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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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ソラ


あれだけ騒がしかった宿り木亭には現在、先程までがまるで夢の中の出来事だったように、静まり返った静寂が訪れている。 



「……………」



先程までの気持ちの昂りを少し残したまま、自室で一人、布団に身体を横たえる。


何気なく見上げた天井には、いつもとなに一つ変わらない、粗い木目が嫌でも目につく素っ気無い景色があった。




……俺の発案で急遽開催することとなった祝勝会は、無事閉幕を迎えることができた。


では、俺は何故こんなことを突然したくなったのだろうと考えてみる。


それは、あれだけの騒動を乗り越えたわけだから、単に皆と馬鹿騒ぎがしたかったというのが本音のところであるのだろう。


しかし、それとは別に。


自分の中で区切りをつけなくてはならないという、自己勝手な思いが根底にあったことも、同時に事実であった。


今回の一連の騒動において、俺が果たした役割は重大なものだ。


ラルのお母さんが攫われたことを知った俺は、ラルの気持ちも含めて、それをなんとかしたいといった独善的な判断を下し、結果的にミラやリサを死地に誘った。


さらに、俺自身はそのどの戦いにおいても役に立たず、とんだ無能だったというおまけ付きである。


しかし、もしかしたら人は、それを仕方がない事だったと言うのかもしれない。

俺の気持ちは善から来ているものであり、それは決して間違っていなかったと。


………吐き気がする。

そんなものは、俺の中で納得することなどできるはずがない。


そもそも今回のことにおいて、全てはたまたま結果が良かっただけのことだ。


事実、話を聞けばミラとリサは戦いで、命を落としかねないところまで追い込まれていたという。

そして同様に俺とラルも、一歩間違えばすぐに命を落としていた状況だったわけだ。


自分がもっと強く在れたら、それこそもっと楽に困難を乗り越えることも出来た。


しかし、現在のところ自分には、どんなにミラに教えを請いたところで、魔法のまの字も才能のない落ちこぼれであることに変わりがない。

そして、それが嘘であってほしいと信じて、ひたすらに努力も重ねている。


俺が知っている物語の主人公達は、それでも隠された能力かなんかがあって、その場を乗り切って行くのだろう。


だがきっと、俺みたいなやつの現実は、決してそんな都合の良いものではないに違いない。


……分かっている。

そんなうじうじした自分を、サッサと切り替えなくてはならないことも分かっている。


人間というのは何処かで区切りをつけるということも重要だ。


よって、今回の祝勝会の名目でやったことといえば、自分勝手に吹っ切れるよう、皆を無理やりと付き合わせてしまったということなのだ。


これではいけない。


俺はここにいる皆が本当に大好きだ。

そしてもっと、もっと、皆と一緒にいるために、これからも努力を惜しまないことを誓おう。


………ふぅ。

ここらでいい加減、やめておくことにする。


俺という人間が、見せかけだけのネガティブ人間だってのは、向こうで30年以上生きてきて身に沁みている。

なんの得にならないことまで了承済みである。


さて。

そんなことより。


俺にはやらなきゃいけない、大事な用があるんだった。


こんな湿気たツラ見せないくらいには、空元気でも出して行ってくるとするかね。

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