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08

誰もが諦めかけたその時、ファンファーレが鳴り響いた!

ってナレーションでも入んねぇかな。


さて、スキルレベルが上がって手に入ったスキルがこちら。



――――

≪深呼吸≫

アクティブスキル(行動発動)

無職(ノービス)が習得できるスキル

深呼吸をするとスタミナの回復量が少し上がる。

――――



初のアクティブスキル、行動発動って事は特にスキルを意識して使うって感じじゃないのか?

と思ってとりあえず深く深呼吸。吸ってー、吐いてー……。


(元気になった?ような?落ち着いた、ような?)


いやぁ、実感ないなぁ、微量なんだろうかこれ。


多分結構使えるスキルなんだろうけど、このゲームではスタミナゲージが無いから効果の実感を得づらいのが問題か。

あとどのスキルも上昇量が少し、と記載されているから、そこまでの差でも無いのかな。

気が向いたら使ってみる事にしよう、あとはさっきのデカウサギみたいに逃げ終わった直後とかに改めて試してみるか。


更に朗報として、スキルレベルが今のでマックスになった。レベル5でマックスかー、無職にはスキルの伸び代なんて無いんだろうか、調整されるゲームだしラノベでたまにある、無職無双みたいなのがあっても面白いと思うんだが。


とにかく、これで大手を振って転職に向かえる。

丁度街道も近いし、このまま坂を登っていく事にする。


いつの間にかこの辺にもプレイヤーが増えてきたな、広々とした草原には結構な数のプレイヤーが目に付くようになってきていた。

下っていくプレイヤー達を横目に坂を歩いていると、プレイヤー達の会話が耳に届いてくる。


盗み聞きじゃないよ、拙者(おれ)はこれから忍者になるからこれくらい良いんで御座るよニンニン。


ふむ、チュートリアルまでの経路が不親切だとか、ステータスが情報少なすぎるとかの愚痴の他に、逆にこんくらいが面白いんだよとか、調べるのおもろいじゃんとか、プレイヤー同士の交流を行わせる為だろ、みたいなプレイヤーも居て現状は賛否って感じか。

後は早く魔術師(マジシャン)になるだの、レベル上げてすぐに剣士(ソードマン)になったら補正がどうのといった感じ。

他には結構年配のプレイヤーなんだろうか、観光してるみたいで良い、みたいなこと言ってる人も居るな。


ん?公式掲示板?へぇ、そういうのもあるのか、昼飯時にちょっと覗いてみるかな。



街道まで戻ってきて、色んな人が居て面白いなぁ、などと思っていると正面から一際目立つ個性的なソロプレイヤーが歩いてきた。


目立つといっても見た目は別に派手じゃない、同じ色の初期装備を着ているし、腰には木刀を指してる。

今日一緒に始めてるんだからそんなに見た目で差なんか付くわけないよな。でも元々が凄いんだろう、これ。


一言でいえば、スキンヘッドのやたらデカいボディビルダー。

初期装備の筈の着物がはち切れんばかりの胸筋と、本当にボールが乗ってるかのような上腕二頭筋。お前着物の袖引きちぎったのかよ、胴着みたいになってんじゃん。腕が太すぎて腰に差してる木刀が子供用みたいになってんじゃん。

修練場に居た師範(角刈り眉毛)も存在感凄かったが、もうこっちは存在感が歩いてるみたいになってるわ。上半身だけで小学生三人分くらいありそうだわ。

触れたらヤバい雰囲気がぷんぷんしたので、目を合わせないようにモブ顔でやり過ごすしかねぇ!

そう、現代忍法【モブ変化の術】だ、今の俺は案山子。通行人。背景と化したモブです!顔はへのへのもへじでヨロシクゥ!


