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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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地下攻略


「な、なんだってんだここは…」


今回の騒動の黒幕の居場所を突き止めるべく、改めて出発した俺とサラは、隠し通路を抜け奇妙な空間に辿り着いていた。


その場所は、広さにしてちょうど宿り木亭の広間と同じくらいはある。

地下にこれ程の広さの空間があることに、まず驚きがあった。


…しかし、それより何より気になることがある。


この空間には、至る所に天井まで縦に伸びる筒状の大型装置が配置されていた。

その装置の中はどれも薄緑色の液体で満たされており、そのどれもに管に繋がった生物が気泡と共に水中に浮いている。


また、地下である筈のこの空間は、どういう原理か陽射しの元にいるのではないかと勘違いしてしまう程に、明るく白色に照らされている。

その為、それらは嫌でも自然と目に入ってきてしまっていた。


歩きながら辺りを軽く見渡すと、その管に繋がった生物が多種多様な姿形をしているのが分かる。


明らかに身体の半分が別の生物で繋ぎ合わされているもの、身体中の臓器や骨が皮膚から突き出し露わになっているもの、頭、腕、足がチグハグに継接ぎされているもの…。


俺はその誰しもが目を背けたくなる光景に、嫌な想像を働かせてしまう。


まさか、「女攫い」がこれに関係しているとしたら…。


そのように思考が行き着くことで、あまりの気分の悪さに思わず吐き気を催しそうになる。

すると、隣りにいたサラも同様の予測を抱いたのか、小さく呟いた。


「…外道が」


その表情は、今迄俺たちに見せたどんなものとも違い、静かな怒りに満ち溢れたものに見えたのだった。



とにかく胸クソ悪いこの部屋を一刻も早く離れたい気分だった俺は、ようやく奥へと続くと思われる扉を発見することができた。


念の為、何があってもいいようにと常にサラが先頭を行くようにして、俺達はその先へ続く通路を進んでいった。


その通路の左右には牢屋が立ち並んでおり、そこには様々な動物や魔物が数多く閉じ込められているようだった。


そいつ等はすぐに侵入者である俺達を認識したようで、こちらにめがけて雪崩のように押し寄せてきている。

それはまるで、自分たちのこの先の末路を直感的に察して、必死に抵抗しようとしているようにも見えた。


「…クソっ。どこもかしこもロクな場所があったもんじゃねえな」


「ええ、まったくその通りですね。先を急ぎましょう」


俺とサラは足を止めることもなく、足早にこの場所から離れようと歩を進める。


しかしそんな時の事だった。

檻の中の魔物の一匹が、堅牢な牢屋を無理やり殴り壊すようにして、突然俺達の前へ身を乗り出してくる。


そいつは俺達人間の2倍以上あるであろうその大きな巨体と、その全てを筋肉で覆われているような身体つきが特に印象的な、四足歩行の獣だった。


「グルルルル……」


こちらに敵意を剥き出しといった様子で、ゆっくりと威嚇しながら低く唸り声を鳴らしている。

一見しただけでも、その剥き出しの牙や鋭い爪は、人程度なら容易に命を奪えるだろうことが想像出来た。


そしてさらに最悪の事態といったように、その魔物が破壊してしまった大穴からは、次々と閉じ込められていた凶暴な魔獣達が出てきてしまっていた。


そんな光景に、俺は慌ててサラに声をかける。


「おい!どうすんだよ?!」


しかしサラは慌てた様子も見せず、落ち着いた様子で口を開く。


「憐れな者たちですね…。しかし、今は大人しくしていて貰わねば困ります。貴方は先程の扉の先まで離れていなさい」


「わ、分かった!」


サラがそう言い放った直後、すぐに背を向けて走り出す俺。


しかしすぐに行動したにも関わらず、背後を凍てつくような寒気に襲われる感覚があった。

それにも動じないように全速力で扉の外へ飛び出る。


その後暫くして、扉の先で待つ俺に、サラが声をかけてきた。


「…お待たせしました」


その声を合図に、扉を開く。

すると、そこは一変して白銀の世界に変わってしまっていた。


この場にいる生物はほぼ全て、嘘のように凍てついてしまっている。

また、何匹か凍りついていない生物もいるようだが、どれも力なく伏せてしまい、ガクガクと身体を震わせていた。


その光景は、改めてサラと自分の実力差が天と地ほどの差があることを、俺に再認識させた。

サラが俺達に宣言した、「邪魔者は誰であろうと排除する」といった考えも、この圧倒的な力を前にしたら、誰しもが納得出来るだろう。


そんなサラは肩で息をし、弾んだ呼吸を落ち着かせている。

これだけの大規模な魔法の後で、その程度の疲れで済んでいることが有り得ないことであると、散々魔法の特訓をしてきた俺には戦慄する思いもあった。


するとサラは、落ち着いた後に少し憂いを帯びた表情を浮かべ、


「…貴方達には罪はないのかもしれませんね…。


さて、もうそろそろ黒幕に辿り着く頃合いでしょう。気を引き締めて参りましょう」


それだけ言い残し、切り替えるように先に続く扉に足を進めていった。


「…俺もビビってる場合じゃねえな」


そうやって敢えて口にすることで、必死に自分を奮い立たせた俺は、サラに遅れないよう続いて駆け出すのだった。

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