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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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変貌



あそこにいる女は、一体誰だ?



「はぁはぁ…ううっ…うぅう……ふ…ふふふっ……あは、あははははは!…はぁ…はぁ…ぅうん……。

んっ…んんっ…くっ、あはっ、あははは!ははぁ……」


その女は、まるで矯声を上げるように、愉しそうに嗤っていた。


顔を紅潮させながら、息も絶え絶えに身体を拗らせる様子は、まるで性行為中の快楽に溺れる娼婦のように見える。


いや、頭では分かっている。

しかし、理解はできるが納得が出来ない。


あれは確かにサラの筈だ。

だがその姿は、先程までの彼女とは大きく変質している。


紺碧だった長髪の髪色は、降り注ぐ雪のようにまっさらな白に変わっていた。

また眼鏡を外したその姿は、以前のサラとはもはや別人のような印象に写る。


俺はそんな彼女から後退し、大きく距離を取るようにして、身体をガクガクと震わせていた。


「クソッタレ…ど、どどどうなってんだっつーの……へっ、ヘックショイ!!ゔ〜〜……ざびぃ……」


立ち尽くしているだけで、自然と身体中の熱が根こそぎ奪われていく感覚がある。

裸で極寒の地に降り立つという比喩ですら、生温い程に思えた。


現在この部屋は、サラの変貌と共に突然吹き荒れ始めた猛烈な吹雪により、部屋一体が豪雪地帯のように変わり果ててしまった。


ミラが咄嗟に俺を連れ立ち、外界を遮る防御壁のようなものを展開してくれなかったら、きっと今頃俺は氷の彫刻と化していたことだろう。


…それにしても。

あの時、サラの口から思わず零れ出た、あの台詞。


『私のことは忘れて構いません』


あの言葉の本当の意味とは、まさか…。

そうやって、悪い想像ばかりが頭によぎってしまっていた。


「なあミラ。サラの奴、本当に大丈夫なのかよ?」


「……」


ミラは顔の表情を変えることなく、頷くこともない。


とにかく、確かなことが一つある。

この状況では俺たちがここから動くことなど、到底無理であるということだ。


俺は無力な自分に歯痒さを覚えながら、奥歯を強く噛み締める。


「サラ…頼んだぜ」


ーー


「素晴らしい…」


白衣を着た男は、心からの感嘆を漏らすかのように、癖になっている眼鏡を直す仕草をみせる。


「……」


隣には、半人半獣の生物が顔色も変えず静かに佇む。

こちらもこの状況に特に反応を見せることもない。


「ぁあん、ようやく少しは涼しくなったわぁ。

私ってぇ、暑苦しいのとか堅苦しいのは大嫌いなの。


あっ、でもでも〜。不思議と男の場合は、そっちの方が美味しい時もあるのよねぇ。ふふっ」


吹き荒れる吹雪の中、サラは艷やかな微笑を浮かべながら、ゆっくりと近づいていく。


その姿は、騎士の正装である制服を大きく着崩してしまうことで、胸元が露出し、白くしなやかな肢体も大部分露わになっている。


「…それで、貴方達が私と遊んでくれるのかしらぁ?」


「それでしたら、この方と是非。興奮冷めやまぬ体験を提供できることをお約束しますよ」


「ふぅん。どうせなら二人一緒でもいいのだけれどぉ?」


サラは人差し指をゆっくりと唇に充てがいながら、誘うような視線を男に送った。


「…大変魅力的なご提案なのですが、私にも大事なお役目がありまして。先にこの方とお手合わせ願いましょう」


「へぇ…それはざぁんねん」


サラはそう口にすると、身体全体で伸びをする。

すると、部屋一面に吹き荒れていた吹雪も、それと同時に止んでしまっていた。


「んじゃ、よろしくねぇ?二人で愉しく踊り狂いましょう」


そんなサラの表情は、愉悦に満ち溢れていたのだった。


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