4.亡いナイ……
「突然ですが、貴方は人を殺したい───なんて、思った事はありませんか?」
会社の人間─────
マウントをとる友人───
世間体を気にする毒親───
鬱憤を他人に八つ当たりする事でしか発散できない他人……───人それぞれですよね~
「私は、脳内で…───嫌いな人物を何度も金属バットで殴り殺しました」
意外とそれで、不思議とストレスは発散できるもんなんです。
「あっははは~……今、"ヤバい奴"なんて思いました?。まあ、それが普通ですよね~」
この間"脳内"で、嫌いな後輩を"海"に突き落としてみたんです!。これがまた爽快で、たまらなかったなぁ~笑
後輩の彼氏なんか、涙目なんですよ~笑 ウケる~笑
「だから、後輩の彼氏も───海に突き飛ばしました笑」
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
「は………────あ…あ……いやああああッ!!!!!」
室内────脳内────に、笑い声が木霊する。
部屋は何故か濡れていて、鏡が割れて破片が飛び散っていた。その飛び散った破片には水滴と血痕……
そこに映るのは、もう一人の自分─────『水人間』だ────
『Hello、透子~♪ 御機嫌はいかが?』
水滴が膨らみ───そこから透明な手が現れた。
「い……いや……だ……」
『やだ?────アンタ何言ってんの?』
透明な手は、一人の人間へと姿を変えた。
『あんたが毎日…脳内で殺ってた事が、引き寄せられたんだよ?。喜ばしい事じゃない。鏡に向かって、いつも話してくれてたよね?───あんたが可哀想だって思って……私──"現実"にしてあげたんだよ?』
『自分』だった────壊れてしまった、雨宮 透子だ。
「ッ……」
私は、いつから手首に……───首に傷があったんだろうか。
どうして自分の部屋は、こんなに荒れていて、鏡の破片が飛び散っているのか
『透子はね、毎日頑張ってたんだよ?───だから、分かるでしょ?……こんな事しても許されるくらい、頑張って……耐えたんだよ?』
「…ねぇ、警察行こう────」
『は?───』
「私……普通じゃないよ───」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛─────』
『水人間』に首を力強く絞められた。
「ッ…──────ッ」
何故か、溺れているような────そんな苦しみが全身に広がる。