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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
三章 俺の異世界転生は学園ラブコメもあるらしい
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神さんと悪ふざけ


現在。


この昭和の香り溢れる狭い空間には、正座をしたスーツ姿の俺と、こちらもピチッとしたビジネススーツに身を固めた神さん(自称神様、恐らく無職故に絶賛就活中)がちゃぶ台を挟むようにして座していた。


…うん。わかっている。

どう考えてもおかしい。


いや。

そもそもこの状況が何故こうなっているのかと誰かに尋ねられても、きっと何1つわからないと困ってしまうだけの俺なのである。


まあ、いい。

もはやそれを考えるのもめんどくさい。


そんなふうに思考放棄した俺は、とりあえず目の前の仕事をしなくてはと、神さんが差し出してきた履歴書の束に目を通してみることにした。


なになに、名前は『神綾』

ふむ。

字は意外と綺麗なもんじゃないか。

もしかしたらこんなとこくらいしか褒めるところはない可能性もあるだろうから、まずは関心しておくことにする。


さてさて、年齢は『レディに何てこと聞いてんじゃボケ』と。

ふむふむ。相変わらずアホだな。


住所は『あのへん』

いやどこなのでしょうか。

そこは素直に教えなさい。

世渡り下手すぎるぞと注意しなくてはと使命感に駆られる。


職歴は…おお、株式会社明知とは。

俺でも知ってるレベルの王手老舗製菓メーカーではないか。


なになに。ここを3ヶ月で退職したと。

理由としては『わしの偉大で貴重な人材価値を見抜くことのできない、すっとこどっこいな会社だった為』と。

ご丁寧に理由まで添えている所をみると、神さんにしたら相当悔しかったのだろうに違いない。


それから先は、果てしない職歴変更の事実がひたすらに綴られたレシートのような代物と化していたのだった。


しかし、その中でも特徴的な点がある。

就職の数を重ねるに連れて、日に日に勤めている時間が短くなっている。

1ヶ月から半月、一週間、3日、1日、8時間……。


これはいけない。

もはやこうなってしまっては、普通の社会生活に適応していくことは不可能であると踏んで良い。

で、あるならば……。


ここまでで大体の事情を察した俺は、早速と面接ならぬ神様との対峙を始めることにした。


「…この度はお忙しい中、弊社に足をお運び頂きありがとうございます。

厳密に言うと貴女の家であるという事実がありますが、もはやそんなことには目を背け、無視するスタイルで行きたいと思います」


「はっ!軍曹どの!了解であります」


「そのお言葉遣いはやっぱり就職舐めてんのかということで、どうか今日のところはお帰り頂けますか?」


「…何卒もう一度だけチャンスを頂きたく…」


「わかりました。では限られた時間ですので、有効に使っていきましょう。


それでは早速ですが、今回のご相談というのはおそらく、貴女の言葉に置き換えると、


『わしにぴったりの仕事とは何か』


ということではないのかと私なりに考察していますが、実際のところどうでしょう。

こちらでお間違えありませんか?」


「……お、お主はエスパーかなにかなのか……?

時の流れが視えるなにかなのか……まて。それではもはや神を超えておるのでは…」


「はい、そんなガタガタと震えなくても、それくらいは容易に想像がつきますのでご安心下さい。


では、簡潔に貴女に向いているであろう職業をお伝えしたいと思いますが、心の準備は?」 


「まかせておけ。これだけ次々と会社を経験してきた結果、もはやわしにはなにも怖いものなどない」


「決してそんなに誇らしく言うことではないぞとだけ言っておきましょうか。


さて、では貴女に向いているであろう職業は…」



「……ゴクリ」


神さんは、俺の言葉を息を呑んで待つようにして、正座している身体を前に乗り出している。


俺はそんな神さんをたっぷりと惹きつけるようにして、ゆっくりと口を開いた。


「『v』です」


「ぶ、ぶい……?」


神さんの表情には疑問符が沢山と浮かんでいるのがわかる。

そんな神さんに向かって俺は、お気に入りの黒縁眼鏡をくいと持ち上げるようにして答えた。


「ええ。『vチョーバー』貴女に残されたチャンスは、おそらくこれしかありません」


「そ、そのチョークスリーパーというのはいったい…」


「はい違います。それだとただの裸絞となってしまいます。訂正させてください。


『vチョーバー』

それは、電子の妖精。…そう。いわば電子世界の『神』的存在といっても過言ではありません」


案の定、神さんは俺の『神』という言葉に反応を見せるようにして、ピクリと身体を震わせていた。


「……なんじゃと?お主、今なんと申した?」


「ですから、『神』と」


「…ほう。わしという絶対的な『神』を差し置いて、その名を語る存在だというのか?」


「ええ。もはや世間を席巻しているという意味では、貴方様よりも身近な『神』と呼べるのかもしれません」


「くくくっ…私がもはやそれに成り代わろうというのか……おもしろい……おもしろいではないかっ……くくくっ……」


神さんは何故かは知らないが肩を揺らしながら怪しく微笑んでいる。


そんな神さんに視線を向けながら俺は、密かに趣味として勝手に愉しんでいた、『対世間様ぶっ壊しv誕生計画』という謎プログラムを、神さんに託そうと頭に思い浮かべていたのだった。


うん。これは愉しくなりそうだぞ。

オラわくわくすっぞ。


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