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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
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ハイネ


私の『生』の目的の一つに、『感情』についての考察というものがある。


私がこれまで得た多くの経験を踏まえると、『感情』には、大きく分類して「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「驚き」、「恐れ」、「嫌悪」の6種類が存在すると終着した。


勿論、感情というものはそう単純なものではない。

よってそこからさらに細かく分類していくと、この感情というものはさらに多岐に渡っていくこととなる。


ちなみにその中でも私が特に気に入っている感情も多数存在している。

それらを目の前にした時に私は、大いに気持ちを昂ぶらせてしまい、快楽の海に呑まれ、性欲を唆らせてしまう。


それはもう。

狂おしく、愛おしい程に、甘く甘く。


……。


それについては話が脱線してしまう為、ここでは一度置いておくことにする。


さて。


ではこのあらゆる感情は、生あるもの、脳あるもの全て当て嵌まるものかと言われれば、それには疑問が残る。

何故なら、その脳力にはどうしても個体差が生まれてしまうからである。


人間や天使、あるいは魔族、竜族など知性に秀でている者たちには、意識下でそれを行える脳力が備わっていると言えるだろう。


しかし、逆を言うと単細胞生物や無脳な人間などには、それを無意識下で行っていたとしても、その感情を意識できる程の脳力を要しているとは言えない。


よって私の考察は、必然的にある程度の知性を要している者たちに絞られることとなった。


中でもやはり数が多く、御し易い存在が『人間』である。


私はその意味で、『人間』をとても愛おしく思っている。

彼らはいつも私に感情の変化といった様々な情報や、それに伴う快楽を提供してくれる。


単純な興味から『人間』の生命や身体について探求していくことも面白い。


もはや、彼らの身体や心の傷を治すといった行為にさえ、私の好奇心は大いに働いてしまっている。


また他にも、『人間』にはこれだけ観察を重ねても未だ理解の及ばないことが多いことも、私の知的欲求を刺激し続ける大きな要因の一つであるのだろう。



まあ要するに私はきっと、


『人間』のすべてを識りたいのだ。



ーー



休むことなく走らせていた筆を置き、書斎に向かっていた身体を大きく伸ばす。

少々集中しすぎていたのかもしれない。


固まってしまっていた身体が、徐々に軋むように、微かな音とともに解れていく。


「……ふむ。ここまでとしておきましょうか」


私はいつの間にか手放せなくなっていた眼鏡を机の上にそっと置き、暫く負担を強いた両眼をそっと労るように、目頭を揉みほぐす。



………あの時。


私は死を覚悟していた。


たしかにあの場に『大天使』という存在が現れたことも一理ある。


あの御方が力を行使するような事態に陥れば、私は消滅間近くらいには追い込まれていたのかもしれない。


まあそれも、私が『制限』を持った状態であれば、という前提は存在してはいるのだが。


……しかし。


そもそもそれ以前の話で、私は確かに命を握られていたのだ。


あの娘。

あれは一体、何者であるというのか。


そもそも存在が矛盾している。

あの『力』は、この世界ではありえてはならないものだ。


私などあの娘に言わせたら、ただの道端の石転を蹴り飛ばすほどの労力で、軽々と消滅させることが出来たのだろう。

それほどに実力差が次元の違うものであったのは間違いない。


そして恐らく、あの場にいた私以外の者でも、あの娘の異常さに気づけたものはいたのだろう。


……ああ、なんて面白い。

私のような圧倒的強者である筈のものでも、こんなにもくだらない存在、言うなれば命を容易く操作されてしまうような弱者に陥ってしまうという事実が、酷く滑稽で面白い。


……ああ、そして。

こんなことを考えるだけで、やはり私の身体は興奮に包まれて、ゾクゾクと震えてしまう。


なんという興奮。

私は火照ってしまっている自分自身や、愉悦に浸った甘美な表情を浮かべている自分自身も自覚する。

そうして、ゆっくりと息を吐き出す。


今すぐに性欲で制御の効かなくなった、この昂ぶる身体の熱りを発散したくなってしまう。

ああ、子宮が疼いて仕方がない。


……これだから。

そうこれだから。


私はきっと、これからも生を謳歌することを辞められないのだろう。


ふふ。

またいつか、良いご縁がありますように。

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