ボディビルダーの人はこちらをチラ見してからにこやかに会釈して坂を下って行った。


いや、登山客じゃないんだからさ……。良い人なのは凄い伝わったけど……。





えっさほいさとインロンの街まで戻ってきた、転職と行く前に一回ログアウトして昼飯にするか。

ついでに公式掲示板とやらをチラ見してこよう。


ログアウトについてはパッケージに記載されていた、宿屋で出来るらしい。一応オシリスⅡの端末側にもタイマー機能で途中でゲームの終了を促す機能が搭載されてるらしい。流石に親切な事だ。

ゲーム側のARウィンドウから出来ないのか、とも思ったが、ゲーム内のフローについては出来るだけゲームっぽい要素を削りたいのかもしれんな。フィールドへの移動も全部歩かされるし。チュートリアルも最低限だし。そういうもんだと諦めるしかなさそうだ。


ところで宿屋ってどこだろうか。


真っ直ぐ歩いて行って四つ辻の兵士に聞いてみるも、同じセリフを繰り返すだけだったので、仕方ないから街の中を回ってみることにした。

修練場(ひだり)の方向と神宮(しょうめん)の方向には行ったから、右手の方だな、装備を売ってるとかなんとか。あぁまだ兵士が同じセリフを繰り返してる。

折角だしインベントリに束になっている羽毛を売って何か買えれば良いんだが。



瓦屋根の街並みの中に着物のマークの店があったので入ってみる。RPGで言うなら防具屋を和風にした感じ、店頭に着物や帯が吊ってあったから多分服屋だろ。


「買取かナ!?アイテムをこの箱に出しなヨ!!この中にある内容ならこの値段で買い取るゾ!」


――

小白兎(ホワイトラビ)の毛 x 55

合計:275 シルバー

――


三白眼に八重歯の店員さんに言われるがままに取り出された箱の中にアイテムを入れると価格を提示してくれた。

キャラ感の癖が強い語尾だけどセリフパターンが多ければ人気出そうかも、とか思いつつお金を受け取ってインベントリに入れる。羽毛は一つで5シルバーといったところ、シルバーは原作でも使われてた単位なのでスッと入ってくるな。店内にある防具は安いので60シルバーから800シルバーと大分幅があるな。

ところで宿屋の場所は教えてくれないんだろうか。



他のプレイヤーが居なかったので、一頻り色んなワードで宿屋の情報を聞き出そうとしたが、買取かナ!?とか武器はどれが良いかナ!?とかで7種類くらいの定型文しか話してくれなかった。

唯一レアっぽい情報は

「ボクの名前が気になるのかナ?フェイリスだヨ!ヨロシクだネ!」

だ。正直名前よりも語尾の方が気になるし、名前じゃなくて宿屋の場所が知りたいんだが、そっちはとんと教えてくれなかった。


しかし、灯台下暗しとでも言うんだろうか、防具屋に入る時には全く気付かなかったが店を出た正面に宿屋があった。

向かいじゃねーかよぉ、教えてくれよぉ……。



店舗に入るとほっかむりを被ったおばあさんがカウンター?というか番台?みたいなところに座っており、こちらを一目見るなり鍵をカウンターから出してくれた。

宿屋といっても一応ゲーム内、夜にはなるらしいがゲーム内で眠ることなどほぼ無いからなぁ。

ちなみにゲーム内で眠ると強制的に操作不能状態と判断されて十数分でログアウトされるのだとか、その場合のリスポーン地点などは事前動画では告知されて無かったが、まぁあんまり関係あるまい。


鍵を受け取るとおばあさんが店の奥を指さした。正面開いている襖扉の奥、板張りの部屋には大きな木製の扉、キャラメイクの時に潜ったものと同じ装飾が施されている。この辺の雰囲気は良いなぁ。


扉の前で鍵穴を探して鍵を手に持つと、眼前が光り輝いた。

※現代忍法【モブ変化の術】

主に酔っ払いが暴れている電車内などで活用される。

俺は関わりたくねぇ、というオーラを全身から放ちながら周りの人に溶け込む術。森の中の街道で利用しても効果は薄い。


※フェイリス

陰崙の防具屋【萌黄亭】の店主兼看板娘

今後の登場予定は未定。

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