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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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それぞれの戦い


時間は遡り、ちょうどサラ達が地下を攻略し始めた頃合いの刻。

ソラとラルは、サラ達とは違うもう一つの戦いに臨もうとしていた。


〜~


「なあ、ソラ兄ちゃん。今回は前みたいに作戦とかあんのか?」


「いや、すまん。今回に限っては全くのノープランだ。つまり考え無しってやつな」


「ふん、むしろ上等だぜ。じゃあ俺から仕掛けていいか?」


「ああ。お前のありったけでぶちかましてこい」


「へへっ、修行の成果を見せてくるぜ」


二人は短く言葉を交わし、ラルが男の前に一人身を乗り出す。その姿を前にした男は、意外といった表情を浮かべている。


「…あぁ?忠告してやったっつーのに、テメエ一人でくるってか?どうやら早死にしてぇらしいな」


「ヘっ、そっちこそ舐めてっと痛い目見るぜ?」


ラルはそう口にすると、自らの身体にスイッチを入れるかのように、腰を深く落とし構えた。


「……っはああぁああああああ!!」


十二分に気合いの入った掛け声と共に、猛烈な風がラルの身体の廻りを吹き荒れ始める。

ラルはその風をまるで全て支配するかのように、身体に纏いだした。


「だあぁあああああああ!!!」


ラルは風の加護を得たことで生まれた、爆発的な加速スピードで一気に飛び出だしたことで、男との距離を一気に縮めていく。

そうやって猛烈なスピードから繰り出されたラルの右拳が、男の右頬に炸裂した。


「はああぁああああ!!」


ラルの猛攻はそれだけで止まることを知らない。

凄まじい速度の拳や蹴りが、次々と男に襲いかかっていく。


「これで、終わりだああぁああ!!」


トドメとばかりにラルは、自分の身体を軸にし、風の力を遠心力として利用した、恐ろしい疾さを誇る回し蹴りを放った。

それは、絶対不可避の攻撃となり、男を薙ぎ倒す。

確かにその筈だった。


「…ほう。ガキにしてはなかなかじゃねーか。手を使う予定はなかったんだがな」


「っ!?」


「ほらよっ、返すぜ!!」


ラルの渾身の回し蹴りは、男の手によって安々と塞がれてしまい、逆に足首を取られてしまう格好になる。結果、ラルはその剛腕によって軽々と放り投げられてしまった。


「うおおぉおおっ!?」


ソラは放り投げられたラルを、かろうじて受け止める。

しかし、やはりその勢いを全て殺すことは出来ず、二人揃って後ろに弾き飛ばされてしまった。


「…つうぅ……。すまねぇ…ソラ兄ちゃん」


「…い、いいってことよ。それより、まだまだこれからだってとこ、見せなきゃな?」


「ああ…まだまだこれからだぜ」


二人は改めて視線を交わし、立ち上がる。

二人の瞳には、未だ諦めることを知らない闘志の火が宿っていた。


「…クックック。そうでなきゃ面白くねぇ」


男はそんな二人をまるで歓迎するかのように、嬉しそうに笑うのだった。

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