表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の異世界転生が完全にやっている件  作者: 箸乃やすめ
二章 俺の異世界転生は前途多難
39/90

波乱の予感


あれから時間が過ぎ、その夜。

屋根裏部屋には、従業員一同が勢揃いしていた。


その中には、さらにここの従業員ではない人物もいる。

その人物は、ラルの様子を一通り確認した後、こう結論づけた。


「…これは、過労からくるものでほぼ間違いないでしょう。このまま寝ていれば大事はないですよ」


「良かった…。先生、夜も遅くに急に呼び出してしまい、申し訳ありませんでした。本当に有難うございます」


ミントちゃんは深々と頭を下げるようにして、そう答える。


「いえいえ。私もラル君とは面識もありますし、安心しました。それに医者という立場では、それは当然の事ですよ」


この街でも名の知れた医者であるハイネ先生は、柔らかい微笑を称えている。


あの時。

突然意識を失ってしまったラルを、急遽この部屋に運び込んだ。

しかしそれからというもの、ラルは全くといって目を覚ます様子が見られなかった。 


それを心配したミントちゃんは、こうして念の為医者を手配し、俺たちもラルを心配して部屋に集合していたのだった。


先生は、言葉を続ける。


「しかし、無理は禁物です。この様子だとそろそろ目覚めてもおかしくはないとは思いますが、ラル君の性格上、またすぐに無理をしてしまいそうで…。医者としては是非とも止めたいところです」


「……」


その場にいた一同は、顔を見合わせ、微妙な表情をしていた。


「…う、ううっ…」


そんなやり取りがあった矢先、ラルは苦しそうにうめき声を上げる。


「ラル君?大丈夫?」


ミントちゃんが心配のあまり声をかけ、ラルはその瞳をゆっくりといったように開いた。


「ここは…。ソラ兄ちゃんの部屋か?俺は……なんでここに」


「ラル君、無理しすぎて倒れちゃったんだよ?」


「そっか…。皆、ありがとうな?後、店にも迷惑かけちゃって…ほんとごめん」


「いいんだよ、そんなこと!それより、身体は大丈夫なの?」


「ミント…ああ。しっかり寝たおかげで身体は楽だよ」  


「本当に良かった…」


ミントちゃんは心の底から安心した表情を見せていた。


「ケッ。ったく、ほんといい迷惑だっつーの」


「……良かった」


その場にいた少年とミラも、安心した表情とともに、そんな台詞を漏らす。


少し落ち着いたところを見計らって俺は、今回の事の経緯をラルに話すことにした。

さすがにこの件に関しては、ラル本人にも話しておかねばならない。


「ラル。その、なんだ…。お前のお母さんの事なんだが…」


「ん、大丈夫。お陰ですっかり頭も冷えた。そうだ、あの時の変わり者の騎士はどうしたんだ?」


「ああ。アインの事か。あいつはな……」


〜〜


「お前の覚悟、確かに受け取ったぜ」


アインは、ラルがまさに意識を失って倒れ込むその瞬間、優しくその身体を包み込んでいた。


「おい、ラル!」 


俺は突然の事に驚きのあまり、アインとラルに走り寄る。


「心配すんな。限界まで身体を酷使して、気の抜けただけだろう。すまんが、この店で寝かせてやれるか?」


アインがオッサンに視線を投げかける。


「…ソラ。てめぇの部屋にでも寝かせとけ」


「は、はい!」


俺はすぐさまラルを抱えるようにして、屋根裏部屋へと駆け上がって行った。


「…おい、アイン。ラルにああ言ったのはいいが、てめぇもこれから無茶するって顔に描いてあるじゃねぇか」


「ったく、オッサンはいつも一言多いな。大丈夫だよ。んなこと分かってるっつーの。いい加減、俺もガキじゃねーよ」


図星とばかりにアインは、照れ笑いを浮かべる。


「…しかし、今回の一連の事件、許せねぇ。まあ、大人には大人なりのやり方ってもんがあるからな。残念ながら俺は、大人になる事でそのやり方も学んじまった。

…この件だけは、手段を選ばず解決してやる」


そう話すアインの表情は、彼らしくない酷く冷徹なものに変わっていた。


「ったく、お前ときたら変わってねぇな」


「そうか?まあ、『豪腕』のアンタに色々と鍛えられたからな」


「昔のことだ。んなこといい加減忘れちまえ」


「へいへい」


二人はそのようにして、短いやり取りを交わし、その場を後にしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