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第8話 学年末試験の飛躍と、短くなる影

学年末試験の結果が返ってきた。


少年は答案を見た瞬間、息を呑んだ。


「……えっ……平均……超えてる……?」


その声は震えていた。

信じられない、というより、信じたいけど怖い——そんな震え。


「しかも……上位三割……?」


少年の手が震え、答案がカサリと音を立てた。


(やったな……! 本当にやったんだな……!)


筆箱の中で、文房具たちがざわついた。


赤鉛筆さんが目を細める。


「すごいじゃない。あの子、本当にここまで来たのね……」


消しゴム先輩がぼそっと言う。


「……間違い、ほとんどなかったぞ。

 俺の出番、めっちゃ減ってたしな」


シャーペン後輩は震えながら叫んだ。


「す、すごいです先輩!

 あの子、本当に伸びてます……!

 僕、感動してます……!」


(ああ……俺もだよ)


少年は答案を胸に抱きしめた。


「……僕……できたんだ……!僕でも……できるんだ……!」


その涙は、悔しさではなく、努力が報われた者だけが流せる涙だった。


(よかった……本当に……よかった……)


だが、その瞬間——少年がふと俺を見つめた。


「……あれ?君……また短くなってない……?」


(……あ)


気づけば、俺はもう、少年の手の中にすっぽり隠れるほど短くなっていた。

夏休みの修行、模試、そして学年末試験。

毎日毎日、紙に向かい続けた結果だ。


(……そうか。俺の寿命……もう、そんなに長くないのか)


少年は俺をそっと握りしめた。


「……ごめんね。いっぱい使っちゃって……」


(謝るなよ……バカ野郎)


俺は芯を震わせた。


(お前がここまで来たのは……お前が頑張ったからだ。

 俺はただ……その横にいただけだ)


赤鉛筆さんが静かに言う。


「あなた……いい顔してるわよ。短くなっても、誇りに満ちてる」


消しゴム先輩がぼそっとつぶやく。


「……寿命なんて気にすんな。

 お前はまだ書ける。まだ戦える」


シャーペン後輩が震えながら言う。


「せ、先輩……!僕……いつか絶対、先輩みたいに……!」


(ああ……頼むぞ。お前がいつか、この子を支えてやれ)


少年は深呼吸をして、ノートを開いた。


「……次は……もっと上を目指す。僕、もっと頑張るよ……!」


その言葉に、俺の芯が熱くなった。


(行こうぜ。俺はまだ折れねぇ。

 お前が前に進む限り、俺は何度でも書いてやる)


短くなった体で、俺は再び紙に向かった。


――寿命なんて関係ない。

――この子の未来が伸びていくなら、俺は何度でも削られてやる。

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