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俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
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作戦会議


少年を連れて再び屋根裏部屋に戻ると、そこには眠りについたラルを見守るミントちゃんとミラの姿があった。


「あっ、ソラさん。それに…」


ミントちゃんに視線を向けられた少年は、どうにもバツの悪いといった様子を見せつつも、


「ケッ。金で雇われたからには、仕事として全うする責任があるからな。言っておくが、決してそれ以外の意味はねぇ」


そう言った少年は、癖になっているのか照れ隠しの為に両腕を組んで顔を背ける。

まだガキのくせに、やたらと頭の良いコイツのこういう所は、まだ可愛げがあるなと感じた。


「ふふふ…わかりました」


ミントちゃんはそんな少年の様子に、優しい笑顔を浮かべている。


「ラルの様子は?」


俺はミントちゃんに対して視線を向けながら、気になっている事を聴いてみることにした。


「…先生に言われた通り、沢山ご飯を食べて、すぐ寝ちゃいましたよ。ふふ」


スースーと寝息を立てて寝ているラルの顔を見て、俺も一安心する思いがしていた。


さて、ラルも休んだところで、俺はこれだけはやっておかなくてはと事前に考えていた事を、実行に移すことにした。


「それではこの場にいる皆さん。突然だがどうか聞いてくれ。


ここに、第一回宿り木亭緊急会議の開催を宣言する。

では会議長のミラさんから、一言どうぞ」


「……それでは、閉幕します」


「っておい!始まってすらないやないかい!」



シーン



静寂が辺りを支配していた。

皆、揃いも揃って真顔で、冷たい視線を俺に向けている。


…あれ、おかしいな?

ここで俺の予定では、大爆笑のビッグウェーブが巻き起こる手配のはずだが?

それどころか、違うビッグウェーブに乗ってしまったせいで、滑り倒して溺れているザマである。


しかし、どうか聞いて欲しい。

俺がこんな事を敢えてするのは、この重苦しい空気感を一変することで、明日の出立の気運をどうしても高めたい一心でのことだった。


どうやら俺のそんな目論見は、全て泡に帰してしまった。

せっかくミラと入念な打ち合わせをしたのが、全て台無しに終わってしまったようだ。


「…ごめんなさい」


そして、あまりの空気感に耐えられなくなった俺は、流れるような得意の土下座でこの場の皆様に深く謝罪していた。



「で、どっかの誰かがクソつまんねぇことをほざいた気がするが、それは置いて本題に入るぜ。

まず有用な情報が何もねぇ現状、俺達は騎士団の集めた情報を当てにすることくらいしかできねぇってわけだ。

これまで奴等がしたたかに犯行を重ねているところを見ると、俺らがいくら足掻いたところで、尻尾も掴めねぇだろう可能性が高い。

…あと分かってると思うが、闇雲に探し回るなんつーのは論外だ」


クソつまんねぇことをほざいた張本人である俺は、いざ名誉挽回とばかりに張り切って答える。


「確かにな。当てもなく動くのは得策じゃない」


…。

張り切って答えた割に、何も解決策を提示できていない。

というか、同じことを繰り返し唱えただけである。

役立たずここに極まれりといった自分が非常に情けない。


冗談はさておき、思い返すとラルの先程の様子では、恐らく明日の朝一番には出発しようとするだろうことが予想できた。


しかしこのままでは、それこそ俺達は十中八九当てもなく彷徨うことになる。

何としてもそれだけは避けなければならない。


だが現状少年が言った通り、完全に手詰まりといった状態だ。

こうして騎士団の情報を待つしか、本当に方法はないのだろうか。


「……」


解決策が浮かばないのはこの場にいる皆も同様のようで、揃いも揃って難しい顔をして黙り込んでしまっていた。



トントン



突然扉をノックする音が鳴り響く。

同時に全員の視線が扉に向かう。


そして、沈黙の空間を切り裂くようにして、屋根裏部屋の扉が開かれた。


「夜分遅くに失礼致します」


その人物は、颯爽といったように現れた。

ミントちゃんが、その見知らぬ人物に対して声をかける。


「あの…不躾な質問で申し訳ないですが、どなた様でしょうか?」


「おっと、そうでしたね。時間を浪費させてしまい申し訳ありません。私は…」


しかし俺は、彼女が自己紹介を終える前に、その人物に見覚えがありすぎたことで思わず大声を上げてしまっていた。  


「サ、サラさんっ?!どうしてここに?!」


そんな俺に対し、彼女は絶対零度とも言えるその眼差しを、こちらに向ける。


「…あら、どなたでしょう。私は貴方のような粗末なものをぶら下げた殿方は存じ上げませんが?」


「久々の再開でなんてことぶち込んで来るんですか?!さすがに勘弁してくださいよ!?」


…これはひどい。

酷すぎませんか?

小さい子どもだっているんですよ?


あまりの衝撃に全力でリアクションをしていた俺に、


「へえ…」


「きゃっ」


ぎゅるるるる…


「…お腹すいた…」


各々のリアクションはこんな感じであったのだった。

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