グングニル)≫のメンバーでは普通のことなので、誰も何も疑ってはいない。ついでに言えば、彼らの知り合いも殆どが上級プレイヤーなのでスキル保有数はそれなりに多い。

 だから六人で考え込んだのはステータスの表示とスキルの表示だ。


 EKOのステータスウィンドウには普通にアラビア数字が使われているのだが、このステータスには英語が使われている。元はどれほど信憑性と正確性のあるステータスが表示されるのか確認するためだったのだが、予想外なところで躓いてしまった。


「とりあえずAの半分以上はコンプリートしたスキルだよ。残りもコンプリートに近いスキルばかりみたい」

「……という事はBはまだコンプリートまで遠いという評価か。ならばCは半分前後とした方がいいだろう」


 順番的にもCは半分だからと続けたイサムの言葉に対して、ルサルカは首を横に振った。


「それがそうでもないみたい。騎乗は折り返し地点に近いけどCだから、たぶん折り返し地点を越えて、ようやくBなんだと思う」

「なら二割がC、残り三割をD,E,Fで分けてるのか?」

「なるほど。それが割と妥当なのです」


 アカリのほぼ直感的な言葉に対してルカは割と真剣に同意した。言った本人としても信じられないので、ルサルカ達などは余計にルカの言葉を信じられなく感じただろう。


「ま、それは追々話すなのです。それよりスキルをどの程度使うか考えるなのです」

「あ~、そうやな。ゲームやとNPCはスキルの理解度がないし、なるべく人前で使わんスキルを決めて置いた方がええなぁ」

「……ふむ、たしかに一般人にスキルの存在の有無は分かりづらいだろう。それに俺達は廃人プレイヤーだ。スキルに頼りすぎている面もあるな」


 自分達が異常だという自覚は無いながらも、プレイヤー達が異端だという意識は持っていたようで、話は次第にスキルをなるべく使わないようにしていく方針へと変わっていく。


「……ルカ、周囲の人間のステータスは分かるか?」

「ちょっと待ってくださいなのです」


 イサムの問いにそう言って目を閉じた。

 ルカはクノイチをロールプレイしているから斥候を職業に出来るほどそちらの方面のスキルは充実している。スキルのレベルも高いので近くにいる相手のステータスを見るなど簡単だろう。


「…………出来るなのですよ」

「……ならば周囲にいる人間のステータスを教えてくれ」

「ならあの人とあの人、後あの人でいいなのです?」


 そういってルカは強そうな人間三人のステータスを口にした。もっとも、ルサルカのステータスとは比較し辛いので英語表記になった。



+―――――+



種族:ヒューマン

職業:拳闘士


VIT : FFF

MIN : FF


STR : E

DEF : FF

INT : FF

REG : F

DEX : FFF

AGI : FF

LUK : EEE


固有能力 :

戦闘技能 : 格闘術F

称号   :



種族:ヒューマン

職業:魔術師


VIT : FF

MIN : E


STR : F

DEF : F

INT : E

REG : FFF

DEX : FF

AGI : F

LUK : DD


固有能力 : 魔術才能F

戦闘技能 : 水属性F

称号   :



種族:ワードッグ

職業:獣戦士


VIT : EE

MIN : F


STR : EE

DEF : FF

INT : F

REG : F

DEX : F

AGI : EE

LUK : D


固有能力 : 獣化C 気合D 猛勇F

戦闘技能 : 拳闘術D

称号   : 《戦士》



+―――――+



 ルカの解析結果を聞き、イサムはかなり深刻そうに苦く表情をゆがめて俯く。そんな表情にカケルは聞き出したいという気持ちを抑えられなかった。


「イサム、どうしたんだ?」

「……いや、俺の予想を下回っていたと言うか、ある意味上回っていたとか」


 普段のイサムからすればとても煮え切らない態度。寒気がするほど嫌な予感を感じながら、ルサルカがはっきりさせるように叱る。


「言いたい事ははっきり言って」

「……俺達はなんとしてもステータスを隠さなければならない。あそこのワードッグはそれなりの実力者のようだが、平均がその程度ならば俺達のステータスは異常と言う言葉すら生温くなっている」

「あ~、そういうことかぁ」


 異常と言うのは得てして有名になりすぎる場合が多い。地球の歴史を紐解いても、ダ・ヴィンチやガリレオ、ナポレオン、マリアなど天才は世界中に名を知らしめるほどの存在となった。


 有名すぎるのはメリットも大きいが、同時にデメリットも大きい。

 もし今アカリ達が有名になれば、アカリ達が漏らす甘い蜜を吸い尽くそうと人間(ハイエナ)が群がってくる。ゲームの世界と言う安全領域がまだ残っていたとしても、1000年後の変化はまだアカリ達はまだ対応できてない。もし悪意を持った人間がアカリ達を誑かそうとすれば、簡単に出来てしまう。


「それで、今後どうするの?」

「……とりあえず情報収集だ。カケルとサナ、アカリとルカで依頼を受け続けてくれ。ルサルカは悪いがカケルの家の手伝いだ。俺は街を駆け回って最低限の常識と言うものを学んでくる」

「あいよ。なんか注文はあるか?」

「……特に無いな」


 カケルの最後の質問に対する答えを聞き、全員が椅子から立ち上がった。


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