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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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サラ


「では、貴方達に質問です。『生と死』について、どう考えますか?」


男はこちらに一礼した後、こちらを試すような表情を浮かべ、そんなことを口にした。


「…残念ですが、貴方の無駄話に付き合っている暇はないのです」


そのまま振り向き、後ろの二人に告げる。


「お二人共、手加減してどうにかなる相手では無さそうです。すぐにこの部屋から離れて外に状況報告に向かって下さい」


「分かったぜ!」


すぐに二人は私の意図を汲んで、出口に向けて走り出した。


「…ですから、お話の途中といったでしょう?」


しかし、その男の言葉が合図となったように、あっという間に入口の扉が上から下にめがけて落ちてくる。

気づけば反対の扉も閉じ、八方塞がりの状況に陥ってしまっていた。


「…やってくれますね」


「何度も言っているように、私は貴方達とお話がしたいだけなのです。いい加減手間をかけさせないで欲しいものです」


男はほとほと呆れ果てたという表情を浮かべている。


「…というわけで申し訳ありませんがお二人共、ご自分の身はご自分で守って貰うこととなりました。ご了承下さい」


二人に対し、苦し紛れにそう話すことしか出来ない。こうなってしまっては最早、そうしてもらうしかない状況にまで追い詰められていた。


「へっ、舐めんなよ?自分のことくらいなんとかしてやらぁ」


「……」


私はそんな二人の様子に、思わず小さな笑みを浮べてしまう。


「フフッ…それなら良いでしょう。ここからは私も形振り構ってられません。


…そうですね。私のことは忘れてもらって結構です」


「は?お前何言って……」


「ふふ。直にわかりますよ。ミラさん、後のことは頼みますよ?」


「……」


ミラさんはコクリと顔を頷くようにしてそれに応えてくれた。

きっと、この方は私以上の実力を秘めている。

未熟な私でも、それくらいのことは流石に分かるものだ。


「さて…」


私は改めて正面の敵を見据える。


私の氷を軽々と破る実力を隠す、あの男。


そして、師父の身体を上半身に要し、実力も未知数であるあの生物。


…今の私では、あれらに到底敵わないだろう。


では、どうするか。

答えは一つしかない。



ーー私には、普段から必ず身につけていなくてはならないものがある。


これは私を、サラという一人の王国の騎士として、成り立たせてくれる掛け替えのないものだった。


これを外すということは、私がこの世で最も忌み嫌う、本来の私に戻るということを意味する。


私は眼鏡を外し、放り投げる。


途端に私の身体から、普段の私では扱いきれない程の冷気が溢れ出した。


それと同時に、頭の中で何かが弾けた音が響く。

その何かは、私の中を侵食するように一目散に這入りまわっていく。


こうなってしまっては、もう後戻りは決して出来ないだろう。

だが、任務のためにこの身を捧げる事に悔いはない。


…でも。

これが私の最後だというのに、何故か頭には、あの人の事が浮かんでいた。


任務においては文句のつけどころのない成果を挙げる癖に、普段は滅法だらしがないあの人。


私があの人に浪費させられた時間は、もはや取り返しのつかない程、負債として積み重なっている。

最後にあの人に、文句の一つでも言えたら良かったな。


そんな私の些細な想いも、まるで心を全て上書きされていくように、深い深い闇へと飲み込んでいく。

そうして気づけば私の中に、なんとも言えない快楽が生まれていた。


きっとこれが、私の最後。


『さよなら』



…さよなら?


ええ、『さよなら』

もうひとりの私。


本当は殺してやりたい程憎いけど、みっともなく消えてくれるならいいでしょう。

赦してあげるわ。


それにしても。

…ああ、愉しい。


なんという快感。

もう、気持ちが良くってたまらない。


誰でもいい。誰でもいいの。

私の快楽に付き合ってくれるものはいないのかしら?


あら?

あそこに美味しそうなのがいるじゃない。

しかも人間の男。


そうね。

あの人間は身体中を弄り回して、私色に染め上げて一緒に遊んであげましょう。


もう一方は上半身は人間で、下半身は獣のよう。

こっちは下半身を氷漬けにして、壊れるまで犯し続けてやろうかしら。


ああ。

想像するだけで、興奮が収まらない。

身体が震えちゃうわ。


愉しい、愉しい愉しい愉しい!

愉しくて愉しくて愉しくて…。


だって、だってこんな快楽堪えられない。


それじゃあ、愉しい時間の始まり始まり。


みーんな、私の玩具にしてあげる。


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